2009/04/11
ヨーロッパの王室がよくわかる本
ヨーロッパの王朝は本当に分かり難い。同じ民族で他の民族とほとんど交わることなく、王様と統治者が異なる国・日本にいると、ヨーロッパのような政略結婚で国なのか地域なのかよくわからない「単位」での駆け引きというものがどのように起こっているのかというのが、本当に分からない。特に「~朝」という王朝のことは、さらに分からなくしている。
現在の国ごとの、歴代王朝を時代に沿って概要を説明している本としては、導入編として分かりやすい構成だとおもう。が、なんで最初がイギリスなのかが理解不能だ。ギリシャとローマ帝国以外のヨーロッパの王朝を紹介しようとするのであれば、フランク王国から紹介しないといけないとおもうのに、なぜフランク王国とは何の関係もないようなイギリスから紹介するのかが分からない。イギリスをヨーロッパの中心地と思っている無知な大半のひとに、導入しやすいような構成にしたかったのだろうか?
掲載されている国は、イギリス、フランス、ドイツ、オーストリア、ロシア、スペイン、ハンガリー、スウェーデンが主であり、現在でも王室がある、ベルギーやオランダのような小国については、ほとんど「おまけ」程度で掲載されている。歴史的にもどちらかというと、詳細の王家の歴史を記載されている国のほうが面白いと思うので、国の選択としては良いと思う。
各王朝での成り立ちや、その王朝の中での有名人のエピソード等が概要としてテンコ盛りになっている。普通の王朝の歴史だと、同じような名前の人が色々なところで出没してくるし、単に「~世」と数字でしか区別がつかなくなると、もう誰だかわからなくなる。そんな王朝の登場人物を全部紹介しているわけではなく、有名人だけ取り上げているので、頭の整理にはなると思う。
もちろん、王朝の家系図も載っているので、概要を知るには分かりやすい。ただ、ヨーロッパは時間軸と地理軸の両面で、他国と複雑に縁戚関係を結んでいるので、ある国の典で王朝を見たときには分かり難いが、別の国の歴史でみたときに、また同じ名前の登場を見つけるときが、そのときにはこういう家系図は、とても重宝できる。
ヨーロッパの「王室」がよくわかる本―王朝の興亡、華麗なる系譜から玉座の行方まで
造事務所 (著)
出版社: PHP研究所
発売日: 2008/4/1
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