2010/05/23

KeyHole TV


WinMX に始まり Winny や emule や BitComet などのようなソフトは、P2Pの技術を使った共有システムであり、主に、それらのソフトはファイルのダウンロードとアップロードのために使われている。そして、やりとりされるファイルが、違法コンテンツだったりするから、問題になっているのであって、ソフト自体には特に悪意性は全くないものである。コンテンツファイルの性で、P2P自体が悪者にされているのも事実である。

だけど、P2Pは悪いものでもなければ、違法でもない。実際にはすばらしい技術である。その典型的なものとして生まれているのが、KeyHole TV というソフトであろう。これは日本のテレビ番組がネット上でほぼタイムリーに見られるというもの。それもどこかのバカが無理やり作ったというものではなく、国のお墨付きとして、総務省の戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)という制度を利用して総務省から資金的提供を受けて開発されたソフトである。

見られるのは東京キー局のテレビ局であれば全部見られることと、ラジオ番組も聴くことは可能である。ただ、ラジオの場合は、最近 radico というサービスが開始されたこともあるので、あまり需要は無いだろうが、それでも東京にいながらして関西のラジオ番組を聴きたいというのであれば、これは有力なツールである。さらに中には、CNNやNational Geographicなどのような海外のテレビ局の放送も見ることができるのである。

画面としてはQVGAの大きさでしか表示ができないため、スポーツ中継のような番組をテレビで見るのはかなり苦しい。だから、映画のような番組についても同じで、見るには耐えられない。画面を大きくすることさえもできないようなインタフェースになっているため、なんだか見えているというものを感じることができる程度だろう。感覚で言えば、最近そんなものを使っている人がいるのかどうか化石を探すくらい大変だと思うが、携帯でテレビを見ていることに慣れている人なのであれば、この程度の大きさであれば満足できるだろうとおもう。個人的にはいやだ。

ただし、このシステムを利用するととてもうれしいことがある。それは海外に居ながらにしても日本のテレビが見られることだ。海外のテレビ局が日本のテレビ局と提携や番組を購入していれば、海外の放送局で番組を見られるということもあるが、時間差があったり自分で見たことがあるものだったりするのがだいたいのオチだ。このシステムだと、世界のどこからでもほぼライブで、ネットさえ繋がっていれば見られるというものであるから便利である。あともうひとつは、テレビが見られない環境にいる場合、たとえば会社に居る場合にでも、自分の会社のPCにソフトを入れていれば、ワールドカップの試合なんかも見ることが可能である。ただし、今年のワールドカップは日本時間で夜か夜中ばかりだったので、会社からアクセスすることはまず必要なかった。日韓共催ワールドカップのときは、会社を休んででも見たいと思ったくらいであったので、そのときに使いたかったものだ。ただし、会社のプロキシサーバで、このソフトのプロトコルを閉じているようにしているのであれば、ソフトをインストールしても意味が無い。

1つのテレビ局またはチャンネルに接続できる数は決まっており、同時に200ユーザまでとなっている。それ以上になると、画像自体が動かない状態になったり、音声さえも聞こえない無音状態になったままになることもあるのだ。まだそれほど知られていない状態のようなので、テレビ局へのアクセスは早いもの勝ちとしてアクセスしまえば、まずは見られるだろう。

配信側はどうなっているかというと、実はよくわからない。ただし、ソフトとしては、閲覧のみの機能を持っている場合と、配信用の機能を持っているものがある。自分でなんちゃってテレビ放送をやりたい人であれば、配信ソフトをダウンロードすればいいだろう。最近のPCにはテレビチューナ機能を持っているのがあるため、これが一度テレビを受信して、自分が配信側になって世界中に番組を配信するという手段もできることはできる。ただ、自分のPCが配信になるということは、それだけの負荷が掛かっても耐えうるべき同時アクセス数の許容ができるかどうかに掛かってくる。

この機能を使って、テレビ会議システムも運用することが可能である。ビデオ会議としては、1対1もできるし、1対多の方式もすることが可能だ。テレビ会議の需要はあるとしても、自分が放送局として配信するのは、最近だとustreamもあるから、競合するソフトと言えるだろう。

いずれにしろ、おもしろい使い方ができるソフトだとおもうので、ぜひ一度試してみるといいと思う。

KeyHole Video Official site
URL : http://www.v2p.jp/video/

紹介サイト
URL : http://en.wikipedia.org/wiki/Keyhole_TV

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