ヴァレッタのほぼ先端に近いところに騎士団施療院がある。元来「マルタの騎士団」と呼ばれる人たちは、本来は「聖ヨハネ騎士団」と呼ばれ、聖地エルサレムへ巡礼するキリスト教徒の保護と、異教徒との戦いのために設置された十字軍の一派である。その傭兵的な役割から、徐々に十字軍で負傷した人たちの看護や貧者に対する大きな貢献を行うようになった。その騎士団たちが負傷した兵士などの治療を行ったときの様子をここでは、マネキンやミニチュア人形を使って当時の様子を再現している。また、建物自体は、当時はオスマントルコ軍のヨーロッパへの進出で負傷したひとたちが、ヨーロッパの本国に帰る前に、マルタが地中海の真ん中に位置することからまずここに運ばれるようになり、そのために使われたようだ。当時としては最先端の医療設備が整っており、ヨーロッパでは名の知れた治療院だったようだ。 
途中で騎士団の面影を残す兵士の鎧一式をまとった人形が階段途中であるので、びっくりするのだが、もっとびっくりするのは、当時は電気があるわけでもないので、蝋燭をもって行き来する看護のおばさんの蝋人形も階段の途中にあるので、こちらのほうも吃驚する。

等身大の蝋人形だけじゃなく、その他にミニチュアの人形もあるのだが、これはガラスケースの向こうにあるので、よーく見ないと見れない。 
マルタの騎士団というと、グループであるのは良いが、なんとなく人間らしさが見えてこないというのが難点。こういう当時の統率していた団長の人形があると、当時の洋服や貴族社会の様子というのが見て分かる。

医療院であるので、当然薬による治療を行っていたため、薬の調合の様子も人形で表現されている。
ただ、建物の中には、展示物用の場所とそれ以外の場所というのがあって、なかなか全部の概要は見ることができないが、たまに柵で通れなくなっている通路を柵越しでフラッシュを焚いて写真撮影してみると、意外と昔のまま、残骸が散乱しているところがある。写真に起して初めてわかる様子は、現場ではなかなか見ることが出来ない。
展示通路の最後には、大きな部屋を見ることが出来る。ここは今でも政府で何かのイベント(首相就任など)のときに使われるホールのようで、普段はなかなか入ることはできない。たまたまドサクサでこの部屋に入ることが出来た。

さて、空港カウンターだが、せいぜい10個くらいしかない。まさにこれで全部である。カウンターがある場所には、本屋があるので、出発前になにか書物を手に入れるのであればここで手に入れたほうが良い。その本屋というのが、たぶんヴァレッタ市内で見た本屋のどれよりも大きな本屋になっており、これがそのまま市内にあれば良いのにとおもうようなものだった。だが、ここで売っているのは雑誌か地図かガイドブックなのである。少し変なのだが、出発ロビーになぜマルタのガイドブックを売っているのかかなり疑問だ。別にこのロビーが到着便のロビーも兼ねているというのであれば話がわかりやすいが、全くそうではない。
出国手続きをするのは、カウンター横にある手荷物検査場を潜ったあと、エスカレータを上った所に有る。空港の規模と同様、ここでも出国手続きのカウンターは小さい。EU諸国用の人たちとそれ以外というような区別は無いので、どこでも良いだろう。これを潜った後は、飛行機に乗るだけ。
搭乗開始時刻まではここで待つしかない。アナウンスがなったら飛行機に乗り込むのだが、ターミナルと繋がっている形式ではなく、かならずバスに乗って飛行機が泊まっている場所まで行かねばならない。本当にそれほど小さい空港なのである。でも、慣れると、成田空港のような規模の空港が「大きくて気持ち悪い」とおもってしまうのは変だろうか?

エレベータで上に行くと、感じのいい雰囲気のレストランが見える。そして、窓からはマヌエル島が見える風景が見えるのだが、夜暗くなってくると、実は島自体が真っ暗になってしまうので、あまり良い景色じゃない。
今回ここで食べたのは次のもの。
・太刀魚のムニエル
・焼きラムステーキ
・デザート2種(名前は不明)


地下に下りていくと、壁一面にマルタで有名な政治家や俳優の似顔絵のイラストが飾っていることがわかるだろう。
もちろん地下のレストランは一流のレストラン風におしゃれな感じであり、地元の人たちが何かのお祝いをするときには、よく使われているといわれているレストランだけある。だが、全然堅苦しい感じはしないし、フォーマル絶対着用というわけではない。そしてお店で給仕している人たちもマナーがとてもよく、てきぱきとしているのは見ていて気持ちがいい。
ここで食べたのは以下のとおり。




肝心の料理はどうかというと、これがマルタの伝統的料理をテンコ盛りで盛られてくるから、嬉しい。ここで食べたものは次の料理だ。
・海の幸スパゲッティ(Spaghetti fruiti di Mare)。定番中の定番だと思うが、海老、イカ、白身魚などをたっぷり使ったスパゲッティ。トマトベースであるため、落ち着く味だ。
・豚肉のフィレ。料理のメニュからわかりやすい内容だったので、これを選んでみた。ジャガイモがたくさんサイドメニュとして盛られているのも満腹感を増すものであるが、一番吃驚したのは、苦手なパルメザンチーズを固まりで焼いていて、それを豚肉のソースと一緒に掛けられており、豚のフィレとミックスされていたことだろう。これを知らずに口に入れたとき、最初は「キノコ?」と思ったのだが、かめばかむほど、あの嫌いな塊のチーズの味がしてきて、思わず吐き出してしまった。チーズ好きな人にとっては美味いとおもうかもしれないが、塊のチーズが大嫌いな自分にとっては拷問の何者でもない。豚肉のフィレ自体は味が上品でとても良い
・白身魚のホワイトソースかけ。こちらはマルタが海に囲まれている国であることを分からせてくれる料理だった。白身魚は鯛の一種なので、ほとんど日本料理と変わらない。
このほか、ワインと水を頼んで全部でLm19.55だった。量のわりには値段がリーズナブルでお得。でもなんといっても、あの「景色」は最高だった。また、ホテルをでてすぐ目の前にあるとおりを夜に歩くと、とても風情があるので、感じて欲しい。