2007/03/03

台湾新幹線が全線開通


台湾新幹線が「ようやく」全面開通した。問題だらけで、まともに開通するのかと言われていた新幹線が開通したのは喜ばしい。しかし、まだまだ台湾人にとっては、あまり信用におけない乗り物と思われているようだ。ただ、新幹線という珍しい乗り物に、富士急ハイランドのHAYABUSAに乗る心境と同じように、恐いもの見たさで乗っているというのが現状のようだ。日本人にとっては日本の新幹線ほど、時間に正確で安全で安心できる乗るものは無いのだが、台湾人にとっての台湾新幹線はまだまだ信用を得るのに時間がかかるらしい。


1月に開業したときには、台北から15分ほど南に下った板橋駅からの開業だったのだが、ようやく台北までの乗り入れが完成して、高雄の隣にある左英駅までの全線約345キロが開業した。台北駅の改良工事は既に昨年内に完成しており、巨大な台北駅のところの一部だけが、異様に綺麗な改札口と切符売り場があり、それが工事中の柵で囲まれている姿が結構面白いな-と思っていたのだが、いよいよあの改札口と切符売り場が活動開始したのだとニュースを見て思った。


以前は特急列車の自強号でも5時間30分もかかっていた高雄までの移動だが、この新幹線を利用して台北から高雄へ移動するのに、たったの1時間40分で移動できる。新幹線が出来る前までは、長距離バスと電車の競合があり、時間的には同じくらい時間がかかっていたため、バスのほうは豪華さや個別テレビ付きとか装飾が凄いというのを売りに競争していたが、これで完璧にバスのほうが出遅れたと思う。単に値段が安いだけしか売りがなくなってしまった。代わってライバルになったのが飛行機だ。台北の松山空港から高雄空港までは約1時間だし、飛行機は空港に着いたらすぐに乗れるというわけじゃないので、時間的にも完璧にライバルになった。値段も新幹線の場合1490台湾ドルで、飛行機の正規運賃が2200台湾元(参考:60歳以上と12歳以下の運賃は1100元。従軍している人は2090元)だから、飛行機のほうが分が悪い。幸い、日本の新幹線のように過密スケジュールで運行しているわけじゃないので、新幹線より速さと便利さを追求する人たちにとってはまだまだ飛行機のほうが便利なようだ。台北の松山空港が街中に存在するので、街中に移動する際には便利だからというのも1つの理由だろう。


使いようによっては、台湾南部へ日帰りで旅行ができることが可能になった。言い換えれば、高雄のような南部の人たちでも日帰りで台北に来れるようになった。ということは、日本の地方都市が過疎化したのと同じように、台湾南部の経済が下降することを意味する。なぜかというと、地元で遊ばず、もっと都会にでて遊んでしまうので、地元に金が落ちないからである。台湾人にとってはやはり台北は憧れの都市。今までなら1泊しないと台北で遊べなかったのに日帰りで遊べるようになるのは嬉しいことだ。現在台湾新幹線の運賃は正規になったが、先日までの「お試し期間」のときには半額で運用していた。このときの客層と客の動きを見ていると、先述の内容を前兆が見えた。特に、新幹線の途中沿線都市は、さらに客が下りないために経済効果が下がることだろう。台南や嘉義や台中で降りて遊ぼうという人は元来台湾には居ないからである。みんな台北に行きたがる。この基本構造を知っていれば、台湾新幹線の今後がわかるような気がする。

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