2007/10/14

故宮博物院の本


台湾にある故宮博物院は世界四大博物館のうちの1つであるのはあまりにも有名である。台湾へ旅行する人は必ずといっていいほど1度はここに行くことになるだろう。ここは中華文化を凝縮した歴史的資産の塊と言っていいものである。しかし中華文化が台湾に元々あったかというと、それは嘘で、国共内戦により蒋介石とともに台湾に歴史的資産がやってきてから作られた博物館であるのも有名である。従って、中国本土にある同名の故宮博物院には、台湾へ持ち込めなかった品数だけ、言い換えれば、台湾に持っていかなくても言いと思うほどのクズしか残っていないから、規模と建物自体も歴史的価値として考えれば、中国本土の故宮博物院のほうが世界四大博物院に入れてもいいが、入れないのはこの理由のためである。

しかし、蒋介石が好き好んで旧故宮である紫禁城からお宝を運んできたわけじゃない。ここには蒋介石をたぶらかせて、自分のものにしたいと思っていた役員が実は絡んでいたのである。孫文の後継者と自認をしている蒋介石にとって、孫文は中華の王朝をぶっ壊したが、歴代から続く中国の歴史の中心人物として存在したいという欲望があった。したがって、その中心人物は歴代王朝が継承してきた遺産についても当然引き継ぐべきであり、それを持っている人間こそが正統の中華継承者であると言いたかったという理屈にくっつけることができる。

故宮博物院は、その巨大な敷地にもかかわらず、全部の宝物を展示することができない。というのも、それほどたくさんの数があるために、毎回故宮を見学しても、展示品を替えており、行くたびに違った展示物を見ることが出来るのはいいことだ。しかし、この展示物をどのようにして持ってきたかということと、溥儀が紫禁城から出て行ったあと、台湾に車での間に、数々の内戦と日本との戦争が会ったはずなのだが、それにも関わらず戦禍を免れて持ってこれたのは何故だろうと、前から疑問に思っていた。

リニューアル改装したと聞いたので、ひさしぶりに故宮博物院に行ってみたのだが、かなり綺麗になっていてびっくりした。しかし、展示物が少なくなっていたような気がするのが気になる。毎度展示物が変わるのかどうかは、新しい女性館長の手腕に関わる。一番吃驚したのは、お土産コーナーであり、前はたいしたものを売っていなかったのだが、いまではすっかり巨大お土産コーナーになっていて、それも書物が豊富に売っている。今回の故宮では、そこで売っていた「故宮七十星霜」というのが目に入り、なかをぱらぱらと見ていたら、まさしく上述した「どのようにして貴重な宝物を、溥儀の紫禁城退出以降、台北に持ってきたのか」という疑問を解消してくれる中身だったので、早速買ってしまった。値段は650TWDで、決して安いわけじゃないのだが、ほとんど文字ばかりでそれもないよう豊富で、惜しげも泣く、自虐的内容も含まれていたので、これはかなり楽しいと思った。もちろん中身は日本語で記載しているので読みやすい。これが中国語だったら、絶対に買わなかっただろう。故宮博物院が直接編集しているもので、少しプロパガンダ的な要素もあるのだが、内乱時期の中国と宝物の関係や、清王朝が消滅したといっても、なかなか溥儀が紫禁城を出なかったために、その間に流出した貴重な宝物が行方不明になったとか、いまでも故宮博物院ではかつては紫禁城にあったものを、台湾マネーを使って買い集めているというのも載っていて、かなり楽しい。

日本でも売ってもいいと思うのだが、あまりこういう芸術的な本について需要が少ないので、日本で出版されるのはたぶんないのだろうと思う。でも、故宮にいったときのおみやげとしてはあまり大きくなく重くも無いものなので、本好きな人には良いお土産だと思う。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

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