2012/03/21

新浪微博を使ってみた

一般的なツイッターを中国国内からはアクセスできないようになっているため、中国大陸では、新浪微博という名前の同じような機能を持ったツイッターを利用するのが一般的だ。中国政府が、政府転覆を狙っている情報が飛び交うのを阻止するために、中国のネットワークに外と繋がる境界に大防火壁(Great Firewall)を設置して、外から中国政府を非難したり打倒するような情報が中国国内に入り込まないようにするために、日々数万人という規模で情報管理を行っている。そのため中国国外にあるツイッターでは情報統制が取れにくいということもあるが、中国国内の人も馬鹿じゃないので、外部のツイッターの存在は既に知っていた。それと同じような機能を中国国内でも作れーという希望があったようで、結果、中国政府支配下のネットワークサービス企業がサービス開始をしたのがこの新浪微博である。

通称「ウェイボ(微博)」と呼ばれるこのサービスは、全部中国語であるというだけで、基本的にはインタフェースもやれる機能も全部、本家ツイッターと全く同じである。飛び交う言語が中国語であるので、中国語を解せるひとであれば、その情報の波に乗ることができるであろう。なにしろ、ウェイボのユーザ数は、2012年3月8日に易現国際が発表した情報によると、2011年第4四半期現在では2.49億人が登録されており、四半期ごとに18%増、2010年の同時期に比べて146.5%増というくらいの伸びでいまでも増えているくらいのユーザがいる。しかしながら、2012年3月16日以降は、一番最初に北京市から発表された『北京市微博客発展管理若干規定』により、新奇ユーザ登録時に、本名での登録と住民番号の登録、そして携帯電話の登録も必要になってきており、どこのどいつがどんなことを微博でつぶやいているのかを政府が監視しやすいように仕向けているということになっている。微博のサービス自体、北京市にサーバが存在するために、北京市の規定に従わねばならないということになっているのだが、この動きは広州市や上海市でも同じ条例が発布されたことにより、微博ユーザにとっては使いにくいものになったのではないかと思われるが、そんなことではネットユーザはへこたれない。

なぜなら海外からも当然この微博にはアクセスすることができるようになっており、海外在住の人はこの掟に縛られないからである。新奇ユーザ登録時に「何省に住んでいるか?」なんていうのは「海外」というのを選択すれば良い。携帯電話の番号も適当にかいておけばいいのである。ただ、ミクシィみたいにガチガチに正しい携帯電話の番号を入れないとユーザのアクティベーションができなくなるというような仕組みになるのかどうかは不明だが、これをしだすと、微博自体のサービスがミクシィみたいに衰退することが目に見えている。

デフォルトでは、中国大陸の人たちが記載しているものだから、標記も簡体字標記になっている。しかし、台湾や香港からの書き込みも当然行われており、その人たちは当然のように繁体字を使っているので、その人達用にサービス内の標記を繁体字に変更することも可能だ。ただし、これはメニュだけで、各ユーザが記載した中身までは変更できないみたいであるが、もしかしたらできるかも。自分でまだ設定していないので。

ユーザが約2.5億人もいると、それなりに情報が飛び交うことが多く、人気のある人なんかは、数千万単位のフォローがついていたりするのを見つけることが出来るだろう。日本で10万単位ですごいー!と言っているのが馬鹿馬鹿しくなる。中華圏で活躍しているエンターテイメント系統のひとたちは、ほとんどこの微博を使っており、ファン獲得やマーケットとして利用している模様だ。てっきり大陸のアーティストくらいしか使っていないのだろうと思っていたのだが、台湾や香港、シンガポールやマレーシアの華人たちが、Facebookと微博を駆使して、ファンへの情報展開をしているのをよく確認できる。もちろん本家Twitterのほうにも書き込みがある人も居るのだが、華人のユーザの多くはFacebookもTwitterも同じような使い方をしている人が多く、それは写真と動画と文字を同一アプリ上で掲載できるということもあるのだが、140文字という制約でやり取りすること自体が面倒くさいと思っている人が多いらしく、とにかくFacebookを利用しているひとが多く、そこでのメッセージやコメントの量はハンパない。しかし、中国国内ではFacebookが普通の人は使えないので、中国国内用に微博で情報提供しているということなのだろうと思う。
ところが微博では1つ困ったことがある。なにもかも本家ツイッターと同じなのだが、サーバとクライアントの間では、twitterもfacebookもgmailもいまではSSLで通信するのが当たり前になっている。SSLで通信するということは、途中で傍聴することができないような仕組みになっているということだ。これをまともに微博で行った場合、中国政府としては情報が書き込みされる前に情報発信元を探り当てて、その通信を傍受したいと思っているらしいから、SSL通信はさせないようにしている模様。そのあたりの注意事項を念頭に微博に対してはツイートしなければならない。

最近の動きとしては、微博で情報があっという間に拡散してしまうことの恐ろしさを中国政府はたびたび経験することになった。特に顕著なのは、日本から技術をパクった中国の新幹線の脱線事故が起こったとき、中国政府は情報隠蔽することに努めていたが、微博ユーザが独自で事故現場の写真や列車を埋めようとしている動画をバンバン載せたことによって、中国政府がふざけたことをしているということに猛烈に反抗したことを経験した。テレビで放映を規制しても、ネットでの情報拡散までは頭が廻っていなかったみたいで、ネットユーザ恐るべしとそのときに思ったことなのだろう。最近も、北京市内でフェラーリを乗り回していた中国共産党幹部の息子が事故って死んでしまったことを、微博であっという間に情報が広がったのだが、検索キーワードとしてフェラーリの中国語である「法拉利」を入力しても、この言葉を使ったツイートが全く結果なしという結果で表示されるようになったのもある。ただし、アルファベットのFerrariや日本語のフェラーリで検索しても全然規制には引っかからないのだ。つまり、情報のコントロールを中国政府がここではめちゃくちゃしているということである。

ユーザのほうも馬鹿じゃないので、露骨に本当の語句を使って情報を掲載しているわけではない。特に中国共産党を冒涜するようなことは基本的には中国の憲法で死刑にも値することなのだが、それに引っかからないように、同じ発音をする違う語句に変換して記載したりとか、隠語のようなものを使って記載したりとか、漢字の国ならではの工夫が見られる。だから、中国語を習いたてのひとが微博にアクセスしてきたときに、その言葉の意味はいったいなんなのだ?という語句に出くわすことはめちゃくちゃある。日本でもコギャル文字の仲間に入るかもしれないが、漢字を部首ごとにばらばらにして1つの漢字を複数の漢字にして表記するような方法も、ここ微博でもよく使われている。だいたいこういう言葉を使っている場合には、中国政府にとって好ましくないような内容が出ているときばかりである。

基本的に規制対象は中国政府および共産党を脅かす記事を記載した場合である。決して、真っ裸の写真だったり、暈し無しのセックス写真だったり、脳みそ砕けてスプラッターになっている写真だったり、ロリータ系の写真だったりとかのようなものは、全然規制になっていない。素っ裸の写真に、「中国共産党死ね!」と書かれていた場合には規制対象になる。規制対象になった場合には、さきほどの検索からアクセスは出来ないようになるのが面倒くさい。写真も動画もツイッターと同じように別アプリと連携してアクセスできるようになっているので、リンクを切られない限りにおいては、一度アップロードされた記事はずっと保存することが出来る。

1つ使いにくいなーと思ったのは、リツイートの機能である。本家ツイッターの場合、公式リツイートをすると、リツイートした人をフォローしているひと全員にその内容がいくが、既にフォローしている他のひとが同一内容をリツイートしている場合には、タイムラインが同一ツイートで埋められないようにうまく制御されている。しかし、微博のほうはそれが全く効いているわけじゃないみたいで、常にリツイートもツイートも表示されるようになる。だから、「またこの記事か」と思うことは何度もある。

新浪微博
URL : http://www.weibo.com

0 件のコメント: