2007/02/01

落語の初歩本

正月に落語を聞きにいったこともあり、すこし落語に対して興味がでてきた。これも年をとったからなのかどうかはわからないが、落語のよさというのをだんだん理解できてきたというのが正しいと思う。それまで落語といえば、テレビの「笑点」かNHKの寄席くらいしか知らなかったし、落語の話というのはあまり知らないというのが本当のところだった。何も無い知識のところへ、正月の落語を聞きに行ったから、落語とは関係なく、「おめでとうー」という騒いでいた昇太の場合は楽しめても、伝統的な落語を聞かせてくれた人の話は、ちっとも面白くなかったという悔しさがあった。そこで奮起して、ちょっと落語について勉強しようかと思い、本屋で落語に関する本を買ったのである。

落語は日本の伝統芸能の1つであるため、出版されている書物は本当にたくさんあってびっくりした。どこから手をつけて良いのかわからなくなるのも、落語という分野の奥深さだろうとおもう。あまりにも多すぎるので、ぱらぱらと立ち読みして、基礎知識として知っておこうかなと思ったのが、「落語の話」「芸能としての落語の歴史」「落語のなかで使われている背景」「落語家の系統」の分野だった。落語家は本当にたくさんいるため、それぞれの落語家によって同じ話でも違う持ち味に聞けるというのは有名な話。これは同じ曲でも指揮者が違うと、違う音楽に聞こえるというのと同じだと思う。だけど、話の基本あらすじを知らなければ、その違いのよさというのは分からないとおもったので、まずは落語の話は知りたかった。さらに、一体、落語というのはどういうところから生まれてきたのかという、芸能としての要素も知っておきたい分野のひとつでもあった。元来、歴史が好きだったので、なにか物事が続いている場合、その建立があるはずだから、それを知りたかったのである。さらに歴史の延長として、落語の話は大抵江戸時代の町の中の風景を克明に表しているから、その歴史背景を知りたかったというのはある。最後に、落語家というのは、「○○亭」というのが多いのだが、一体、だれが誰と系統が同じなのかさっぱりわからないので、それを知ることだった。

以上の観点から見てみると、まずは、三省堂から出版されている「落語ハンドブック」は、落語の基礎を知るためにはバイブルのようなものだと感じた。落語が成立した歴史と、落語を聞くために必要な用語、落語の種別、落語の話を支える庶民の暮らしの様子の解説、そして、有名な落語を集めた要約が紹介されている。最後に、落語家の系統と有名落語家の紹介を載せているので、これさえあれば大体の落語の世界については理解できるものだとおもった。一番面白いとおもったのは、落語家の系統なのだが、そのなかで、誰が誰を師匠としているかというのを、家系図のように載せているところだろう。現在活躍している落語家ならすべての人が紹介されているので、一種の芸能人総辞書みたいな感覚で楽しめる。いまではすっかりバラエティ司会者として有名になってしまった「明石家さんま」も最初は落語家として師匠の下についていたことが証明するように、師匠である承服亭松之助のしたに書かれているので、吃驚ではあるが、本人もテレビで紹介していたことがあるので、それほど驚くことではないだろう。ただ、落語の話の内容だが、これが要約であるため、もう少し内容を長く書いて欲しいとおもったところだ。ただ、要約と、抑えるべきポイントは全部書かれているので、ここに書かれている落語を聞いた場合には、きっと「楽しい」とおもうだろう。もちろん、その落語の話になかで出てくる言葉の解説も載っているので、その時代の歴史文化を知ることができる良い本だと思われる。

そこでもう少し落語の話に特化して、話が長く書いている本は無いかなとおもって探したのが、立川志の輔監修の「古典落語100席」だ。確かに有名どころの落語が100席かかれているのだが、読んでみてかなり消化不良になった。先述の「落語ハンドブック」より確かに話が長いのだが、まとまりかたがまとまっていない。オチになるようなところ、見どころとして押さえておきたい箇所というのか、かなり漠然としているためにそう思ったのだろうと思う。辞書代わりにしたいとおもっても、ジャンル別に分けられているわけでもなく、題名を「あいうえお」順に並べているわけでもない。読んだ後に口直しとして別の落語の本を読んでみたいと思ったくらいである。「落語ハンドブック」の場合、落語の題名はいろいろな題名で書かれている。というのも、落語家や大阪か東京かどちらで話されるかによって、同じ内容でも題名が異なって演じられる場合があるため、解説の意味で、同じ話でも題名をいろいろ紹介されている。ところが後者のこの本は、まったく題名に対しては重きを置いていない。

Amazon のレビューにも書いてあったが、講談社学術文庫から出ている「古典落語」を改めて読みたいと思った。

・ 落語ハンドブック 山本 進 編集 三省堂


・ 古典落語100席―滑稽・人情・艶笑・怪談 立川 志の輔監修, PHP研究所


・ 古典落語 興津 要 講談社学術文庫

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