2012/03/26

天皇陛下の全仕事(書籍)

天皇陛下の存在では現在の日本の憲法では「日本の象徴」になっている。それゆえ、日ごと天皇陛下が一体何をしているのかというのは、あまり一般国民には理解されていないところなのだろう。理解されていないがゆえに、戦前に天皇の命令によって国民全員が戦争に駆り出され、そして無駄な死を導いたと、自分で体験したことも無いような戦後生まれの人のなかで天皇嫌い、もしくは天皇制に反対をしている人がたくさんいるのだが、それはきっと認識不足のために生じてきる「無知による被害妄想」なのだと思う。戦後は、日教組が中心になって、子供たちに天皇制の否定や天皇は戦前酷かったというような意味不明な教育を行っているところもあるが、本当の事を教えないでウソばっかりを教えて、後世にウソを本当の事実として植え付けようとしているのは即刻やめてもらいたいものだ。アメリカにこテンパンに第二次世界大戦のときにやられたのに、それでも占領軍であるGHQは天皇制度を日本に残した本当の理由を知らせていないから、いまだに右翼だか左翼だかよくわかんないひとたちが天皇制について否定的なことを言っている。

そういう天皇制否定の人ほど是非読んで欲しいのが、「天皇陛下の全仕事」だろう。

正月三が日に皇居で手を振っている姿とか、どこかに地方興行のように出向いている姿しかテレビにはあまり紹介されないので、その他の日は、一体天皇(以降、「陛下」を省略します)と皇后(こちらも「陛下」を以降省略します)は何をしているんだろう?どうせ、国民の税金で毎日のんびり暮らしているじゃないのか?!くらいしか思っていない人たちが大半だろうと思う。そして、御用地が日本にはいくつかあるのだが、そこにたまにのんびりしに行っていい気なもんだと思っている無知がたくさんいると思う。しかし、それは大間違いなのだ。

天皇は政治に関与できない。これが現在憲法の大原則である。したがって、天皇の行うことはすべて何かによって決められており、それにしたがって天皇は行動しているに実は過ぎない。天皇には決定権が無いのである。つまり、生まれて皇太子になって天皇に即位したときから、天皇はすべての行動に制限がついているのである。好き勝手にちょっとそこへコンビニに行ってくるとか、腹減ったからちょっと買出しにというようなことも絶対できない。ましてや、ちょっとバカンスとして海外に行っちゃいたいなーとおもって海外にいくこともできない。海外に行くには、実は次の要因でしか行くことができない。

・相手国の要請により招待を受けた場合
・親交のあった海外の皇族に不幸があったときに葬式に参列するため

だけである。この事実を知ったときに、気晴らしに海外に行くのはいいよねーとおもっている一般庶民のほうがどれだけ自由な行動が取れて、好き勝手なことができるのかということを改めて実感した。だから、旅行雑誌を読んで「あそこいいなー」とニヤニヤすることはできても、じゃぁ行ってみようということには天皇・皇后には権限が無いのだ。海外旅行大好き人間からすると、こんなにストレスが溜まるもの無いと思う。

また、海外だけじゃなく国内へ訪問地の決定に付いても同じである。天皇が行きたいから行くというのではない。全部内閣が決めている。あくまでも象徴であるために、天皇が行くということに何らかの意味を持たせることしか天皇の地方への訪問が無い。ただし、御用地への移動は全く意味が違う。天皇がどこかに出かけることを御幸といい、皇后が出かけることを御啓という。だいたいの場合、天皇・皇后が一緒になって出かけるので、御幸啓という言葉を使うのが一般的なのだが、この言葉を知らない人も結構いるらしく、知らないで使っている新聞・テレビが居たら、それは無知だと思っていい。自称「視聴者がわかりやすくするため」と自分の無知を露呈しないために、視聴者も巻き添えにするようなやり方をする場合もあるのだが、これはとても汚いと思う。

地方へ行く場合もほとんどが決められているというからすごい。「全国植樹祭」「国民体育大会」「全国豊かな海づくり大会」は毎年持ち回りで都道府県で行われるもので、地方視察という意味もあり、これは天皇・皇后の定例訪問に指定されている。そのイベントに併せて、擁護施設や介護施設などの訪問も絶対欠かせない。今上天皇から始まったことのようだが、天皇・皇后両陛下は国民と間近に接し、心の通った会話を極力望んでいるというご配慮のようなので、本来なら天皇の意思は入る余地は無いのだが、象徴であることを使って内閣も了承の下、訪問をしているようだ。このほかにも被災地への積極的な訪問もある。東日本大震災のときにも天皇・皇后両陛下が積極的に被災地に行って、被災者と直に触れ合っていたのは記憶に新しい。これは東日本大震災に限らず、中越地震や阪神・淡路大震災の時も同じようなことをされている。

そういえば、こういう訪問以外のときには何をしているかというと、実は皇居の執務場所があり、そこで毎日大量の決済にサインをしているのである。内閣が決めた内容などにサインをしているのだが、そのサインには4つのパターンがある。

①天皇が目を通した後に、天皇自ら署名した上、天皇の公印である「御璽」という大きな印が宮内庁職員によって押される「御名御璽」
②天皇が「可」を印を押す「裁可」
③天皇が「認」の印を押す「認証」
④天皇が「覧」の印を押すもの

①は憲法・法律・政令および条約の公布、国会の召集、衆議院の解散、国会議員の総選挙の施行の公示があたり、②は首相・最高裁長官の任命、栄典の授与、駐日大使・公使の接受など、③は大臣や官吏の任免、大使の信任状の認証、恩赦認証、外国文書の認証、④は単なる「見た」という回覧の意味のものらしい。これがほぼ毎日やってきて、その文書の量がめちゃくちゃあるという。確かに毎日なにか決まっているし、大臣の任命なんかも最近なんか頻繁にあるし、決定権がないけど、見なければならないという書類がたくさんあるというのは大変なことだ。自分の会社の決済権者なんか、内容なんかほとんど観ないで「やっといたから」のひとことで終わってしまうので、いいのか、それで?とおもう。決定権や拒否権は天皇にはないのだが、内容が不明な点があった場合には侍従を呼んで問いただしているとのこと。国家がどのようになっているのかを常に把握しなければならないというのは大変なことだ。

それと、天皇だけしかできない行為がほかにもたくさんある。海外からやってきた駐日大使が着任する際には、必ず天皇に拝謁することになっている。これはどこの国でも同じ慣習になっており、その国の元首に、当地の元首から委任された委任状を携えて、その内容を天皇に渡すことになっている。天皇からは出迎えの馬車か車を借りて皇居に大使はいくことになるのだが、馬車での移動を希望している大使がほとんどだというところが面白い。西洋の文化圏が残っている日本くらいしか今は馬車での出迎えがないところにその魅力があるようだ。外国からの元首からの委任状を携えているということは、日本も同じように現地の元首へ大使経由で同じような委任状を携えているのであるが、この委任状のサインがさきほどの天皇のサインになる。

そして、宮中晩餐会というのも天皇が主宰する催しものであるのだが、これがとても大切な行事である。これは海外から元首級の来賓があったときに行われるものであり、両国家の親善のために行われる国家行事の中でも非常に重要な行事なのである。首相・大臣はもちろん参加必須のものであるのだ。この参加をブッチすることは、相手国に対して非礼を示しているということを表しているのだが、確かブータン国王がやってきたときに、この宮中晩餐会に出ないで地元のうんこ住民たちの集会に参加していたという議員が居た。このひとの無知度は、あとで日本全国から叩かれたので宮中晩餐会の意味をようやくあとから知ったことだと思うが、たぶん本当に知ったのかどうかは知らない。国民から総スカンされたので、しょうがなく謝ったとしてしか思っていないのだろう。それだけ天皇の行事に関して無知すぎるということなのである。

そしてもう1つ重要なのは、すべての祭事の主宰者であるのが天皇であるということである。天皇は神道のトップに君臨する。国家が繁栄・安定するためのいろいろな儀式は各所で行われるものだが、その最高統括が天皇なのである。だから、天皇をなくしたら全国の神道の神社は存在しなくなるのである。だから、簡単に天皇を廃止することはできないのだ。天皇自らが実施する祭事も年がら年中存在しており、それは神聖なものであるために取材撮影は一切禁止。だから、なおさら天皇って皇居でなにをしているんだろう?と無知な国民に対しては全然見えてこないのである。もっと宮内庁あたりが天皇に関する宣伝をするべきだとおもうのだ。宮内庁側からすると、日曜の早朝に「今日の天皇はこういうことをしていました」というニュースをやっているではないか!という主張をするだろう。おいおい、誰がそんな日曜日の朝っぱらからそんなニュースを見るのだ?と思う。どうせならゴールデンタイムに10分で良いから放映すれば良いのにと思うのだ。だが、宮内庁が悪いのか内閣が悪いのかわからないが、右翼か左翼かわからないやつらにテレビ局を占拠されたり、変な暴動を起こされたらイヤだからということなのだと思うが、絶対こういう時間帯に天皇の動向というのを放映することは無い。すごい失礼だと思う。

これだけ行動に制限をもたれている天皇だが、一般国民と違って「疲れたから、皇太子、おまえ明日から天皇をやれ」というようなめちゃくちゃな人事交代をすることは絶対できないことになっている。一度天皇になったら死ぬまで天皇である必要があり、天皇が行わなければならないたくさんの仕事を死ぬまでやりつづけなければならないのだ。これほど天皇というのは重要であり、自由が利かないものなのである。そして自分との意思とは関係なく、仕事の内容について変更をすることも許されない。ワンマン社長と違うところはいやなことは部下に押し付けるということが絶対できないところだ。そして、常に国民からの興味の目が向けられている。これほどストレスの溜まるような生活をよく天皇・皇后はされているものだと本当に感心する。

常に国家のことだけを考え、国家のために尽くし、内閣を含めた国民が決めたことに対して見守り、海外に対しては元首として君臨するということを求められる天皇。帝王学とは違う別の教育を常に受けておかねばこのような強靭な精神力と精力的な執務活動はできないことだろう。そして、海外では日本の元首は天皇としての認識である。日本国内でだけ天皇に対する尊厳が無い。あの中国のひとたちでさえ、天皇に対してはすごい一目を置いており、「天皇死ね!」というようなことは全く行わない。韓国人は知らない。アノ人たちはキチガイで火病持ちであるため、世界の常識も日本の常識も通用しない。ただ通用するのは韓国人だけしか通用しない常識だけだからだ。

ちなみに書物とは関係ないのだが、アメリカの大統領は世界の中心であるためかほとんどの来訪者に対して、空港で出迎えることは無い。ホワイトハウスで出迎える。ただ、世界で3人だけはわざわざ空港で出迎えることになっている。それは①ローマ法王②イギリス女王③天皇だけである。

是非、天皇制に賛成の人、反対の人、それぞれの立場のどちらでもいいのだが、天皇はなんのためにこの国に存在しており、天皇は普段何をしているのかということを一度は調べたほうが良いとおもう。単なる感情論だけで好き・嫌いなんていうのは可笑しい。ネット上でも天皇制に関して否定的なひとなんてたくさんいるようなのだが、そいつらには率先してまずはこの本を読むべきだと思う。そこで不満な点、おかしな点があれば述べればいい。一部の部分だけをとって「天皇不要論」を唱えるべきではないのだ。

天皇陛下の全仕事
著者:山本 雅人
出版社: 講談社
出版微:2009/1/16

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