2010/08/22

イタリアものしり紀行

「添乗員ヒミツの参考書・魅惑のスペイン」の著者である紅山雪夫が書いたイタリアに関する書物「イタリアものしり紀行」は、スペインのときと同様、イタリア全体の各都市に関する歴史と著名な見所について記載した書物である。文体がスペインのときと似ているため、これは本当に読みやすい。ただ、この本の難点をいうとすると、カプリ島のことは書いているのに、それよりも歴史的には重要なシチリアのことが1行たりとも記載されていないことだろう。ローマ帝国のことを記載するには、シチリアを抜きにしては語れないと思うのだが。

日本人に人気のあるイタリアの各都市に関しては詳細に記載されているので、これは読んでいて楽しい。イタリアの場合は、見るところがたくさんありすぎるために、事前に情報を入れていたとしても、どれがどの情報なのか錯誤してしまいそうなくらいの情報量になってしまうために、帰国後にこの本を読んで、各都市に存在する遺跡各種のことを自分で撮ってきた写真と照らし合わせて再読するのをお勧めしたいと思う。初めてイタリアを訪れる場合には、いろいろな思いがあって、あまり情報を入れても消化不良になって仕方ないと思うからだ。見るに良し、買い物にも良し、食べるにも良し、芸術的にも良しと、初めてのヨーロッパ旅行であれば、イタリアに行くことを絶対にお勧めしたいのだが、そういう人が帰国後に読むにもちょうどいい書物だと思うからだ。

ローマ帝国からルネサンスを経由して脈々と続くイタリアの文化は、教養が絶対に必要になるところであり、イタリアの旧貴族の人たちと話すためには、こういう教養がとても重要になってくるので、ヨーロッパの歴史をあまり知らない日本人にとってはいつまでたっても彼らにしてみたら野蛮人にしか思われない。ヨーロッパの文化は、ほとんどイタリアで培っている文化にも似ているところがあるので、イタリア文化について精通していると、現地の人も舌を捲くことだろう。

最近映画にも登場して、日本人がそれまであまり来ないところだったところがアマルフィ。この本にはそのアマルフィについては記載されていない。たぶん書かれた本の時期が、この映画が上映される前だったから、日本人観光客がそれほど行かない地域であったためだとは思う。しかし、カプリ島はそんなに人気なんだっけなー。やっぱり青の洞窟があったから有名なのだろうか?

ご飯のことについてはほとんどこの本には記載されていないため、どういう料理が地元のご飯なのかというのを知るには、情報不足だろうと思う。しかし、それを除いて、建物や美術・芸術に関する情報については、ガイドブックに載っているものよりも断然多いから余裕がある人は、この本を持っていくにはいいかもしれないし、泊まっているホテルで夜にちょっと見るためにはいいかもしれない。

イタリアものしり紀行
著者:紅山 雪夫
出版社: 新潮社
文庫: 335ページ
発売日:2008年5月1日

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