2006/10/20

白頭山(長白山)


北朝鮮が聖地を崇めている白頭山。ここがいま揺れに揺れている。中国語では「長白山(Zhangbai Shan)」と言われているこの山。実は、国境を含めて歴史的にも朝鮮人や中国東北人たちの聖地でもあるのだ。女真族だった金王国では「霊応山」として崇め、唐の時代に君臨し、唐との交易は止めても、滅亡するまで平安時代の日本政府と親交があった渤海国でも、その信仰する山と崇められてきた山なのだ。

揺れているというのは、その白頭山が「噴火する兆しがある」という点である。中国の記録上最近では、1597年、1668年と1702年の過去三度噴火があったが、それ以来の噴火らしい。日本では915年に噴火したことが記録に残り、その火山灰が東北地方にまで達したことは地質学上の調査で分かっている。火山の区分としては「休火山」の区別に実はまだこの白頭山はあったのだ。じゃ、なぜこの時期になって噴火するかもしれないのか。それは、10/9に行われた北朝鮮の地下核実験が噴火を引き起こしたのだそうだ。

北朝鮮が核実験を行った場所は白頭山から140km離れている豊渓里(P'unggyeri)。140km も離れているのに何故関係があるのかと疑問もあるかもしれないが、今回の実験で使われた爆薬によって、地下で眠っていたマグマが一気に活動開始した模様だ。

ロシア民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省(略称МЧС)が10/20が噴火の兆候があると発表した。北朝鮮は、国内で軍部による「我慢の限界」から正日くんの政権の崩壊が揺れているところから、今回の核実験行動により軍部の欲求不満を解消したところがある。なにせ、韓国と中国は国内事情が第一で、国際事情は二の次というお国柄。国際批判があることは分かっているのに、それを強行して実験を行ったのは、国内の欲求不満を解消させないと現政権の崩壊に繋がるからである。それが災いして、今回「神」として崇めている白頭山が噴火する兆しを作ってしまったのは、「予期せぬシナリオ」だったに違いない。もし、今回本当に噴火が起こってしまうと、かつてあの辺りを支配していた渤海国の滅亡が白頭山の噴火によることが引き金になったように、金王朝(現代版の王朝だといって良いと思う)の崩壊に繋がることは免れない。

もうひとつ言うと、妄想で作り上げた「金正日の生家」はここ白頭山にある。実際にはロシアのハバロフスク近郊のシベリアの町ヴャーツコエ(Vyatskoye)で生まれている。聖人の域に崇めてしまった指導者を朝鮮族の聖地とリンクさせるという幼稚な妄想には、頭が下がる。

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