NTTドコモの最近の機種(最新の機種ではない)には、情報配信サービス「iチャネル」のボタンがデフォルトで付いている。そして、「iチャネル」って一体何?という人たち用に、端末を購入したら1週間だけ無料でどのようなものか見られるサービスがくっ付いているのがミソだ。そもそもiチャネルはニュースや天気予報などの情報を1日数回自動で配信し、待ち受け画面にテロップ形式で流すサービスであり、見出しのみの受信は通信料はかからないが、より詳しい情報を得るには別途データ通信料がかかるというもの。新幹線に乗ると、車輌の入り口情報に「毎日新聞ニュース」とか「読売新聞ニュース」とかのテロップをご覧になった人が多いと思うが、あれと同じようなものを携帯にデフォルトで載せようとしたものである。
ちょっとしたニュースや天気予報などの知りたい情報をテロップで流されるのは便利だとは思われるが、実はそう思うのは最初だけ。時間が経過すればするほど「邪魔」と思うサービスなのだ。そのような客側の心理を知ってか知らずか、携帯電話を購入したら勝手にサービスが開始されるというのが曲者だ。最初の1週間だけ無料なので、ふむふむと楽しんでいると、そのうち「無料サービスが終わりました。正式に契約してください」というのが出てくる。何にも知らない人は、特に料金表示や詳しい説明が出てこないので、「あれ?出てこなくなっちゃった」と思わせて、契約させるという魂胆になっている。いちおう、ユーザ側が操作をすることで契約させたことにしているので、自動的に契約させたことではないから、法的にはひっかからない。しかし、心理的には、無意味な壷を買ってしまった新興宗教とやっていることは似ている。
そんなiチャネルだが、なんと契約数があまりにも最近多くなってきたために、当初の目標契約者数の600万から1000万に事業計画を変更したというニュースが入ってきた。携帯電話で話をしている人が少なくなったので、従量制課金の取れるところが少なくなってきたことは確かだ。その埋め合わせとして、データ通信による従量制課金分野を開拓したいと始めたのがiモードであり、メールサービスであった。その上に、携帯は持っているけど、ウェブを見たり携帯でネットの情報を見るようなことを「しない」人は意外に多い。そのユーザさえも、取り込んでしまおうと思って始めたのが、iチャネルである。普通の携帯向けサイトとは違い、ドコモが自社で行っているサービスであるために、月額契約金額が1ヶ月150円というのは安いと思い、それで利用している人は多い。ドコモ側としては、安くすることで、ユーザの加入の敷居を低く抑え、それで囲い込みをしようとするものだ。6000万加入のあるドコモにとって、全員がこのサービスに加入して貰えれば、単純計算で1箇月90億円の売上になるのは大きい。
iチャネルのもう1つの心理的な要因として、最新情報がテロップで流れるため、自分が携帯で見たいと思っていた情報が、すでにテロップ情報として流れず、見逃したということを使った面がある。テロップ情報は定期的にネットから自動的にダウンロードするために、ある程度時間が経過するとテロップ情報が変化するのだ。それで情報を見逃したり、現在流れているテロップの詳細情報を知りたいと人間は思う。そうすると、そこから先には無料の領域ではなく、データ通信の従量制課金の領域に踏み込むため、おかげでまたドコモ側が儲かるという仕組みになっているのだ。ウェブの情報は見ないが、iチャネルで遊んでいると知らない間に結構パケット料を取られていたという人が多いのはうなずける。
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