せっかくの三連休だからどこかに行こうかと思ったが、今年はかなり暖かいために紅葉の季節になっても全然山間部でも紅葉は始まっていない。紅葉していないのであれば、何処に行っても同じだろうと思ったから、この季節なら人が少なさそうな西伊豆に行ってみよう思った。西伊豆は交通の便がとても悪いが、海がとても綺麗なところなので、夏になるとマイカー族による渋滞で大変混雑する。ところがもう海水浴シーズンではないので、さすがに少ないだろうと考えて選んでみた。しかし、三連休だから、たくさんの人がどこかに行こうと計画しているために、旅窓で調べてみても、空いている宿・ホテルがほとんどない。困った。じゃらんに空いている宿がまだあったと友達から連絡があって、早速予約してみた。そこが今回選んだ山光荘。ネットで予約するサイトはたくさんあるが、サイトによって予約できる宿が違うことが今回初めて分かった。
行きは東海道-熱海-下田と、いわゆる東海道のリゾート電車に乗って行く。普通このルートで行く場合、特急踊り子号で行くべきなのだが、別に早く行っても意味がなく、2泊3日もあるのだから、のんびり行こうと思い、各駅で行くことにした。普通の東海道で熱海方面に行く場合、ボックスシートじゃないと、なんとなく通勤電車のまま熱海まで行っている気がしてならないが、それもまた楽しいと思う。途中、何台かの踊り子号に抜かれたのだが、どの踊り子号も意外に満員のようだった。伊豆方面に観光に行く人は、いつの季節でも混んでいる証拠である。熱海からは伊豆急行の列車に乗り換える。海沿い側の椅子が海を向いている「リゾート号」ではない普通の車輌だったのだが、海沿いの席を確保したために、東伊豆海岸沿いを走る電車の風景はとても気持ちがいい。熱海で乗り換えの電車を40分を待ってしまったのには、待ちくたびれるだけだったが、熱海発の電車に楽勝で席を取れたので良しとする。後続の熱海に到着する観光客が一斉に乗り込んできた時には、まさしくラッシュ時の乗り込みと似ていた。天気がとても良かったし、日差しが入ってきたので、うとうと眠くなってしまった。友達はお菓子を食べたり、本を読んで模様。どうも、乗り物に乗っていると、おやすみ3秒で寝てしまうのは習性らしい。 下田からはバスで移動する。しかし下田での乗り換えは、なんと3分!バスの出発時間を知らなかった場合、のそのそと改札口を出て、バスターミナルで、乗るべきバスを探していたら乗り遅れていたことだろう。事前にバスの時間を調べたので、ぎりぎりセーフで乗り込む。バスにはそこそこ人が乗っていて、西伊豆方面の堂ヶ島まで行くようだった。しかし、旅にはいろいろ面白いことが付き物である。今回は、途中から乗ってきた人たちが酔っ払いの集団だったから面白い。10人くらいのおっさんばっかりの集団だったようだが、そのうちの1人が既に泥酔になっていたようで、バスに乗り込むことさえ出来ない。歩伏前進の格好でバスの入り口まで来て、小さい子どものように入り口の階段を手をついて上っていた。そして、呂律が廻っていない状態は、素面の人間から見るとかなり笑える。泥酔オヤジの仲間たちもほとんど酔っ払いの状態だったので、一番泥酔のオヤジに対して「おまえ、もっとちゃんとしろよー」と忠告しているが、そのおっさんもかなり呂律が廻っていない。そして、酔っ払いにありがちな、公共の場所なのに、デカイ声を出してうるさい。田舎のバスではあるが、運転手がぴしっと泥酔客に注意をしていた。「酔っ払っているんだから、どっかに座ってください。死んでも良いんですか?」と。これには車内大爆笑。ただ、よっぱいの集団だけは、ここで初めて恥ずかしいと感じたらしい。それ以降、1人の泥酔オヤジを除いて大人しくなっていた。だが、これだけでは終わらないのが酔っ払いの集団。バスは山道のたくさんのカーブに沿って走っている最中ではあったが、突然、酔っ払いのおっさんが「おれ、漏れそうだよー!」と突然騒ぎ出す。グループのほかの人が「我慢しろ」と言うが、酔っ払いに我慢なんていう言葉は、サルに仏教の教えを諭すようなものだ。酔っ払いが運転手のところに駆け込んで、「止めてくれー」と言い出す。ちなみに乗っているのは路線バスであることを覚えておいて欲しい。そんなバスに酔っ払いが「トイレに行きたいから止めてくれ」だと。酔っ払いの常識知らずもここまで来れば立派なものだ。田舎バスの運転手も、なぜか路線バスなのに、酔っ払いオヤジの立ちションが終わるまで待っててくれたというのも凄い。通常なら、そんな酔っ払いのおっさんを降ろすだけ降ろしたら、山の中だろうが、川の中だろうが、放ったらかしにして立ち去るべきだと思う。しかし、優しい運転手は待っていてくれた。東海バスの運転手は人間的に素晴らしいと感じた。
バスをどこで下りれば良いのか実はわからなかった。事前で見た地図だと、松崎のバスターミナルへまずは行けば良いのかなとおもった。案の定、松崎のターミナルで、バスのほとんどの人たちが下りる。でも、実際旅館がある場所は、松崎では有名な「長八美術館」のすぐ傍である。いちおうバスを降りる時に運転手に聞いてみた。「長八美術館はどうやっていけば良いんですか?」運転手は「あぁ、向かいのバスに乗り換えてください」とのこと。ちょうどバスターミナルには別のバスが止まっていて、すぐにでも出発しようという状態だった。下田から直通のバスがあることにこの時には気付かなかった。ちなみに下田から松崎のバスターミナルまでは1230円。道中は山道なので、集団疎開にでも行くような感覚だ。松崎のターミナルは、そんな田舎道からいきなり都会に出てきたような感覚になる場所である。乗り換えのバスにも、あの酔っ払いの集団がまた一緒だった。はぁ、憂鬱。だが、自分達は3つくらい先のバス停で直ぐに下りたので、あまり酔っ払いの被害は受けることがなかった。乗り換えたバスでは短い距離だったのに、車窓からの風景はとても雰囲気がいい感じがした。神社を2つ経由し、先述した長八美術館のバス停で下りた。宿はそこから直ぐの路地裏に存在する。その路地に入った途端に、時間の流れがぴたっとストップしたような感覚に陥った。前に写真で見たとおりの入り口を入っていき、ドアを開けると、古い情緒漂う雰囲気の玄関が目の前に広がっていた。
玄関の隣には、団欒ができる部屋も完備されている。そこにはネットにも繋げられる端末もあった。だけど、滞在中、ここを使っているような人に出くわしたことがない。せっかくの三連休にも関わらず、あまり泊まっている人が居ないようだった。
さて、最初に通された部屋は綺麗な庭が見える広い部屋であった。のんびりするにはとてもいい眺めの部屋である。松崎名物の「なまこ壁」も見える場所だった。だが、ここを案内した宿主が「面白い部屋があるんですよ。お客さんは確か今回二泊泊まる予定ですよね?部屋をご覧になってからで良いんですが、クラの部屋に泊まってみませんか?」と誘われた。「クラの部屋?」なんだ、それ?と思いつつ、案内された部屋に行ってみる。実はこの部屋、この旅館ではいちばん有名な場所で、言葉の通り「蔵の部屋」なのである。この旅館唯一、2つの階を利用する場所であり、部屋全体が芸術品のような場所である。宿主が、「本当なら1泊18000円なんですけど、確か今回は15000円で予約されてますよね?プラス1000円で良いですから、泊まってみませんか?」と言う。さらに、「他のお客様は、大広間でみなさん揃ってお食事していただくんですが、この部屋のお客様だけは、部屋出しなんです。料理も他の部屋と異なり、少し良いものをお出ししているんです」とのこと。そんな部屋にプラス1000円で泊まれるんだったら、願ったり適ったりである。即効で「こちらに移ります」と言ってしまった。でも、本当にプラス1000円なのかな?とチェックアウトのときまで気になる。根が貧乏性だ(汗)
さて、その部屋は「長八の間」と呼ばれるところで、入り口自体が蔵の入り口になっている。ただ、内鍵しか掛らないため、出かけるときには貴重品を預けるか、自分達で持っている必要がある。珍しい部屋なので、わけがわからず部屋の中に入ってくる人たちがたくさん居たのは言うまでもない。普通の状態だと、障子1枚の仕切りが入り口になっているので、「なんだろう、ここ?」とおもえば、誰でも入ってこれる場所だ。
襖には書家が書いた意味のわからない文句が書いてある。また2階部分が居室部分になっており、そこで寝起きをする。のんびりするのも可能だ。ただし、普通に立って歩くには問題ないのだが、部屋を移動するとき、部屋と部屋の間の仕切りが170cmくらいしかないので、ぼーっと歩いていると、頭を打ってしまう。滞在中、3回くらい頭をぶつけてしまった。ただ、すべての壁にいろいろ施しがあるのは、部屋を眺めているだけでもとても楽しい。ただ、保存状態がとても悪く、せっかくの作品たちが痛めつけられているのは悲しいかもしれない。もっと丁寧に扱えばいいのだが、そこに布団が仕舞っていたりするので、頻繁に襖の開け閉めをするためにボロボロになってしまったのだろう。
ちなみに1階部分には、食事をする場所(テレビつき)とトイレが備え付けられている。こういう旅館の場合、だいたいが共同トイレなのだが、この部屋だけは、部屋の中にトイレがあるという特別待遇である。
これは廊下の様子。
ちなみに松崎は温泉町としても有名なところであるため、24時間いつでもお風呂に入ることができる。温泉町だが、湯沸しの場所もたまにはあり、そういうところでは絶対に24時間入れない。入浴禁止時間があったりする。そういう場所の旅館では天然温泉ではなく沸かしていると考えて100%間違いない。ここはもちろん天然湯だ。
玄関の隣には、団欒ができる部屋も完備されている。そこにはネットにも繋げられる端末もあった。だけど、滞在中、ここを使っているような人に出くわしたことがない。せっかくの三連休にも関わらず、あまり泊まっている人が居ないようだった。
さて、最初に通された部屋は綺麗な庭が見える広い部屋であった。のんびりするにはとてもいい眺めの部屋である。松崎名物の「なまこ壁」も見える場所だった。だが、ここを案内した宿主が「面白い部屋があるんですよ。お客さんは確か今回二泊泊まる予定ですよね?部屋をご覧になってからで良いんですが、クラの部屋に泊まってみませんか?」と誘われた。「クラの部屋?」なんだ、それ?と思いつつ、案内された部屋に行ってみる。実はこの部屋、この旅館ではいちばん有名な場所で、言葉の通り「蔵の部屋」なのである。この旅館唯一、2つの階を利用する場所であり、部屋全体が芸術品のような場所である。宿主が、「本当なら1泊18000円なんですけど、確か今回は15000円で予約されてますよね?プラス1000円で良いですから、泊まってみませんか?」と言う。さらに、「他のお客様は、大広間でみなさん揃ってお食事していただくんですが、この部屋のお客様だけは、部屋出しなんです。料理も他の部屋と異なり、少し良いものをお出ししているんです」とのこと。そんな部屋にプラス1000円で泊まれるんだったら、願ったり適ったりである。即効で「こちらに移ります」と言ってしまった。でも、本当にプラス1000円なのかな?とチェックアウトのときまで気になる。根が貧乏性だ(汗)
さて、その部屋は「長八の間」と呼ばれるところで、入り口自体が蔵の入り口になっている。ただ、内鍵しか掛らないため、出かけるときには貴重品を預けるか、自分達で持っている必要がある。珍しい部屋なので、わけがわからず部屋の中に入ってくる人たちがたくさん居たのは言うまでもない。普通の状態だと、障子1枚の仕切りが入り口になっているので、「なんだろう、ここ?」とおもえば、誰でも入ってこれる場所だ。
襖には書家が書いた意味のわからない文句が書いてある。また2階部分が居室部分になっており、そこで寝起きをする。のんびりするのも可能だ。ただし、普通に立って歩くには問題ないのだが、部屋を移動するとき、部屋と部屋の間の仕切りが170cmくらいしかないので、ぼーっと歩いていると、頭を打ってしまう。滞在中、3回くらい頭をぶつけてしまった。ただ、すべての壁にいろいろ施しがあるのは、部屋を眺めているだけでもとても楽しい。ただ、保存状態がとても悪く、せっかくの作品たちが痛めつけられているのは悲しいかもしれない。もっと丁寧に扱えばいいのだが、そこに布団が仕舞っていたりするので、頻繁に襖の開け閉めをするためにボロボロになってしまったのだろう。
ちなみに1階部分には、食事をする場所(テレビつき)とトイレが備え付けられている。こういう旅館の場合、だいたいが共同トイレなのだが、この部屋だけは、部屋の中にトイレがあるという特別待遇である。
これは廊下の様子。
ちなみに松崎は温泉町としても有名なところであるため、24時間いつでもお風呂に入ることができる。温泉町だが、湯沸しの場所もたまにはあり、そういうところでは絶対に24時間入れない。入浴禁止時間があったりする。そういう場所の旅館では天然温泉ではなく沸かしていると考えて100%間違いない。ここはもちろん天然湯だ。
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