2009/04/11

住まなきゃわからない沖縄

リタイアした人、または途中でドロップアウトして、のんびりした沖縄に移り住むというのが、2000年ごろから世間で話題になっている。特に石垣島の変貌については、記憶に新しいところだろう。でも、実際に沖縄に住んで「良かった~」という生の声はあまり聞こえてこない。たぶん、「良かった」とあまり言いたくないのだろう。言うと、自分達と同じように他県から移り住んでくる人が多くなってきて、せっかくのんびりできるとおもっていた生活が、また元の通りになってしまう懸念があるからなのだということも聞いた事がある。

とはいっても、生活の場が沖縄になった場合、今までの他県での生活とは全く異なるのは当然である。それは、やっぱり「沖縄」だからなのだと思う。

沖縄に住むとこんな習慣があるとか、沖縄にはこんな不思議な食べ物があるとか、沖縄に住むと、こんなにびっくりするような出来事が起こるというようなことを、主に本島に住んでみて分かる事実を満遍なく、面白おかしく書かれている。

実際に沖縄にいったことがないので、ほんとうかなぁ?と、今でも信じられないのであるが、沖縄が好きな人に話を聞いてみると、「おぉ、確かにそのとおりだった」というから、やっぱり本当なんだーと思う。

だいたい著者がだんだん沖縄に嵌っていって、沖縄にすみ始めてしまうというエピソードが面白い。奥さんが重度の沖縄オタクになってしまって、それで自分が感染して「じゃ、住んでみるか」と軽いノリで移住してしまうというのも傑作だ。そんな簡単な人生でいいのか?と突っ込みを入れたくなる。が、当の本人も言っているが、軽い気持ちで沖縄で住もうなんて考えないほうがいい。あそこは日本じゃない、とまで言っている。覚悟しいやということなのだろう。

ただ、この著者は沖縄が本当に好きなんだなーと文章を見るとよくわかる。沖縄が好きじゃないと、沖縄に関する不思議なことやその辺にオバちゃんのエピソードやには目が向かないのだろう。ただ、本当にそんな人達が居るのかとか、著者が大阪のひとだから、また話を大袈裟に書いているだけだろう?とような場面がいっぱい出てくるのだが、どうも本当らしい。小馬鹿にしたような書き方をしているのだが、それも筆者が沖縄を心から好きなためであり、好きだからこそ貶すという、まるでチュウボウのような気持ちで書いたのだと思う。

本の中では、「沖縄を眺める」「沖縄に住む」「沖縄を食う」「沖縄を知る」「沖縄を歩く」「沖縄を遊ぶ」「沖縄を考える」という章で構成されているが、どの章が何かにフォーカスを当てているわけじゃない。筆者の勝手なジャンル分けではあるのだが、沖縄に生活して知らなかった風習やこんな変な人・出来事は日常茶飯事に遭遇するというのを紹介している。詳しいネタはこの本を読んで貰えれば分かるが、沖縄にいったこともないひとにとっては、幻想的な沖縄に対して、一瞬立ちろいでしまうかもしれない。逆に、沖縄に一回でもいったことがあるひとは、「そうそう」と手を叩いて抱腹絶倒だろう。

巻末に沖縄語も紹介として載っているので、簡単な沖縄語を覚えたい人にも役立つと思う。沖縄語・・・字幕スーパーがないと理解不能です。


住まなきゃわからない沖縄
仲村 清司 (著)
出版社: 新潮社
出版日:2004/11

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