2011/02/12

ドイツものしり紀行

紅山雪夫の「ものしり紀行」シリーズとして「ドイツものしり紀行」もまた読み応えがある。これまでスペイン編とイタリア編についての書評を記載したのだが、ドイツ編についてもついでなので書評したいと思う。

本書については、ドイツ全体にことは記載されていない。正確に言えば、旧西ドイツ地域に特化した内容になっている。もっと正確に言えば、旧西ドイツ全体のことを書いているわけでもない。日本人に人気のロマンティック街道に沿ったところと、ライン川に沿った地域のことしか掲載されていないため、ハノーバーのような北海沿岸については、掲載されていない。それでもドイツ(あくまでも西ドイツ地域)の主要都市については掲載されているので、参考になると思う。

内容に行く前に、この書全体の感想から述べると、スペイン編とイタリア編に比べると、実は内容的に面白みに欠けるものではないかとおもった。普通のガイドブックの領域からあまり抜けていないんじゃないのか?と思ったのが正直な感想。しかしながら、普通のガイドブックと違うところは、ロマンティック街道編で言うと、すごい小さい村みたいなところまで掲載されているところだろう。こんなところは普通の日本人だったら通り過ぎてしまいそうなところだ。そこにも町独特の雰囲気と文化と面白みがあるのだということを解説しているところは、細かいものだと思う。だから、ありきたりのドイツの都市にいくのに飽きたひとにとっては、少し足を伸ばして小さなド田舎村にでも行ってみたいというひとにとっては、とても参考になる本だと思う。

豆知識として、今回の紹介範囲としてはミュンヘンを中心としたバイエルン地域とラインハルトのことが掲載されている。なかでも、やはり文化が極めて高かったバイエルン地域のことの豆知識は参考になるだろう。もっと詳細のことについて知りたいひとは、別の専門書を見るべきだと思うのだが、ミュンヘンを中心とした数々のおもしろいエピソードを触り程度で知りたいと言う人にとってもいい参考書になると思う。特に、ルードヴィッヒ2世の奇行を触り程度で知るのは、バイエルン文化を知る上では外せない事象だし、隣国オーストリアとの関係がどのようなものだったかと言うことを知るにも外せないエピソードだと思う。

個人的には、もっとエピソードとして入れて欲しかったのは神聖ローマ帝国のこと。神聖ローマ帝国とは実態はどうなっていて、政治統制と各王国の関係はどうなっているのかというのは、なにを読んでもいまいちよくわからないところだ。ドイツはその中心国家であり、だいたいドイツという国家または民族がなにをもって決めたのかというのも重要なテーマだとは思うのだが、その土壌知識がないと、各都市の建物や芸術および治世については、いまいち中途半端に理解せざるを得ないところだ。

ただ、著者は芸術分野、特に建築と都市工学およびキリスト教に精通しているかた。だから、町並みに関する観察とその報告内容はとても分かりやすい。言語学にも少し精通されているようで、他言語との比較やドイツ語でもバイエルンあたりの高ドイツ語とラインハルトあたりの中ドイツ語の違いについてもまめ知識にでていたりするのも、少し面白いと思う。

ドイツはミュンヘンとその周辺地域しか実は行ったことが無く、もっと経済の中心地であるフランクフルトには立ち寄りしかしたことが無いので、どういう場所なのかは全然良くわからない。南部地域のほうが文化的に面白いからだと思っていたから、まだバイエルン地域しか行ったことが無いのだが、可能であれば中部から北部地域にも行ってみたいと思う。ただ、ドイツはやっぱり南部地域を除くと、東部地域が面白いところだとは個人的な予想。しかし、社会主義時代に徹底した社会主義的風景に様変わりしてしまったのだが、また昔に戻って建物も変わったのであれば楽しそうだ。特にベルリンの変わりようは凄いものがある。

次回、ドイツに行く機会があり、それもライン川沿岸にいくことがあれば、この本を参考にしたいところだ。

ドイツものしり紀行
著者:紅山 雪夫
出版社: 新潮文庫
出版日:2005年6月1日

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