2011/04/13

地震災害と通信網

東日本大震災が起こったときに、みんな無事確認電話をかけようと、一斉に電話網を使うようなことが起こり、一気に網がパンクすることから危険性を察知し、自動的に着信規制を行う処置がとられた。したがって、その規制処置が行われたあと、なかなか電話が繋がらないということが起こったのは記憶に新しい。これは対携帯電話でもそうだし、対固定電話に対しても同じだった。あくまでも規制は「ある特定の地域に対する通話に対しては、着信側をエリア規制する」というような処置を電話会社は行っているため、混雑地域から、全く混雑地域とは関係ない場所へ電話をする際には、周りの影響とは関係なく通話が可能だ。例を挙げると、電話が掛かりにくい状態だった東京から、大阪へ電話することは、何度も通話をトライしなくても一発で繋がるのである。これは大阪側の着信を規制していなかったからというのが理由だ。

そしてもう1つ規制の方法として、同一事業者内の通話を規制するというのがある。事業者が異なる場合には、事業者間接続と呼ばれ、ある程度その通話路は確保しなければならないということがある。だから、同じ携帯会社同士で通話しようと必死にリダイヤルをするよりも、固定電話から携帯電話、または携帯電話から固定電話のほうへかけようとしたほうが掛かりやすいのである。さらにこの延長で言うと、通話ということを考えたときに、固定電話と携帯電話だけが通話というわけじゃない。IP電話というのも1つの電話である。要は050で始まる電話番号である。最近はあまり話題になっていないのだが、プロバイダに加入すると一緒に番号も付与されるサービスもあるのだが、それで使われているのがIP電話。この加入者数は携帯電話や固定電話に比べると断然少ない。ということは、それだけ電話が掛かりやすいということになるのだ。なぜなら、IP電話も1つの事業者として認識されるため、その通話路は確保しなければならないからである。

新潟沖地震の際に、東京から新潟への通話が普通だとぜんぜん繋がらないという状況だったのだが、幸い先に導入した050電話のおかげで、周りの通信状況と関係なく、普通に通話ができたという話を良く聞いた。今回の震災に関しての050の役割はあまり聞こえてこないのだが、やはり状況は新潟地震のときと変わらないのだろうと思う。

携帯同士で電話が繋がらなかったというのは仕方ないとして、意外に繋がったのがメール。タイムリに繋がったというわけではないかもしれないが、結構使えた。メールの送受信時に通話路を確保する時間は各人かなり少ない。よってそれほど輻輳は起こらないのである。ただ、携帯を使った情報取得については、どうだったかは不明だ。たとえば、iMode サイトを経由した電車運行状況のサイトへのアクセスについては、どうだったかはよくわからない。ただ、聞いた話だと、同じように電波回線で通話ができる Skype や Viber のアプリを入れている人たちにとっては、意外に通話が出来たという話を良く聞いた。残念ながら当日 Skype や Viber をインストールした携帯端末を持ち歩いていなかったので、親などに連絡がつく際に、Skype や Viber を使っていたわけじゃないのだが、もし持っていたら使っていたことだろう。

そして震災後「使えない」というレッテルを貼られてしまったのが、ひかり電話である。フレッツ・光の名前で利用されている電話のことである。ひかり電話を利用するには、光ファイバ回線の敷設とそれを使うための回線終端装置が必要になってくる。しかし、回線終端装置はなにしろ一般電源が必ず必要になってくるものである。震災のときには大丈夫だったのだが、震災後に起こった計画停電が実施された場合、回線終端装置にも電気が来なくなるために、その間の通話というのは、発信者から見た場合、通話を着信できる状態になっていることと同じである。それも計画停電の3時間の間使えないというのは結構大きい。ひかり電話自体、前から停電が起こった場合には使えなくなるというのは分かっていたのだが、だいたい停電になるなんていうのは、数十年前の日本だったらありえるけど、まさか停電になることなんてないよねー、はははあーとおもっていたボケ日本人にとっては、「あるわけがない事象」として長年思われていたことだった。しかし、実際に福島第一原発がぶっ壊れたことにより、電気供給量が減ってしまい、停電が輪番で起こることが発生した。そうなると、この前提条件が全く狂ってしまい、結局不要の物体に変わってしまうのだ。

これで一般市民はひかり電話はいざというときに全く役に立たないことが分かってしまった。そこで起こったのは、電話機も含めて電気を使わないものが良いということ。ひかり電話じゃなくても、電話機には、FAX機能を有していたり、留守番電話機能を持っていたりす。そういう機能を使うときには、電源が必要になってくる。ひかり電話じゃないから安心だといっても、受話側の電話機が機能していないのであれば、これもまた使い物にならないからだ。いわゆる黒電話なのだが、これが量販店だったら2000円くらいで売られている。量販店での売れ行きはこれがすごいものだったようで、即完売。どこを探してもないという状況に陥った。うちは幸い、こういう何も機能を持っていない電話機を持っていたので、停電時だけは通常のFAX電話じゃなくて、黒電話にモジュラージャックからの電話線を入れ替えて使っていたから、なんの不自由も無かった。黒電話なんか使わないだろうとずっと押入れに入れていたが、こんなに役立ったとはびっくりで有る。

ひかり回線ではなく、ADSLで十分なのだ。ADSLは銅線で、その線自体が電話局から直接直流電源が供給されている。ひかり電話の場合はその電源供給ができないので、電話線としての意味を成さないのである。しかし、これだけネット社会になっていると、ひかり回線で高速通信に慣れていると、いまさらADSLに戻って通信をするなんていうのに抵抗があるかもしれない。しかし、家でそんなに大容量回線を要することってなにかあるのだろうか?家がダウンロード基地になっているのであればいいが、まずはそんなことはありえない。だから、ADSLで十分なのではないだろうか?

ひかり回線を解約してADSLに切り替えるひとが多くなっているのも事実である。google 検索で「ひかり電話」をキーワードに入れると、文字補完として「解約」と出てくるのが多いのもそのひとつだ。

ひかり電話を推進しようと必死になっているNTT東日本・西日本としては今後の方針をどうするつもりなのだろうか?これだけ逆風になっているのに、それでも必死になって売ろうとするのは無理があるのではないだろうか?まさか、バカの一つ覚えのように、誰も使おうと思わないサービスを必死になって開発をし、それを利用者が使わないのは、利用者のほうがバカだという戦略を今後も貫こうとするのか、よくわからない。

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