2010/09/08

台湾総統府内覧会(台北)

今回の台湾旅行において台北を台南の後にしたのは、帰りがギリギリまで台北のほうが遊べるからという理由もあるのだが、本当のところ、台湾総統府の見学にあわせたスケジュールにしたかったためである。通常、台湾総統府は平日の午前中だけ無料で見学を開放しているのだが、それは1階の展示物くらいしか見ることができず、それも案内員の同行と説明が必須になっており、だから、普通で行くと見学場所が制限があり、荷物も全部入り口で預けなければならないし、カメラ撮影も禁止だ。ところが、特別内覧会というのを年に数回だけ行っており、その時だけは、特別の場所まで見ることができるし、写真撮影もできるのだ。それが自分達が台湾滞在する期間にちょうど合致し、9月4日(土)という普段では絶対行くことができない土日だというから、この機会を逃さないわけが無い。

普通の開放時間と同じように入り口が決まっている。通常なら、その入り口のところで、パスポート提示とパスポートを預けられるし、持っている手荷物も全部保管させられるのだが、それはここでは今回は全部なし。ただし、かばんの中身をチェックされたり、金属チェックのゲートを潜ることはいつもと変わらない。何かを持ち込んではいけないということはない。もちろん、水でさえも持ち込んでいいのである。

チェックが終わると、あとは所々に立っている係員兼兵士の指示に従って、「次はこっちに行ってください~」という指差しのとおりの道を進んでいく。そうすると、あの大通りに面したところから見える一番の正面玄関のところに通されるのである。いつも外からしか見ることができなかったところに足を踏み込むことができるのである。気分は総統府の職員である。普段だとなぜか総統府に入ろうとする人間はすべて「怪しい人」という疑いの目で見るくせに、この日は不思議なことに接する職員は、まるで銀行員のように「いらっしゃいませ~」とかなり丁寧な対応だった。この対応もなんだか変である。別にサービスを提供してもらいたいと思っているわけじゃないんだが、挨拶されるのは悪くない。だけど、普通のときみたいにまた監視員のように付きまとわるんじゃないの?という思いはあったが、実際には無かった。

さて、実際に足を総統府の中に踏み入れてみた。
入り口の次にある前室を通ったあとの、最初の一歩からもう吃驚。
白の大理石を基調としたロビーが目の前に広がった。天井がとても高く、こんな西洋風の建物になっているとはとても考えられなかったが、基本的には全部日本統治時代に作られたもので、現在は多少修復しているだけである。当時からこんなにモダンな建物だったということは、どれだけ日本政府は台湾に力を入れていたのかというのが良くわかる。そして、正面には総統府の建物の中の主要な部屋にいくために上がる階段がある。もちろん、その階段の中央部分には赤絨毯が敷かれているのは言うまでも無い。そして、階段のトップのところには、三民主義の神様である孫文の胸像がある。階段の下からでも孫文の顔が見られるので、三民主義万歳の台湾のひとにとっては、常に孫文に見られているのではという一種の守り神のように見えることだろう。しかし、そんな威厳に満ちた胸像よりも、現政権の総統と副総統両名の実物大の等身パネルが階段下に、赤絨毯を挟むように両側に立っているのだが、これがまた嫌がらせのように絵にならない。取り除いて欲しい。しかし、現政権国民党の宣伝にしたいのか、等身大パネルを置いて、訪問客に対して一緒に写真を取れるような気配りをしているところも厭らしい。しかし、階段のところで記念写真を撮っている人の多いこと、多いこと。確かに一番絵になる場所だから、ここで何枚も写真を撮ろうとする人はいる。特におばさんたしのグループは大変だ。数人のグループでやって来た場合、誰かがカメラのシャッターを切らないといけないので、仲間の誰かが抜けることになる。となると、誰かが居ない場合というパターンを全パターンやるまでそこから動かないということが起こるのだ。もうこうなると、おばさんたちは周りの迷惑考えず長居する。困ったものだ。さて、階段をどんどん上っていくと、ロビーのところを上から見下すような場所に出くわす。こういうところは、まるで自分がいま台湾にいるのを忘れてしまうような光景だ。どんどん進んでいくと、いくつかの普通では観ることができない部屋を観ることができた。

まず最初に目の前に見えたのは「台湾綠廳 (Taiwan Heritage Room)」。主要の用途としては、総統に会うための控え室のようなものとして使われているところだ。とはいっても、この部屋、結構中は広い。控え室と言われているから数人が座れるだけのところかとおもったらそうではない。おそらく総統と会うということは、台湾内のひともそうだろうし、中には国外から来る賓客も居るだろう。そういう人たちが会合をするための前に通される場所なので、メインの賓客のほかにお付きの人もいるわけだから、きっと相当の人数も来ることになる。それらの人たちも収容できるくらいの椅子は用意されているというわけである。それにしても正面の達筆な書が書かれているのが観られるが、これは一体だれが書いたものなのだろうか?そして、中央の絨毯は、緑色を主要とした雉が描かれているのが、派手ではなく、また質素でもない感じが良く出ている。続いて「台湾晴廳 (The President's Hall)」と呼ばれるところであるが、ここは、各国の元首クラスや国内外の賓客を迎えるための部屋で、さきほどの部屋よりもランクは上である。こちらのほうがインテリアと椅子が重厚な感じがすることと、部屋の正面には孫文の肖像画が掛っているという点においては、先ほどの部屋よりもランクが上であることが良くわかる。部屋と部屋を結んでいる廊下を歩いていると、台湾の芸術家の各種作品がショーケースに飾っている箇所を何箇所か通ることになる。しかし、これらのショーケースの作品は、故宮博物院に展示されている作品に比べると、かなり見劣りするものであり、なぜこんなものが総統府に堂々と飾られているのかの意図が全くわからない。しかし、そんなつまらない廊下を通っているときに、ふと中庭のほうを見ると、なんだかここが本当に台湾なのかというのを忘れてしまうような感じだ。というのも、建物は四角形になっており、その真ん中は中庭になっている。建物の角に当たる部分だけ見ると、中欧によるある城の建て方と非常に似ており、その城の中にいるような気分になるからだ。戦前の日本人建築家の欧州に対する想いと洗練された美的感覚がいまでも見劣りしないところに驚嘆する。そして大ホール(大禮堂 The Auditorium)が見えてきた。ここは、重要な式典や国賓を迎えたときの宴会を行ったり、総統が主催する音楽会や茶会が開かれる場所であり、総統府に勤めている人たちが集合する場所でもあったりする。ここは、他の部屋と違って、誰でも見学者は入室することができる。偉いひととか、勲章をもらえるひととか、そういう人しか入れないようなところに、こういう見学日では入ることができるのだから、すごいと思う。中央にはすこし壇になっているところがあり、そこには孫文の肖像画と中華民国国旗が大きく掲げられている。そして、なぜか、やっぱり馬総統が、見学者と握手ができるような等身大パネルが用意されて立っているのが邪魔臭い。しかし、台湾人見学者にとってはとても素晴らしい演出に見えるのだろう。それにしても、このホールはとても広い。広いし、天井が高いし、いかにも大ホールという感じだ。こういうところで催される会合やイベントというのは一体何なのだろう?と思う。続いて覗いてみたのが、「台湾虹廳(The Rainbow Room)」であり、ここでは総統主催による大宴会を行ったり、報道陣向けの取材を受ける場所でもある。総統が総統府でインタビューに答えるときには、この部屋から行われることになる。見学会の時には円形に椅子が並べられているのだが、実際に使われるときには、机と椅子が整然と並んでいるような状態なのだと想像できる。そのあとは、1階のほうに下ろされて、普通の見学コースである各種展示物が置かれているところを自由に見ることができる。もちろん、写真も好き勝手に撮っていい。やっぱり観て欲しいのは日清戦争のあとの戦争締結調印の文書が残っていることだろう。清は対面的に大清帝国であったため、それに勝利した日本は日本帝国ではなく、大日本帝国と格好を合わせなければ面目が保てられないという理由で国家名を変えてまで調印したと言われている証拠書類である。そして、中国語の講和条約の文章は、必ず清のほうから書かれたというから驚きだ。負けたほうは後から記載するものかと思っていたのに驚きである。いずれにしろ、普通の時にはこういう展示物のところを見ることができるのだが、特別内覧会のときは、案内員の説明無しにじっくりと自分のペースで観ることができるので嬉しい。日本語の説明員による総統府の説明もとくにはありがたいとは思うのだが、説明員の興味と趣味と思いの関係からか、途中本人にとってどうでもいいところとか、苦々しいところと思うようなところは、全部すっ飛ばしてしまうから困るのだ。だから、素直な目で台湾の歴史を見ることができるこういう内覧会のときが一番嬉しい。ぜひ、総統府のスケジュールを確認したうえで、内覧会を見ることができる日があれば、それにあわせて見るべきである。

民國99年度參觀時間表(假日參觀時間)
http://www.president.gov.tw/Default.aspx?tabid=173

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