ゴールデンウィークにアドリア海の真珠と言われるクロアチアに行こうと思っているので、事前にいろいろ情報を収集しようと思い、ネットや書物を片っ端からあさってみた。1998年のサッカーのフランスワールドカップの際に、日本が対戦した相手国として、日本人にはようやく「そんな国があるんだ」と思われていたところで、そのころから、ようやく日本にクロアチアに関する書物がちらほらと出てきたと思われる。それでも、クロアチアは、旧ユーゴスラビア連邦の1つの構成国家だというあのあたりのごちゃごちゃした人まとまりの1つだという認識からは長らく日本人から脱せなかったのではないだろうか?
クロアチアの魅力を紹介するような旅行記や書物もガイドを含めて本当に少ない。ありがちなフランス・イタリアに比べると圧倒的に少ない。別の機会に記載したと思うが、よくもまぁこんなくだらない内容で1冊の本として成立するなーというクロアチアの旅行記もどきの書物もあったりするが、こういうのは全く役に立たない。所詮、どうしようもない女性が身勝手な感性で現地を旅行して感じたことを、メルヘンチックに記載しただけの旅行記だから。
地球の歩き方を除いて、まともなガイドブックが無いなか、旅名人ブックスの「クロアチア」はとても有益な情報が掲載されている本であるといえる。クロアチアの歴史と文化、そして見所を文章とカラー写真で紹介されており、通常のガイドブックであれば、薄っぺらい内容になってしまうところを、読んでいるだけで現地に行ってしまっているような錯覚に陥るような豊富な写真が魅力的である。
掲載されているのはクロアチアのほぼ全域であるが、メインとしてはドブロブニク周辺とダルマチアと呼ばれるアドリア海沿岸と首都ザグレブである。おまけの情報として、ドブロブニクからいける場所である、モンテネグロやボスニアの一部と、クロアチアの兄弟みたいなものであるスロベニアのリュブリャナが少し掲載されている。が、このおまけの情報はあくまでもおまけであり、メインではない。
クロアチアは国家の形がへんな形をしている。ほとんどの魅力的な場所は海沿いの地域ばかりで、首都があるザグレブのようなところは、とってつけたようなくらいの場所に思われても仕方ない。だから、旅名人ブックスの内容にしても、もちろんドブロブニクを中心とした海岸地域を中心として紹介されているし、そのほうが訪れるところはたくさんある。
ドブロブニクとザグレブにはたくさんのページを割いて紹介されているので、地球の歩き方と併用して見所の確認をするべきだと思う。ただ、その巻においても旅名人ブックスは、レストランとホテルの紹介をしているわけではない。ガイドブックではあるがありがちな内容の薄いガイドブックにならないように務めているからだろう。だから、ご飯のことや泊まる場所のことを考えるのであれば、地球の歩き方や誰かの旅行記を参考にすればいいだろう。そのほかの都市として、ローマ帝国の遺産であるスプリットについても当然たくさんのページが描かれているので、とても参考になる。だいたいのガイドはそれで終わりなのだが、旅名人ブックスでは、ダルマチアの海岸沿いの小さな都市をたくさん紹介されているので、長期間の滞在を希望としているひとにとっては、どういう町なのかというのを事前に知るためには有益な本だと思う。それとイストラ半島の各都市を紹介されているところも有益だ。ドブロブニクは遠いがザグレブを中心に廻ろうかなとおもうようなひとにとっては、イストラ半島のほうに出向いて観光をするのもいいからだ。といっても、ザグレブからイストラ半島に行くには、電車かバスで長時間乗らないといけないので、不便な場所であるのは変わりない。ただ、情報があるのと無いのとでは、足の運び方が違うだろう。
ただ、この「クロアチア」編だが、あまりにも分厚く、カラー写真が多いために本としては重たいので、電車で立ちながら読むというにはちょっと辛い本である。
クロアチア/スロヴェニア/ボスニア・ヘルツェゴヴィナ―アドリア海の海洋都市と東西文化の十字路
出版社:日経BP企画(旅名人ブックス)
発売日: 2006/06
単行本: 394ページ
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