2007/03/14

71歳の数学博士号

数学の分野は若いうちに達成しないと、なかなか新しい発見ができないと言われる、結構厳しい学問の1つだと長年言われてきた。このたび、71歳のリタイアされたかたが、難解な方程式を発見したというのはとても驚くべきことだと思う。数学者の大半は、周りからみると変人にしか見えない人が多く、多くの数学者は若いうちに死んでしまってしまうほど、数学が大好きで、それも没頭するために、人間的な生活はどうでもいいと考えてしまうからだといわれている。そして、いろいろな法則・方程式を発見する人の多くは、だいたい若いうちに、その能力が開花しているというのが一般的なのだが、このかたはリタイアしてから数学を新たに研究し始めたところに、その偉業は大きい。

だいたいリタイアした人の多くは、「これまで企業戦士として働いていたが、長年、仕事一筋で生きてきたために、ろくな趣味が無い」とか「毎日決まった生活を送っていたから、リタイアしたあと、何をしたらいいか分からない」なんていうひとが多いと思う。中には、せっかくリタイアしたのだから、これまでできなかった新しい何かをしてみようという意気込みを持っている人も多い。この数学で博士号を取った人もまさしくその分類に属する人だ。だが、実際の多くは、何をしたらいいかわからない組だろう。何をしたらいいかわからない人は、その後、ボケが進んで早くポックリ逝くとも聞く。数学に後年になって打ち込んでいると、「死んでいられない」と思うはずだ。バイタリティがあるといえば簡単なことだが、脳みその回転が遅くなっているし、不器用になっているし、昔みたいな能力で体が動かなくなっている中で、高難度の解を導いたこの方は、大変素晴らしいことだと思う。

もっと世の中が騒いでもいいと思うのだが、なぜあまり騒がれていないのだろうか!?


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71歳が数学博士号、難解方程式で新発見――定年後、大学に

 企業を定年退職後に大阪大で数学を学び、研究してきた71歳の男性がこの春、博士号を授与されることになった。研究内容は世界の最先端として高い評価を受けている。若手の活躍が目立つ数学では60歳を過ぎて学び始め、論文を書く人は極めてまれだ。
 大阪府池田市の金子和雄さん(71)は大阪大大学院で機械工学の修士課程を終え、企業の技術者として蒸気タービンの設計などに携わった。9年前に定年退職。「まだ何かできそうだ」ともう一度勉強する決心をした。
 数学を選んだのは“消去法”だったという。「学生時代は製図や実験に時間を取られ、じっくり勉強した記憶がない。物理は体力的に実験についていけそうもなく、数学へ。行きたいとは思っていたんですが」と話す。
 学部の聴講生から始めて、順調に大学院に進学。数学者を悩ませてきた「パンルベ方程式」という難解な微分方程式の研究に打ち込み、この方程式を満たす解となる新しい関数を発見した。成果は国内の学術誌や海外の研究会で発表され、高い評価を受けている。
 「苦しんで苦しんで計算して、やっと一つ、答えを見つける。小さな前進ですけれど、そのうれしさは、何ものにも替え難いものです」
 指導教官の大山陽介同大助教授(44)は「博士課程で研究が止まる人も少なくないが、金子さんは本当に順調に続けてこられた。若い学生にも良い影響を与えたと思う。細かい計算に丁寧に、執拗に取り組む姿勢は私も見習わなければ」と語る。

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