2006/10/29

Salvator Dali

精神的に、そして思考的な面で生涯の師匠と崇めているスペインの巨匠、サルバトール・ダリの絵画展が久しぶりに東京の上野で開催されている。ダリ展は何度か東京でも開催されているし、その度に多くの観覧者が訪れることで、美術館から見ると「金が稼げる展示物」のひとつとなっていると思われる。しかし、日本に独自で持っている展示品はほとんど皆無のようなので、展示会を開くためには、ダリ美術館などから借りてくる必要があるために、そう頻繁には開催することが出来ない模様だ。

今回は朝日新聞が主催となって開催されていたことも関係し、今月一杯ならば、朝日新聞らが配った招待券を使えば無料で入場ができる。自分達も今回はこの無料招待券を入手したので、ダリを拝みに行った次第である。ところが、今日はその無料券が使える最終日曜日だったこともあり、めちゃめちゃたくさんの人がダリ展を見に来ていた。なんと入場するまでに30分以上も待たされた。上野の会場に着いた途端に、炊き出し隊でも登場しているのかと思うくらいの人が並んでいたので、それを見ただけで「帰ろうかな」と思ったのは言うまでもない。並んでいる人たちも、チケットを買っている人は当然居たのだが、やはり自分達と同様に招待券を使うためにやって来ている人たちが多くて、貧乏人の暇潰しで来ているのかなという気が少しした。(自分たちのことは棚に上げるのは当然である。)

さて、内部はどうなっているかというと、暫定的に会場を作ったみたいなところだったため、常設の展示物が置いてある美術館とは違って、意外に小さい。結果から言うと、1時間もあれば全部が余裕に見られるくらいである。それよりも、入場前にたくさんのひとが並んでいた通り、内部もそれだけ人が入り込んでいるので、作品を見るというよりも、人の多さで酔ってしまうというのが適切だったようだ。特に作品すべてに対して解説をしてくれるイヤフォンを借りている人が多いため、その人たちは、解説を流して聞くことはしないから、解説が終わるまでその展示物の前から動かない。どこまで理解しているのかかなり疑問だが、早くどいてくれとおもう場面が多かった。会場が狭いところに人がたくさんはいり、さらに動かない人が作品の一番見やすい場所を占領しているので、作品を遠目にみて鑑賞をするということは無理に等しい。ゆっくり観賞をしたいというひとは、平日の昼間に行くべきだろう。

今回の展示物は、すべて絵画に特化している。ダリの作品の移り変わりとあわせて、各種の絵画を展示している。数こそ、それほど多いとは言えないが、若い時代のまだピカソに感化されていない時代のものから、平面を曲面に見なして書き始めた時代や、いわゆるダリ独特の感性を絵にし始めた作品の数々が見ることができる。特に晩年は、物理学と化学に興味を持ったことを象徴するような、速度・分散・原子/分子の分野を絵画に取り入れているところが彼独自の作品を「難解」にさせていることだとおもう。ある分野を究極に極めてしまうと、考えていること・喋っていること・行動していることがほとんど哲学的な分野に接してしまうので、凡人にはなかなか理解し難い。しかし、作品を通して、彼がその当時、物事をどのように見つめていたのかを知るためには、生きているダリに会えないのであれば絵画を見るしか知りようがない。

できれば、個人的にはダリの作品として絵画よりも彫刻・造形物を見たかった。以前ダリの作品として、「海老型の電話機」を見たときに、「この人の頭はいったいどうなっているんだろう?」と感じた。今でいうところの「デンパな人だ」と思った。岡本太郎の作品やピカソの作品も、一般人から見ると頭が痛くなるような作品だと思われるが、それよりもダリの作品のほうがぶっ飛んでいるような気がする。ガンジャでも吸ってラリっているときにみると、ダリの作品をとてもよく理解できるのだと思うが、できれば、素面のときに彼の考え方に近づきたいと思う。

今回もダリを見ることに喜びは感じれたが、やっぱりダリは凄すぎて、一般リーマンをやっている自分にはなかなかすべての感性を吸収するのは難しかった。出口で購入した作品カタログ(2300円)を改めて見て、いろいろ感じたいと思うのだが、このカタログが最悪。写真はとても素晴らしいのだが、解説として書いている内容が、「どうせ、お前らにはなにも分からないだろう。だけど、しょうがないから解説を書いてやった」というような内容だからだ。大正時代くらいの「書物は漢文に通じる書き方でなければ書物とは言えない」という時代に出版された解説書というのであれば、それはそれで読み手の、教養と理解度が書き手に追いつくべきだという諦めは付くが、今回の解説書は全然それとは程遠い。どうでも良いような内容をぐだぐだ書いて、途中の説明をぶっ飛ばして、「すなわち」という接続詞で結論を述べている。読んでいて腹が立ってきた。別の解説書で改めて読みたいと思う。

「アンダルシアの犬」のDVDでも買えばよかったかなー。

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