2006/08/16

テルミン

我友人に「師匠」と言える人が存在する。その人は多芸に秀でていて、色々なことに精通している文学青年なのである。そんな彼が、数年前に「テルミンに凝っている」と連絡があって、なんでそんなもんに興味をもったのだろうとそのときには思った。

テルミンとは1920年代ロシア人物理学者レフ・テルミン(レフ・セルゲイヴィッチ・テルミン)(1896年 - 1993年)が発明した電波楽器で、世界初の電子楽器である。楽器といっても、見た目は箱に2本の棒が立っているだけの、一見すると訳のわからん楽器に見える。鍵盤もないし弦も無い。吹奏楽器でもないので口をつけるわけでもない。じゃ、楽器というならどうやって弾くかというと、なんとここからは物理の授業。2本の棒からは違う周波数の音波が発生しており、その2本のアンテナに手をかざして手をアンテナ間の距離等を調整することにより、静電容量の変化を起こし、それによって一方の周波数が変わり、音程を変化させている。演奏している様子だと、まるでマジシャンが何かをしているだけのようにしかみえない楽器である。

彼からその話を聞いたのは、日本ではあまり話題にならなかったテルミン演奏家が来日してきたという話をきいたときである。発明者の孫にあたる演奏者が来たときの話。ロシア文学専攻の彼は、縁あって、その演奏者が来日中にロシア大使館で遭遇したらしい。それだけでテルミンにノメリこむほどの人ではないのだが、実はその友人、大のテクノ系音楽の愛好家でもある。某テクノの大御所バンドの日本語メーリングリストはもちろんのこと、そのバンドの日本ファンを総纏めするくらいの人になっている。テクノ系が好きだという本来の背景と、元祖テクノ系要素の楽器が重なれば必然的にテルミンにのめりこむのは間違いない。

実際に彼の家で見たことがある。見に行ったときには当時既に2台も購入していた。購入手段が凄い。ネットで調べて買ったという。オークションだったかどこかの楽器屋のネット専門サイトで買ったのかは忘れたが、手に入れてから毎日毎日、取り付かれたようにテルミンの前に立って上手にテルミンを弾いて見せてくれた。

そのときには趣味程度のものだろうと思ってしばらく音信不通になっていたのだが、何気なく今日別の案件で検索をしていたところ、その彼の名前が出てきて、なんと「テルミン」という題の本まで出しているではないか。これは友人としてこれは買わねばならんと早速三省堂へ出向く。テルミンについての歴史や構造、そして演奏方法等々、これぞまさしくテルミンについて初めて日本語で記載された書物ではないかとうまくまとまっていて、さすが文学青年である。もう既にいろいろな場所で活躍されている方なので、ご存知のかたもたくさんいるのではないだろうか。不思議な楽器テルミン。普通の楽器屋では手に入らないものだ。

テルミンとは   
http://www.workroom.co.jp/theremin/theremin/index.html

映画「テルミン」 
http://movie.goo.ne.jp/dvd/detail/D110470161.html

「テルミン-不思議な電子楽器の誕生」
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4885955882/250-1863805-8030666?v=glance&n=465392

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