2013/05/12

ポルトガルに関する雑誌いろいろ

ポルトガルに関する本は意外と少なく、渡航前に何冊か読もうと思ったのだが、その種類が少なすぎて、結局似たような情報しか手に入らなかったことが、個人的なポルトガルに対するイメージを渡航前に「つまんない国」または「発展性がない国」という印象を与えてしまった感がある。しかし、それが現実のポルトガルを映し出した各著者のもつ印象なのだろうとおもうと、致し方ないということは受け入れることにした。
さて、まずはポルトガル全体の様子を満遍なく網羅し、歴史的な意義や各都市の見所に関して多くのカラー写真を使って説明しているのが、「旅名人ブックス」シリーズの「ポルトガル」である。こちらの本は渡航前に読むのは必須に近いと思うのだが、これをそのままポルトガルに持っていくのは荷物が重くなるだけなので、渡航前に熟読したほうがいいのだが、参考資料としては持っていたほうがいい本だと思う。なにしろ全ページカラーなので1枚ずつの紙が厚いため、結局それを持ち運びしながら観光するには不適なのであっ、ホテルに置きっぱなしにするか、自分なりにスキャナでデータ化してタブレット端末に入れて持ち込むと言うのもありだろう。旅名人ブックスでは、ポルトガルが海洋王国として君臨した偉大なる時代があるということを紹介しつつ、いまはその栄光時代のときに培った遺跡や史蹟を観光客目当ての素材として使っているところであると説明する。しかしながら、全く悲観的な様子はここでは説明していない。あくまでも事実のままに歴史と現実を述べているだけのことだ。全部で480ページもある分厚い本の中には、リスボンやポルトのような大都市だけじゃなく、地方都市やマデイラ島のような島嶼部も掲載されているので、ポルトガルに行ったことがあるという人が居ても、そんな深いところまで探ったことが少ないと思われるので、結構参考資料として十分適しているだろうと思う。
既に廃刊にはなってしまったが、雑誌「旅行人」にもポルトガルにフォーカスをあてた特集記事がある。もちろんこれも買ってみた。2011年下期号であるNo.164は「特集ポルトガル・サウダーデの国のすべてを旅する」である。前者の旅名人ブックのほうがポルトガル全土を写真で網羅しているものと考えれば、こちらは部分的なテーマを設けて、そのテーマに基づいて深く追求した内容になっている。特に旅名人ブックでは載っていないテーマとしては、古代民族の建築および遺跡というのをテーマにしているところ。リスボンではないのだが、ポルトガルにも古代文化は存在しているところだろう。それとアズレージョとファドについても、この本に記載されているのが一番詳しいので、是非渡航前には読んでおいて損はないものばかりだ。おもしろいのは、ポルトガル側からスペインの北部にあるサンチアゴ・デ・コンポステーラに向かうための巡礼の道を報告しているというもの。だいたいの場合はピレネー山脈を通って、バスク地方を通る巡礼の道ばかりだが、ポルトガルのほうから北上していく巡礼というのもあるのだぞというのを紹介しており、道中の様子を述べているのは個人ブログで書かれているくらいしか読んだことがない。これも注目だ。「リスボンの乗り物に揺られて」という記事は、どうしてこんな人が記事を書いているのかというくらいつまらない。読む価値はない。その記事以外はどれも素晴らしい。
 そのほかの雑誌系としては、雑誌「TRANSIT」も棄てきれない。ポルトガルだけをフォーカスした特集はまだないのだが、第3号はスペインも含んだイベリア半島全体の特集。スペインやポルトガルという国家レベルとしての比較ではなくて、半島全体に存在していた過去の国家や文化の違い、民族性や宗教観というものが全体的に載っているのが、情報として整理されていてとても分かりやすい。行きたくなるようなワクワクする写真を載せているのは毎回TRANSITの特徴だとは思うのだが、実際に行ったことがある場所の写真を後から観ると、自分が撮った写真がこの雑誌に載せている写真から影響されているというのがよくわかる。この雑誌をみると、スペインとポルトガルと分かれている半島の地域も、ピレネー半島の南にあるキリスト教の国家というジャンルで観れば同じようなものだと思う。が、となりは巨大なスペイン、もう一方は小国ポルトガル。いやおうがなにもポルトガルのほうがスペインの影になって注目がいつも当たらないのは仕方ないのだろう。
これまでの雑誌はどちらも料理についてはあまり言及していない。ポルトガルという国全体を記事にしているためなのだろう。料理の本としては次を読むといい。「ようこそポルトガル食堂へ」だ。表紙には、料理の途中で味見をしているおばさんが写真に撮っている。これだけみても、中身はおいしそうなものだと想像できる。これは女性目線で取材をしているものだからなのか、すべてがすべて男性的なことが出てこない。すべてがご飯ばかり。ポルトガル全体の色々な街を巡って地元の美味いものを食べたり、人気の店に行ったりとしているのを紹介。ポルトガルには相当長く住んでいるんだろうとおもうのだが、そんなところ、絶対ポッといくような旅行者では行かないだろうというところばかりが出てくるので、ポルトガルにいく事前調査としてこの本に記載されているところに行こうとするのはダメだと思う。まず移動手段がないものばかりだからだ。
最後にJTB出版から出ている「ポルトガル・小さな街物語」というのも旅名人ブックスとは違った目線で取材をしているのは面白い。しかし、記載しているのは複数のひとが行っているのではなく、女性の記者による記載であるために、あらゆるところに主観的なコメントが入っているのが気になる。ポルトガル全体を紹介しているのはいいのだが、その人の主観を押し付けているような印象があったことを、読んだ後に気になった。そして、他の本では普通に紹介されているものだとつまらないと思ったのか、どこ、それ?というような場所の紹介ばかりしている。したがって、単なるポルトガルの田舎の村ばかりを読まされているようだった。

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