2007/10/14

日本の宗教

日本に住んでいるのに日本のことを意外に知らないなと思い知らされるのは、海外に行った時に、現地の人に日本のことを質問されるときだろうと思う。それと、普段何気なく過ごしている風習が、なんでこんなことをしているんだろうと何も考えずに育ってきたために、不意に「それは何故?」と聞かれることにより、「はて、なんででしょうね?」と自問自答してしまうきっかけが、まさしくこのときだろうと思う。
以前、台湾南部に遊びに行ったときに、とても綺麗で流暢な日本語を喋る台湾人じじぃにバスの中で話し掛けられて、最初は良かったのだが、「君たちは今でもアマテラスを信じているのか?」と聞かれたときに、「はぁ!?」と思うのと同時に、じじぃから「僕らは小さいとき、そう信じていた」と聞かされたときが一番衝撃的だった。次に衝撃的だったのは、西洋人に「日本人はクリスマスのときは何をしているのだ?」と聞かれたとき、「カップルだったら、一緒にご飯食べて、セックスしまくるのが常だね」と答えたときに、「日本人の宗教感覚はどうなっているのだ!」と怒られたときだろう。

この2つの出来事があってから、そういえば、日本人の宗教観っていうのは無いに等しいかもしれないが、事あることに神社や寺に行ってお参りしていたりするわけだし、全く宗教観がないというわけじゃないのはとても不思議だとおもった。正月に1年の計を祝うために神社にお参りするし、結婚式のときには、なんちゃってクリスチャンになって教会で式をあげるし、合格祈願や安産祈願のためには神社に行ってお参りをするし、クリスマスのときには教会に行かずに、高いホテルを予約して、夜通しパコパコしているのが多いし、なんでもありなのだろうというのは一目瞭然なのが日本人なのだと思う。

と言う点もあるが、歴史の授業において日本は仏教伝来から、独自に仏教を発達させて、その延長として日本独特の日本文化を形成していったというのも学習する。古代仏教から始まり、鎌倉仏教での乱立、そして現代の怪しげな宗教団体と、ありとあらゆる宗教団体が日本には存在し、それは身近にある。

シリーズ本になっている書物のうち「日本の歴史」については、主に日本の神道と仏教について、その起こりや風習や慣習について述べられているので、日本の宗教観を整理するにはとても便利だ。もちろんキリスト教徒も日本にはいるわけで、どうしてキリスト教徒を生むことになったという歴史的背景についても一緒に述べられているので、参考書として読むのは大変良いと思う。むしろ、神道と仏教については知っているようで知らないことがたくさん書かれているので、これは勉強になった。神社の建物の形はいくつかの種類があるとか、鳥居にも宗派があることについて全然気付かなかったし、「かしこみぃ~、かしこみぃ~」と神社で祈祷されている文句は聞いたことがあるが、あれは一体なんなんだ?ということに対する解説も書かれているので、次に神社で祈祷している場面に出会ったら、内容を聞けば分かるような気がする。

仏教についてもインドでの仏教の起こりと、普通に仏教用語として使っている現代の日本語のもともとの意味や、仏像としていろいろな種類の神様がいるのだが(毘沙門天や恵比寿様など)、それは一体もともとなんだったのか、そして何故祀られるようになったのかというような内容も書かれている。仏教の場合は、もっと生活に密着した内容も書かれており、宗派によって死んだときの戒名や仏壇の飾り方が違うということもこの本で初めて知ったことだし、焼香の仕方や葬式の運営方法なども宗派によって違うということも初めてしった。基礎知識を磨くという点では参考書になるのは間違いない。

現代宗教の章においては、創価学会は有名だが、その起こりや背景はもちろんのこと、実は立正佼成会も創価学会も同じ宗派だったということがこのとき初めて分かり、あんだけ無駄に騒いでいるこの2つのなんちゃって宗教団体は、つまんないことで騒いでいるなーと自己満足の領域で笑ってしまった。
自分の家の宗派(臨済宗だが、どの流派なのか良く知らない)のことさえも、あまり良く分かっていないので、特に自分の家の宗派のところは熟読したつもりなのだが、それでも内容が難しすぎるので、なかなか頭に入らない。これを期に、仏門に入るということはまず無いし、あやしい宗教勧誘をしたいというわけでもない。一般常識としてこの本を読んでみて、かなりためになった。しかし、電車やバスの中で読んでいるとき、表紙や背表紙は、本屋のブックカバーがかかっているから、まともに本の題名を見られることはないが、透けて見えたり、後ろから立って覗き見をしているしているひとにとっては、「こいつは一体なにを読んでいるのだろう?あっ、宗教本か!怪しい奴だ・・・」と思われていたと思う。それでもめげずに夢中に読んでいた姿は、きっと宗教にすがりたい悲しい人間なのだろうと想像されていたに違いない。

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