別のサイトには記載したことがあるが、ここではもう少し長く記載したかったので、改めてこの店を紹介したいと思う。勤務地がある神田神保町界隈は、書店の街、特に古本屋の街として世界的には有名なところではあるが、だいたい大きな出版社はこの界隈に存在する。神保町は書籍類だけでなく、スポーツ店がメインどおりの靖国通り沿いに至る所で乱立してもおり、有名大学がたくさん密集しているため、学生がたくさん見かけるところでもあるし、 楽器屋もたくさん軒を連ねているので、ミュージシャンまがいのひとたちもたくさん歩いているのを見かける。そんな遊びに関しては尽きることがない最高の場所である神田神保町は、グルメの町でも有名なところだ。最近有名なのは通称「カレー激戦区」と呼ばれるようになったように、カレー屋がめちゃくちゃたくさんある。同じようにどこを見ても多いのは、中華料理屋である。中華料理屋が多い理由は実はあるが、ここでは今回言及しない。
さて、その何でもかんでも激戦区の神田神保町でお勧めしたいのは、表題のとおりの「海南鶏飯」であろう。最近出来たのだが、シンガポールで有名な海南鶏飯がまさか神田神保町で食べられるとは思っても見なかったので、発見したときには感激したのと同時に驚愕した。店の名前の読み方は中国語読みと同じように「ハンナンチーファン」となっている。中華料理の店はたくさんあるが、少し中華に似ているシンガポールの料理を日本でも食べれることはないと思っていたが、シンガポールに行ったことがある人は「これ、これ!これこそ、シンガポールの味」とわかると思う。
そもそも店の名前として使われている海南鶏飯は料理名の1つなのだが、それは、海南省出身者の人たちが故郷海南島の味を元に、移民先のシンガポールを中心とした領域で発展させた料理である。台湾には鶏料理で有名なものとして、鶏肉飯があるが、それとは全然違う。鶏肉飯の場合は、日本の牛丼と似ていて、丼の中にご飯を敷いて、その上に鶏肉を載せたものという単純明快な料理であるが、海南鶏飯はもう少し奥深い。もちろん、鶏肉の蒸し方については鶏肉飯と似ている作り方をしているので、これはとても美味しい。違う点はご飯に対する作り方である。鶏肉飯は日本の米と同じようにインディカ米を使っていて、ご飯のモチモチした感触を鶏肉と一緒に楽しむというつくりになっているが、海南鶏飯はタイ米を使っているので、インディカ米のようなモチモチ感は全然無い。その代わりに、ご飯を炊くときに、レモングラス、ごま油、ガーリックオイルを混ぜて、それを鶏がらスープで炊くため、ご飯は独特の風味を持ったものになる。これが鶏肉と一緒に食べると、口の中が鶏味で満足になるので癖になる食べもののひとつだ。
この店は店の名前の海南鶏飯のほか、シンガポールでは代表的な料理である、 骨付きのブタのバラ肉とニンニクを煮込んだスープのバクテー(肉骨茶)もあるし, 米粉から作った白い麺(ビーフンよりも太く、小麦粉の麺より腰がない)で、ココナツミルク入りの甘めのカレースープベースのラクサも当然ここでは食べられるし、シンガポールで売られている味を忠実に再現しているので、是非試して欲しい。見た目よりもすべての料理があっさりしているので、日本人の味にあうとおもう。ただ、香草が嫌いな人は少し抵抗感があるかもしれないが、タイ料理が以前ブームになっている日本人にとっては、その香草もあまり今では抵抗感がないのではないだろうか。
この店、なんだか怪しいなーという点が1つある。店の雰囲気とか味とか店員とかではない。シンガポールの観光パンフレットが、入り口、壁、会計する場所、そして店が二階にあるのだが、二階へあがる階段の下にも置いてあるのだ。「ここはシンガポール政府の回し者か!?」と思ってしまうくらい宣伝宣伝ばかりである。確かに、シンガポールは1度行けば二度行くような場所ではないとよく言われる。つまりリピーターが少ない場所として有名なところである。もともと何にも無いところに強引に何かを作ったので、見所は1度行けば十分だというのが本来の結論であるが、シンガポール人に言わせると、「シンガポールは国が小さいから」と思っているらしい。だから、シンガポール政府は、狭い領土内に、これでもかと人工建築物・人工観光スポットを作っているが、そんなものを見るためにわざわざ何度もシンガポールに行こうという人はない。やはり昔からシンガポールは単なる中継地点でしかない場所なのを早く見切って欲しいと思う。政府としてはそんなことから脱却したいと思って、シンガポールに行けば、他の何処の国にいくこともなくすべてのことが体験できるということを触れ込みに、あれやこれやと宣伝しているのだが、目が肥えている日本人には無駄な努力だと思う。シンガポール政府観光局へパンフレットを取りに行くより、この店にきたほうが実は頻繁にパンフレットを変えているので、結構楽しめると思う。
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