さて、まずはポルトガル全体の様子を満遍なく網羅し、歴史的な意義や各都市の見所に関して多くのカラー写真を使って説明しているのが、「旅名人ブックス」シリーズの「ポルトガル」である。こちらの本は渡航前に読むのは必須に近いと思うのだが、これをそのままポルトガルに持っていくのは荷物が重くなるだけなので、渡航前に熟読したほうがいいのだが、参考資料としては持っていたほうがいい本だと思う。なにしろ全ページカラーなので1枚ずつの紙が厚いため、結局それを持ち運びしながら観光するには不適なのであっ、ホテルに置きっぱなしにするか、自分なりにスキャナでデータ化してタブレット端末に入れて持ち込むと言うのもありだろう。旅名人ブックスでは、ポルトガルが海洋王国として君臨した偉大なる時代があるということを紹介しつつ、いまはその栄光時代のときに培った遺跡や史蹟を観光客目当ての素材として使っているところであると説明する。しかしながら、全く悲観的な様子はここでは説明していない。あくまでも事実のままに歴史と現実を述べているだけのことだ。全部で480ページもある分厚い本の中には、リスボンやポルトのような大都市だけじゃなく、地方都市やマデイラ島のような島嶼部も掲載されているので、ポルトガルに行ったことがあるという人が居ても、そんな深いところまで探ったことが少ないと思われるので、結構参考資料として十分適しているだろうと思う。
そのほかの雑誌系としては、雑誌「TRANSIT」も棄てきれない。ポルトガルだけをフォーカスした特集はまだないのだが、第3号はスペインも含んだイベリア半島全体の特集。スペインやポルトガルという国家レベルとしての比較ではなくて、半島全体に存在していた過去の国家や文化の違い、民族性や宗教観というものが全体的に載っているのが、情報として整理されていてとても分かりやすい。行きたくなるようなワクワクする写真を載せているのは毎回TRANSITの特徴だとは思うのだが、実際に行ったことがある場所の写真を後から観ると、自分が撮った写真がこの雑誌に載せている写真から影響されているというのがよくわかる。この雑誌をみると、スペインとポルトガルと分かれている半島の地域も、ピレネー半島の南にあるキリスト教の国家というジャンルで観れば同じようなものだと思う。が、となりは巨大なスペイン、もう一方は小国ポルトガル。いやおうがなにもポルトガルのほうがスペインの影になって注目がいつも当たらないのは仕方ないのだろう。
これまでの雑誌はどちらも料理についてはあまり言及していない。ポルトガルという国全体を記事にしているためなのだろう。料理の本としては次を読むといい。「ようこそポルトガル食堂へ」だ。表紙には、料理の途中で味見をしているおばさんが写真に撮っている。これだけみても、中身はおいしそうなものだと想像できる。これは女性目線で取材をしているものだからなのか、すべてがすべて男性的なことが出てこない。すべてがご飯ばかり。ポルトガル全体の色々な街を巡って地元の美味いものを食べたり、人気の店に行ったりとしているのを紹介。ポルトガルには相当長く住んでいるんだろうとおもうのだが、そんなところ、絶対ポッといくような旅行者では行かないだろうというところばかりが出てくるので、ポルトガルにいく事前調査としてこの本に記載されているところに行こうとするのはダメだと思う。まず移動手段がないものばかりだからだ。
最後にJTB出版から出ている「ポルトガル・小さな街物語」というのも旅名人ブックスとは違った目線で取材をしているのは面白い。しかし、記載しているのは複数のひとが行っているのではなく、女性の記者による記載であるために、あらゆるところに主観的なコメントが入っているのが気になる。ポルトガル全体を紹介しているのはいいのだが、その人の主観を押し付けているような印象があったことを、読んだ後に気になった。そして、他の本では普通に紹介されているものだとつまらないと思ったのか、どこ、それ?というような場所の紹介ばかりしている。したがって、単なるポルトガルの田舎の村ばかりを読まされているようだった。
0 件のコメント:
コメントを投稿