2012/05/24

解放記念日(アムステルダム)

5月4日は、ナチスが第二次世界大戦で降伏した日であり、それによってほとんどのヨーロッパはナチスの圧制から解放されたことになる日でもある。だから、ヨーロッパではほとんどの国では5月4日が戦争が終了した日という意識は高いし、そのあとに日本が降伏した8月15日や、サンフランシスコ講和条約が締結された9月2日なんていうのは、全く戦争終了日なんて思わないだろう。

オランダも5月4日が重要な日であり、このときには、国中が黒一色になる。ダム広場前にある新教会で女王はじめ、アムステルダム市長等々が集まっての、ナチスから解放されてよかったねーみたいなことをみんなで噛みしめる儀式が行われ、そのあとダム広場で外で国民に対して演説を行ったり、戦争時に戦った老兵たちをいたわるような儀式があったりする。そのため、4月30日の女王の日とは全くカラーが異なり、町全体、いや国全体がどよんと思い気分になるのがこの日だ。

昼間からダム広場は警官隊が警備に付いて念入りに打ち合わせを行っていたりする光景が見られたり、早い時間帯から広場にロープが敷かれ、一般市民が通れる場所を決めてしまうようなことをしている。だから普段はいろいろな人が集まっている広場は、この日だけは一般人は近寄るなという状態になるのだ。
新教会で儀式が行われているときは、テレビ中継も入るため、興味があるひとはずっとアムステルダムのテレビ局の中継をみていればいのだが、地元の人にとっては毎年のことなのでどうでも良いと思っていることだろう。

ところが1つだけ地元の人でも全員が気にする事項がある。それは夜の8時ちょうどに起こることだ。これは全員が5分間の黙祷をしなければならないという、半分強制的な習慣が残っていることだ。オランダ人はこの5分間はすべての仕事や作業を一切放棄して、黙祷をしなければならないのである。だから、レストランだろうが、公共機関の運転手だろうがこの8時になると、黙祷のために止まる。レストランに入ったときに、注文をする際に、事前に「8時になったら儀式があるので、そのときにはサービス提供できないですが、いいですか?」と忠告があったし、8時ちょうどのときに、レストランから見える道路の路面電車が中途半端な場所で止まっていたのも運転手が黙祷をしていたからなのだろうとおもう。オランダ全体がこういう習慣であるので、旅行者はこの習慣に文句を言ってはいけない。移民の中国人なんかはどういう意識でいるのか、現地に住んでる中華系の人にきいていたいところではあるが、残念ながらその情報を仕入れることは無かった。

できれば、旅行者も5月4日の夜8時のときには、一緒に戦争を二度としないようにするという意味でも黙祷をしたほうが良いだろうとおもう。

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