2012/02/14

調布村役場アプリ

 カフェマップやラーメン屋マップなど、お店検索アプリは今までもよくあったが、ひとつの街にフォーカスしたアプリというのは意外となかった。

  そんな中リリースされた「調布村役場」は調布駅周辺にスポットを当てた、超ローカルな街情報アプリ。飲食店を中心に、調布駅周辺のお店情報が満載されてい る。GPSを使った周辺検索を起動すると、「この機能は調布駅周辺だけで有効となります」とアラートが出るローカルさがよいではないか!

 そのほかには調布の天気、京王線の時刻表、調布経済新聞と調布市のWikipedieへのリンクがセットに。周辺検索や電車の時刻表は、調布市民や調布駅ユーザーにとって、なかなか便利なアプリとは言えまいか?

 このアプリは「調布の発展への願いと感謝の気持ちを込めて」作られたというが、調布市民ならずとも、この気持ちは十分に伝わるはず。調布村役場のような超ローカル街情報アプリは、今度増えてくるに違いない。(谷りんご)

▼調布村役場
http://itunes.apple.com/jp/app/id498828438

政権交代の内幕(書籍)

上杉隆の本は本当に勉強になる。勉強になるというのは、政治の勉強になるというのではなく、物事や事象に対する視点の持ち方という点だ。情報が入りにくい一般人にとっては、その情報源は一般的にTVか新聞か雑誌でしか知りえることが出来ないのだが、別にそれだけを鵜呑みにすると、実はある瞬間では辻褄が合うように思えても、長い時間で同一事象を見ているとそれがおかしなことだということに気づくものだ。しかし、たいていの人はあまりそのことに気づかない。そして、テレビと新聞に書かれているものは絶対的に正しい情報であり、ウソ偽りがあるわけが無いと思いがちである。しかし、実際には違う。上杉隆が何度もいろいろなメディアで述べている通り、彼らは記者クラブという談合組織で決められた情報しか出してこないので、本当の事はフリーランスのほうがよほど深く追求しているというものだ。肩書きだけで仕事をしている大手メディアの記者よりも、個人で名前が出て仕事をしている人のほうが、間違った情報を出せば干されるし、正しい情報を出して、その情報で利権を失う人がいた場合には、そのひとによる殺人が起こってもしかたないのだが、それを覚悟でフリーランスは仕事をしている。

実際に一般新聞で報道されている情報しかこれまで知らなかったことなのだが、最近の内閣は総理大臣もそうだし、内閣に属している大臣も素人ばっかりでコロコロ変わって、一体プロフェッショナルが腰を落ち着けてなんで政治をしないのだろう?というのは、ちょっと脳裏の片隅には思っていたのだが、そういう政治家同士の椅子取りゲームになってしまう点についてを、見事にそして簡潔にまとめてくれて一般人にわかりやすい言葉で説明しているのが本書「政権交代の内幕-民主党は日本をどう変えるのか」である。

この本、文章があまり多くないため、あっさり行き帰りの電車の中で読める程度のものであるが、政権交代における根回しや、選挙の前後における各立候補者の奮闘について克明に書かれている。だいたい選挙になってくると、一般市民にとっては「うるさい時期が股来た」としか思えないのだが、やっている本人たちは明日がプー太郎になるのか、それとも「先生!」と持ち上げられるのかという、両極端の立場になるのだから、必死である。

本書の内容は、小泉政権のときから鳩山内閣が出来たときごろまでの時代のことについて述べられている。ただ、参考までに、田中角栄が首相だったときや竹下登などの名前もでてきているのだが、だいたいあまり政権が変わるときの様子というのはいつの時代も変わらないということのようだ。それはこの本のなかでも情報が整理されているので、「なんとなく」と思ったものがすべてすっきりするのではないだろうか。

ただ、民主党についてちょっとした期待を持っている国民に対して「いやいや、そんなに期待を持っていたら、あとでバカを観ますよ」というのが上杉隆の言いっぷりなのだが、政権が自民党から民主党に変わったときには、一般市民は本当に期待していたと思う。しかし、いまとなっては、この期待は全部ウソだった、つまり騙されたというのは誰の眼を見ても解ることだろう。先に上杉隆がその危険性について警鐘を鳴らしていたのは、予想通り皮肉にも当たってしまったということになる。たぶん、政権が変わった時点では、大手メディアでは、それなりに民主党に自民党時代のしがらみに付いてぶっ壊してくれという表面的な期待はしていたのだろうが、実は自分たちも影響を受けるからということから、あまり自民党時代のことを壊さないで欲しいという内面的な抵抗もあって、実はあまり「民主党も実はダメだ」という報道は一切なかったとおもう。そんな時期にこの本を出したというのは、先述にも書いたとおりに、なにか肩書きがあってその組織に言いなりになっているブン屋が書いたのではなく、いちフリーランスがなんの背後を持たずして率直に現状を分析して述べているというだけのことなので、いろいろな視点は持つべきだという点を教えてくれたのは勉強になった。

ただ、この本を読んで悲しいことだと思ったのは、やはりこの国の政治家は官僚の言いなりにならないと何も出来ないということであり、官僚を大切にしない政権は官僚から見捨てられ最終的には自分の首を絞めることになるという事象になるということだ。そして、いままで小泉純一郎元首相は「自民党をぶっ壊す」という宣言をしていたのは有名なのだが、これはそのまま自民党のなかの古い体質をぶっ壊すのであり、郵政民営化だけで政権に就いたひとではある。しかし、一切官僚の言いなりをやめるということは行っていない。小泉元首相は官僚を敵に廻したときに恐ろしさを良く知っていたというのがその理由である。反対に、そのあとに続いた安倍晋三元首相は「官僚をぶっ壊す」としたので、抵抗にあい、最終的には「おなかが痛くなったから」で辞任した。福田康夫元主張はまた官僚をうまく使ったが今度は身内から突き上げられて、こちらも意味不明な理由で辞任した。なので、この国はなにかしらの国政をするには、常に辞めさせられることはない官僚をうまく使わないと、立場不安定な自分のクビが飛ぶことになると、そして賢い官僚からの突き上げに対してどっしりした構えがないひとは、その精神的プレッシャーで「ボク、もう辞めたい」と辞任に追い込まれるということになるようだ。こういうことをまとめてくれる人がいないので、上杉隆氏の本は本当に重宝する。

政権交代の内幕-民主党は日本をどう変えるのか
著者:上杉 隆
出版社: PHP研究所
発売日: 2009/9/19

2012/02/12

豪雪

今年の冬は日本海側を中心に本当によく雪が降っている。普段は乾燥し、あんまり天気がよくないだけという冬の東京でさえも、今年はそこそこ雪が積もってしまい、電車には大混乱は起こらなかったけど、それなりに東京人にとってはちょっとしたイベントになったことだろうと思う。しかし、実際に雪国に住んでいる人たちにとっては、そんな悠長なことを言っておられず、毎日が雪との戦いが繰り広げられているのはいうまでもなく、このいつ止むのか解らないような雪を、毎日、それも朝と晩には雪かきをしないといけないというのには、体力も気力もへとへとになるのは言うまでも無い。

以前、金沢に住んでいたときにも、確かに雪が結構降ったときはあったのだが、それでも現地の人が言う「38豪雪」とか「56豪雪」というものは、そのときに体験した毎日の雪かきなんか及びも付かないくらい大量に雪が降っていたらしく、雪かきをしてもしても全然役に立たず、あちこちで、年寄りしか住んでいない家では、屋根に雪が積もりすぎて、その雪下ろしを全くできていないからという理由で、家が潰れてしまったというのは良くあったようだ。すんでいたときにはそんなに豪雪ではなかったにしろ、それでも、父親の車を出すために、車の屋根の雪下ろしは当然だけど、道の上を走らせないといけないわけだから、雪に埋もれた車を、発車できるように周りの雪を掻きだすというのがしんどかった。幹線道路に行くと、道路の真ん中からスプリンクラーのように水が出ているので、その水で雪が融けて、そんなに雪がたまらない。しかし、反対に歩道の場合はだれも雪かきなんかしないので、道路より1メートルくらい高いところを歩くようになる。さらに気をつけないと、用水路が歩道の横に流れていたりするわけで、その用水路に落ちたら、上には絶対上がれなくなってしまうという恐怖も隣り合わせである。

雪かきが大変なのは体力的なことだけではなく、雪下ろしと雪かきで邪魔になった雪の扱いである。広場みたいなところがあって、そこに雪を集められるのであればいいのだが、そうではない住宅地の真ん中の場合には、本当にその雪をどうしたらいいのか迷う。大体の場合は、用水路に捨てることが一般的だったのだが、その用水路にもキャパシティがあるわけでそれを埋まってしまった場合にはもうどうしようもない。それでも雪は後から後から降ってくる。もうそうなったらなすすべがないのだ。

まさしく今年の日本海を中心とした全国規模での大豪雪は、30年ぶりくらいの豪雪だったんじゃないのだろうか?一晩で1メートルも積もるという景色を体験したことが無い東京の人たちにとっては全然想像が付かないと思うのだが、それくらい降ってしまった倍には、もう1階から出られなくなり、2階が玄関になるというすごいことにもなる。

ただ、一度雪国に住んで辛い日々を送ったことがあるのでわかるのだが、決して「雪が降った=スキーができる」という短絡的なことの出来事とは思っていない。雪が降ったと雪国のニュースを見るたびに、「毎日雪かき大変そうだな」ということがまずは脳裏に浮かんでくる。彼らは現地に住んでいて、そこで生活を営んでいるわけだから、そこから抜け出すことは出来ない。旅行者として雪が降っているところにいき、その光景を「綺麗」といっている間は、彼らの雪との戦いについては全く知る由も無いだろう。

雪国のひとたちは春になって、雪解けの時期になるまではじっと耐え忍んでいかなければならない。長くて寒くて辛い時期だとは思うのだが、雪国の人たちには春になって笑っていただけたら良いと思う。

ウィーン・小さな街物語(書籍)

筆者のご夫婦がウィーンを新婚旅行で行ったときの印象がとてもよかったため、そのまま再度ウィーンに渡り、そのまま居ついてしまったというから、それだけウィーンの街には魅力的なものがたくさん詰まっている場所なのだといえよう。本書は、観光ガイドによくあるような、その街に関する情報がつまったものなのであるが、1軒1軒の店についての詳細な情報を書いているわけではなく、ウィーン全体の街の様子やウィーン気質はどういうものか、そして、ウィーンに行ったら是非こういうところで何をしたらいいというような全般的なことを記載されたガイドブックだ。さすが、ヨーロッパの文化の中心地であったところの街なので、すべてのニーズに関しては満たされる場所なのだといえよう。それは買い物から芸術から自然まで含めてである。

こういう書物の場合、書いている人のバックグランドによって、同じような内容であっても全く内容が異なるように見られるのが不思議だ。この著者お二人は、文化程度がとても高いため、オペラや絵画、そしてダンスや陶器という、知識が無いと少し読みこなすには大変なのと、買い物1色でしか都市を見ないような馬鹿ねえちゃんには、この本は全く役に立たないと思われる。逆に言うと、これらの趣味があるひとにとっては、とても有益な情報が満載になっているので是非ご覧になったほうがいい。特に、ウィーン少年合唱団の記事なんていうのは、ほとんどの似たようなガイドブックには記載がされていない内容だ。これだけ世界的に有名なのに、歌っている少年たちのことについて言及して、引退後の人生にまで踏み込んで記載しているようなものは皆無だ。

本の中を見ると、結構カラー写真を豊富に使っているし、2005年に出版されたものだとはいえ、あまり見劣りしないような内容になっているので、いまこの本を参考にしてウィーンを訪れてもかなり役に立つだろうと思う。特に音楽に興味がある人はいい。別にクラシックの基礎を知っている必要があるとか、そういう意味ではない。クラシックの本場のような場所なので、それを体験したいという気持ちがちょっとでもある人にとっては、ここは理想的であり、その理想が実現化しているところなのがウィーン。それを上手に解説しているのがとても素晴らしい。素養と知識を持っていないと、簡単には説明が出来ないと思う。

筆者はウィーンの人になりきるように、表面的にウィーンの人と付き合っているのではなく、もともとウィーンで生まれて、ウィーンで育ったかのような振る舞いができるように現地でとても努力をされているようだ。あとから入ってきたアジア人が、世界的文化の中心地に現地の人のように振舞うのはとても難しいし、現地の人から見ても、いつまでもお客さんという扱いではなく、前から知っている現地の人という扱いとして認めてくれたというのは本当に努力したんだろうなと思う。そうじゃなければ、表面的に知りえるようなウィーンではなく、ウィーンの内部に入り込み、ウィーンの内面を紹介しているように思える。単に現地の言葉が話せるという程度ではこれは得ることが出来るものではないのじゃないかなと思う。

是非、ウィーンに行く前には他のウィーンに関する本と一緒に参考にしていただきたい。

ウィーン 小さな街物語
須貝 典子 (著), 片野 優 (著)
出版社: JTBパブリッシング
発売日: 2005/03/15