2012/05/24

Die Port van Cleve (アムステルダム)

 
オランダ最終日の夜は特別名残惜しいということもあり、ここは!というようなレストランを探して行こうと思ったのだが、実はすでにアムステルダムの主要のレストランには行ってしまっていたので、適当に行ければいいかなという程度でしか思っていなかった。ホテルがある通りをマグナプラザ方面に歩いていくと、いつも気になっているホテル兼レストランがあり、そこはちょっと内部が綺麗そうだなーというところがあった。ホテル「Die Port van Cleve」内にある「Brasserie de Poort」である。このレストランはホテル宿泊者にとっては朝食をとるような場所なのであるが、もちろん外部の人も利用できるところである。レストランとしては、実は2種類のタイプがあり、食べる専門の部屋と飲むバー専門の部屋というものがあるのだが、どちらでも同じ飲み物を注文できるし、食べ物も同じものを注文できる。

自分たちがこの店に行ったときには、食事専門のほうの場所は準備中だったため、必然的にバーのほうに通された。が、あとで分かったのだが、もうちょっと遅い時間だったら本来のレストランのほうで食べられたらしい。なぜなら、自分たちが帰る時には、レストランのほうは満員の客でワイワイと楽しそうだったのが見えてきたからだ。

さて、バーのほうはどういう雰囲気のところかというと、バーなので大きなカウンターが存在している。ここが当然飲む人たちにとってはメインになるところだろう。だが、ここはバーでもあるが、食事もできるところではある。そういう御飯を食べるひとがカウンターに並んでしまっては、単なる立ち食い蕎麦屋みたいになってしまうからだ。そして、テーブルのほうは、互いのテーブルが軽い仕切りで区切られており、なんとなくこれが半個室っぽくて楽しい。たいていは4人の人が座れるようになっているのだが、そこを2人で贅沢に使うというから、あとから入店してきたお客さんで、隣りのレストランが使えないからとバーのほうに同じように入ってきた人たちにとっては、運悪くテーブル席が開いてないからカウンターに行かされた人も多いから、ある意味早めに入店しておいてラッキーだと思った。
最初はビールで乾杯したあとに、落ち着いたあとに御飯を注文しようというのんびりモードでいることにした。
ビールを運んできたおねえちゃんが、「もうすぐ8時になるんだけど、8時になったら全員黙祷をすることになっているので、そのときは注文できないし、店員は誰も来ないから、注意してね」と言われた。これが前に記載した解放記念日のための定例お祈りの時間なのである。人も電車も全員がストップした状態で、動いているのは何も知らないバカな旅行者だけ。トラムも駅じゃない途中で止まっていた。

8時になる前にはなんとなくダム広場で行われている儀式の雰囲気が、広場の様子は見えないのに厳かさが伝わってきているからか、店の中もなんとなくのんびりして、うるさくしているのがダメだと暗黙の了解のようだったのだが、8時を過ぎて普通の生活をしてもよいという時間になってくると、店の中もだいぶにぎやかになってきたし、外の様子も人の出が激しくなってきた。おそらくダム広場で皇室一家や市長の集まりをみていた見学者が方々に散ったからだろうとおもう。そうなると、店もにぎやかさに上乗せして、店員のほうもノリが良くなる。

早速御飯の注文をしてみた。今回の注文は下記の通り。この店は、前菜 / メイン / デザインのセットで、それぞれから1品ずつ選べるタイプだと、1人EUR37.50で食べられるから、それにしてみた。なので、セットメニュにした場合、1品のアラカルトで、合計EUR37.50より安かったら損をすることになる。

・Aardappel knoflooksoep met paddestoelen : EUR 10.50
 (マッシュルームの入ったガーリックポテトのスープ)
・Hollandse "Bouillabaisse" : EUR 11.50
 (オランダ風ブイヤベース)
・Zuurkool stamppot met spek, rookworst en jus : EUR 17.50
 (ベーコン、スモークソーセージのザワークラフト)
・Hutspot met klapstuk : EUR 17.50
 (にんじん、たまねぎ、焼肉とマッシュドポテト)
・Special coffee : EUR 8.50
・Poffertjes met vanilleijs en geflambeerd citrus fruit : EUR 9.00
 (バニラアイスとシトラス味のフルーツのオランダの伝統的パンケーキ)

外は夜になってくるとだいぶ寒くなってくるので、前菜としてはスープを選んだ。ブイヤベースのほうは、マルセイユの本場ブイヤベースのような味の濃いものだったが、どこがオランダ風なのかは不明である。ニシンでも使っているのだろうか?もう1つのポテトのスープはガーリックが入っているので、体温を上げるための要素も入っているし、クルトンの代わりにマッシュルームの刻んだものが入っているところが口当たりをよくしている。どちらも冷えた体を温めるには良いが、その前にビールを飲んでいるので、すでに体は冷えから解放されているのは当然だ。
メインとして頼んだものはそんなにガッツリ系は不要だと思っていたので、お腹にちょっと貯まるものでいいかなと思っていた。どちらも肉を少々口に入れるようなもので、それでも足らないのであれば、付け添えの擂り潰したポテトでも食べればいいとおもうのだが、これがすっごい量が多くてとてもじゃないが全部は食べきれない。しかし、肉類は、基本ビールのおつまみというような感覚で作られているので、ちょっと塩辛いというところがよかったとおもうが、ベーコンは味が濃すぎて個人的には無理。しかし、この程度の料理で単品価格がちょっと高いのでは?とは正直思った。ホテルのレストラン料理だから、仕方ないのかな。
最後のデザートはホントにびっくりした。まずはパンケーキのほうだが、メニュにはパンケーキと書いていたので、てっきりちょっと大き目のパンケーキが出てくるのかと思ったら、一口サイズのパンケーキが出てきたので、それもびっくり。しかし、蜂蜜ではなくシトラスシロップというのが違った味がして楽しめた。アイスクリームは普通なので、コメント無し。驚いたのはスペシャルコーヒーのほう。スペシャルっていうからなんだろうとおもったのだが、これがウィンナーコーヒーに近い、アルコールタップリ入ったホットコーヒーに、ホイップクリームが乗っているというもう理解不能な飲み物だ。見た目はエスプレッソコーヒーみたいに濃い黒なので、そのままグイのみすると、きっと「うっ・・・」と来るだろう。なにしろ、入っているアルコールがウィスキーとリキュールをミック下ものであるから、アルコール度数は30度以上である。初めてウィンナーコーヒーを飲んだときに、アルコールが入っていなくてがぶ飲みしたら、おもわず吐き出してしまった衝撃と同じものを体験した。だいたいそれにホイップクリームを乗せようとするヨーロッパ人の感覚って一体なんなんだろう?

さて、そのデザートメニュがやってくる間に、日本人の女性2人が店に入ってきた。どちらもアムステルダムは単なるトランジットでやってきているだけで、たまたまこの店にやってきたようなものだという井出立ちだった。なぜそういうのが分かったかというと、デカいバックを背負ってきたからである。きっとバックパッカーなのだろう。アムステルダムはヨーロッパの玄関口であるため、もしかしたらアフリカからのトランジットかもしれない。とてもオランダ周辺を旅行してきたような格好ではなかったのだが、格好よりもその2人の女性の振る舞いが、もう野蛮人来客という感じがして、同じ日本人に見えなかったのである。それも1人はデブ。そして、もう1人の痩せている子を仕切っているという、デブのくせに仕切り屋という、たぶん他のところでは「大御所」と呼ばれているだろうというような人だった。ただ、この大御所が席に座ってからの行動が馬鹿すぎて、隣りのテーブルだったから、もう凝視するくらい楽しかった。

まずは、居酒屋の感覚で入ってきたのだろうが、店員に向かって「ビール2つ」と頼んでいた。すかさず店員が「ビール?どの種類?」と聞き返す。そう、ここは飲み屋でもあるわけなので、ビールと言われても困る。居酒屋で「生中ジョッキ」を頼んでいるのとは違うのだ。そこで大御所怯む。「え?え?」と困惑しながら、店員がメニュを広げて、「さぁ、どれ?」と言わんばかりに責める。もちろん、メニュには絵図等なんかあるわけがない。ビールの銘柄しか載っていないので、オランダ周辺を旅行をしてきたのであれば、ある程度ビールの種類はわかるから選べるんだろうけど、違う場所から来ているとおもったのはそこからわかったのだが、なにを頼んでいいのかわかんないので「一番上のでいいか、ね?」ともう1人のひ弱そうな女性に確認していた。それで注文。

もう1つ馬鹿だなーとおもったのは、最初に注文したものではなく、次に別のビールを頼んでみたのようなのだが、そのビールのビールグラスが中デブタイプの大きなグラスだったので、持つのはちょっと大変。だから、グラスの首の部分を持って飲むのがいいのだが、この大御所、お前は石原裕次郎か!といわんばかりに、グラスの丸い部分を包むようなもち方をして飲んでいる。それ、ブランデーの飲み方ですよー。その飲み方に他の客も目をぱちくりさせていたのだが、大御所、なにも気づかず、ずっとその飲み方で飲んでいた。

それで最後に、御飯のメニュを見ているのだが、そのメニュを見てよくわかんなかったのか、店員を呼んでオススメみたいなのを聞き始めた。一生懸命店員が説明していたのに最後にひとこと。「分かんなかったね?ま、どれでもいいかっ」だって。横からパンチを食らわせてあげたいくらい「おいっ!」と言いたかった。たぶん似たようなことをしている日本人旅行者って結構いっぱいいるんだろうなーと思った。

オランダ最後の夜はなかなかおもしろい光景をみながらの食事だったのが、良いことだったのか悪かったのかよくわからない。が、印象的な夜だったことだけは確かだ。

Die Port van Cleve
URL : http://www.dieportvancleve.com/lang-en

Brasserie de Poort
Address : Nieuwezijds Voorburgwal 176-180
Phone : +31 (0) 20 - 714 2000
FAX : +31 (0) 20 - 714 2001
Mail : info@dieportvancleve.com   

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