天壇公園は、日比谷公園などの大きな公園とは異なり、入園するだけで入園料(10元)を取られる。これは新宿御苑の入園料の徴収の仕方と同じだ。入園料を徴収する割りには、園内では観光客とはどう考えても違うような、地元の人たちがたくさん園内に居て、わいわいやっていた。キリスト教なのか仏教なのかよくわからない宗教ソングを一緒に歌っている人はいるわ、中国将棋をしているひと、それを見ている人が集っているわ、もちろん若い子はスケボーやダンスの練習をしていたりしている。でも、10元も払って入っているとは驚愕だ。

東門から入っていくと、正面には天壇のなかの代表的な建物である「祈年殿」がある。写真で観る限りではすごい高い建物のように思えるが、それはその建物自体に風格があるだけであって、実際に見ると、それほど高い建物ではない。しかし、その土台から規模は、観るものを圧倒させるほどの実力を持っている。そもそも祈年殿自体が、皇帝が毎年五穀豊穣を祈願して正月に儀式が行われた場所。そんなに大きなものを祈願用に建てたこと自体に、暇と労力の度合いが見えるのだが、この建物の全てが中国古来の占いの集大成みたいなもので出来ている。まず、中国では奇数は幸運の数値として言われており、すべての建物に奇数に関する情報が埋め込まれている。三段式の土台になっているものもその意味だし、各段が9段になっているものもその理由だ。特に9の数字は最高の数字を意味している。建設自体は15世紀前半のものらしいが、何度も落雷や破壊があったために、そのたびに建て替えなおしており、いまの建物は1896年に建てたものをもとに、修復されている。
祈年殿は三層の円殿であり、天壇の中にある「圜丘」と対比して、ゆるやかな曲線を描く藍色の瑠璃瓦は、いかにも重厚である。頂きに鎏金の火珠を持っているかたちは、まるで満州族の官僚が被っている帽子に似ているではないか!高さ38メートル、直径30メートル、壇の高さは5.5メートル、最下段の直径は約91メートルもある。

皇穹宇は屋根の尖端に鎏金の火珠をいただき、ここには歴代の皇帝の位牌を安置している。これを囲むまるい塀は、一方の端で囁くともう一方で聞こえるらしい。しかし、観光客がたくさん同じことをしているので、全くこんなのは聞こえるわけじゃない。これは回音壁と言われている。




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