2008/05/17

チャンギ空港での炊き出し


シンガポールで、ローマ行きの飛行機に乗り換えるためには、シンガポールで7時間半くらいのトランジットの時間がある。この間、チャンギ空港でボケ-ッと待つというほどもったいないことは無い。従って、いつもシンガポール経由でトランジットする時には、一度シンガポールに入国して、ご飯や買物をして時間を潰して、また飛行機に乗るために空港に戻り、そこで空港内にあるシャワーを浴びて、ヨーロッパに行くことにしている。今回は特に遅い便への乗り換えであるために、その時間の使い方や時間帯を心配する人も多いだろうが、あのシンガポールでは特に何も心配することは無い。

ただ、今回の乗り継ぎは少し体力的に消耗した気がする。乗り換えの飛行機のしっぱつ時間が夜中の1時15分であるため、ただでさえ眠い。搭乗する時間はもう少し前だとしても、12時を廻ったあとに乗り換えるのは結構疲れるものである。そういう状況下において、今回はなんと飛行機のトラブルに伴い、乗り場から出発時間まですべてが変更になった。本来飛ぶべき飛行機と同じ型の飛行機でなければ、既に払い出している航空券の座席番号と合わないからだろうが、空港内での移動でまず疲れた。シンガポールでは、出国前の荷物検査というのが、出国手続きとしてパスポート検査をしたあと、各乗り場ゲートの近くで行われる。ということは、ゲートが異なると、また荷物検査を受けることになるのである。その荷物検査というのが曲者で、多くの検査場を開いて効率的に運営しているわけではないので、長蛇の列になるのだ。荷物検査を1回受けるだけでもうんざりするのだが、また同じ荷物検査を行わないといけないし、さらに遅い時間にされるということは、ストレス感がたまるものだ。さらに今回は出発時間がずれたのも嫌気が上乗せされる原因だった。

最初は、出発時間が30分くらい遅れますとアナウンスがあったのに、最終的には、出発時間は2時間遅れますというアナウンスが改めて出たときには、さすがの客も「えぇ~!!!!!」と驚きと落胆の声があがった。おとなしいドイツ人なら文句も言わないだろうが、特に今回はイタリアのローマ行きの飛行機であるため、ただでさえじっとしていられないイタリア人が黙っているわけが無い。眠い上で遅れるなんて言われたら、大人しい人でも文句は言いたくなるだろう。シンガポール航空側も考えたようで、夜中に炊き出し隊を急遽作り、食べものと飲み物で黙らそうという作戦を開催したのだ。これはこれで笑えた。人間の底辺的な欲望を抑えておけば、余計な反発は出てこないだろうというのは、貧乏国の発想なのだが、今回はさすがに方針を間違えたとしか思えない。炊き出し隊の出動の時間帯が悪かった。だいたい夜中の2時のような時間帯に、ご飯なんか要らないのだ。夜行性の人だったらいいのだが、そんな時間帯に元気になる人はそんなに多くは無いだろう。やはり、炊き出し隊が出てきた時には、最初は、欠食児童のような人たちが数人集まっていたのだが、その流れもすぐに無くなってしまった。食べ物のサービスより、最後まで少しは流れがあったのは、コーヒー、紅茶、ジュース、水の配布のほうだった。

最先端の設備と見栄による虚像の塊のシンガポールで、なんとなく古い中国の気質を見てしまった気がした。

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