当初東京から新幹線で名古屋で乗り継ぎ、特急列車で南紀方面に移動することを考えたときには、乗り継ぎもあんまり待たないで良いような新幹線で名古屋に向かえば良いと思っていたのだが、「南紀・熊野古道フリーきっぷ」の項でも説明したとおり、当日までフリー切符を買うことが出来ないという状態であったことと、10月の連休最初の日だったこともあるので、混んでいるだろうから、切符を買うのにも時間がかかるかもしれないという予想から、余裕を持って特急の出発30分前には到着できるような新幹線を選択した。それで、名古屋から先の切符を持っている両親だけは、先に新幹線ホームを降りたあとは、そのまま特急列車が発車するホームに先に行ってもらって、自分は名古屋駅で改札口を一度潜って割り引き切符を買いにいった。
ちなみに、名古屋から先の特急列車だが、行きの指定席を事前に確保することができなかった。自由席で特急を乗らないといけない状態だった。先に両親を特急のホームに行かせたのは、自由席の席を取っておいて貰うという意味もある。なにしろ、名古屋から、最初の渡航地の最寄り駅である新宮駅まで3時間半かかるので、さすがにまだ元気だとはいえ、親が立ちっぱなしになるというのは無理だと思っていたからである。それなら、早めに特急ホームに行き、自由席の車両の乗車口に先に並んでもらって席を確保したほうが断然良いというわけである。この考えは大正解だったのだが、実はもうちょっと余裕を持って到着する時間だったほうが本当は良かったかもしれない。
東京駅を出発するときに、珍しくも駅弁を購入して新幹線の中で朝ごはんを食べるということにした。しかし、東京駅もすでに朝から超満員で、全国の駅弁を売っている店のところも、デパートの大売出しの時のような人ごみだった。朝から鯖寿司っていうのも、なんとなくオツだなとおもったからか、この時の気分は忘れたが、速攻で選んで買っていた。
当日は10月の三連休の最初の日で、天気も最高に良く、絶好のお出かけ日和だったこともあり、東京発の新幹線も超満員状態だったのである。名古屋に到着したらもっとびっくりしたのだが、ホームもコンコースもめちゃくちゃ人がたくさんいるのである。新幹線ホームを降りて、自分は一度改札を出てみどりの窓口を探してダッシュでいく。その間に両親は事前に調べておいた特急南紀が出発するホームのほうに歩いていく。ただし、自由席は1号車であることは分かっていたのだが、それがホームのどこに当たるのかというのは実際に名古屋駅に行ってみないとわからないが、それは現地で任せることにした。コンコースはめちゃくちゃ人がたくさんいたので、みどりの窓口も混んでいるのかなとおもったら、すごい長蛇の列が出来ていた。これでは特急の発車の時間まで間に合わないと思ったので、ちょっと先のJR東海ツアーズのほうに行っていることにし、そちらだとまだみどりの窓口よりは人が少ないだろうと思ったのだが、そちらのほうも同じように長蛇の列だった。またみどりの窓口のほうに引き返すということは時間のロスだと思ったので、ここは運に任せて列がさっさと動くことを期待して、JR東海ツアーズの列に並ぶことにした。JR東海ツアーズで客が並ぶ列の誘導をしているひとが、ナイスなアシスタントをしてくれた。それは「新幹線の切符は自動販売機でも買えますよー」という一言。在来線の切符は買えるのは一般的なので知っているが、新幹線の切符も同じ切符売り場で買えるということを知らない人は結構いるようで、長蛇で並んでいるひとで、前のほうに並んでいるひとの結構な人数が列を離れてくれたのである。ラッキーだ。在来線の特急でも自動販売機で買えることも知らないひとは多いため、そういう人たちが列から抜けることで、だいぶ 早く自分の番が回って来るのではないかと期待できた。
特急列車が発車するのは10時01分発。ホームまで行くことを考えると、9時55分にはこの切符売り場を離れないとたぶん特急には間に合わない。時間が刻々と過ぎていくのだが、なかなか自分の番が廻ってこない。しかし、幸いにも列の前に並んでいた人たちで、ボケ老人のようなひとや、文句ばっかりいって全然窓口を開けてくれないクレーマーまがいのひとが居なかったこともあり、9時50分の段階で切符を買うための順番が廻ってきた。係員の人に、「南紀・熊野古道フリーきっぷをくださいー」と言ったら、「それ、なに?」という顔をせずに、ちゃちゃっと処理をしてくれたのは素晴らしかった。同じような切符を同じ日に買おうとしていた人が結構居たんじゃないのだろうかと思った。ついでに3日目の南紀勝浦から名古屋までの特急列車の座席指定も行った。係員の作業が手際よく、座席確保ができることが分かったので、それも予約して切符代9500円を払う。この時点で9時53分。ちょうどそのときに親から電話がかかってきて「切符買えた?」との連絡。出発数分前だから、もう電車に乗っているのかと思ったら、まだ乗り込めていないとのこと。どうやら電車の出発が遅れているらしい。なんとなくラッキーではある。もしこの時点で切符を買えなかった場合には、自動販売機で初乗り運賃だけの切符を買って、まずは特級列車のホームのほうにダッシュで向かって、特急に乗り込むということをしないとだめだなとおもったのだが、その取り越し苦労は考えなくてもよくなったのはラッキーだった。それにしても割引切符は、名古屋からの往復と乗り放題区間を入れても、全部で9500円ということなのだが、実は、名古屋から新宮までを特急で行く場合、片道でも7190円かかるので、往復料金を比べてみても断然安い。それに滞在中のバス代が結構かかるので、それを考えるとかなり割安の切符なのだ。割引切符があるのとないのとでは雲泥の差だ。
ダッシュで親が待っているであろうホームのほうに行ってみると、自由席の列が一体どこなのかわからないような激混み状態だった。というよりも、特急南紀に乗り込もうとするひとたちの異常な多さが目に付いた。今日はすごい天気がいいからみんな伊勢神宮でも行くのか?というくらいしかこの時には思わなかったのだが、駅のホームのアナウンスと、ホームに並んでいる顔ぶれを見てわかったことなのだが、実は10月の三連休は、F1グランプリが鈴鹿で行われるために、F1のファンがたくさん昼間の予選会から観にいくために電車に乗ろうとしているということだったのである。道理で、伊勢神宮に行くような繊細な顔ぶれではなく、ガツガツしていそうなひととか、なにかジャンバーを着ているひとたちで溢れていたので、スタンド観戦するために参加しているひとたちだった。その人たちはみんな鈴鹿に行くので、途中駅である「鈴鹿サーキット稲生」という駅で大量に降りた。出発がただでさえ遅かったのにも関わらず、ここでまたたくさんの人が降りることで、電車の遅延が起こった。
ちなみに特急南紀は、自由席車両がなんと1両しかなく、それも1社量目にしかないので、指定席券を持っていない人たちの巣窟になっていたのは良いのだが、F1観戦者がたくさんいたこともあり、通勤時間の山手線なみに人が乗っていた。それも車両にのりこむための入口が1箇所しかないのが幸いしてか、自由席車両ののり口に並んだ順番に席を確保できるというありがたさだった。これが複数のドアから乗り込むことができるような仕組みになっていた場合、それぞれの入口から乗り込んでくる客同士が席に奪い合いになって、おそらく阿鼻叫喚の車両になっていたことだろう。そういう意味では、先に両親を特急ホームにいって列に並ばせておいたというのは大正解だったし、列の比較的最初の方に並んでいたことが座席の確保を余計大丈夫だったわけである。
そうえば、名古屋から新宮までは単線路線であるため、反対側からやってくる列車が遅く到着すると、どこかで待ち合わせをしなればいけないことになる。だから、今回も鈴鹿サーキット稲生駅で電車の出発が遅れたり、名古屋から出発するときのそもそもの出発時間が遅くなったということは、名古屋方面に向かう電車は、時間調整のために待っていたことになっていたのだろうと思われる。
さらに列車の特徴を言うと、この列車は特急列車であるにも関わらず、車内販売がなかった。おそらくF1観戦者がたくさんいるために、車内販売するためのカートがそもそも通ることができないだろうということだったのかもしれない。しかし、飲み物だけは自販機を装備しているので、そこでも手に入ることができるが、食べものについてはお菓子やお弁当を事前手に入れておかないといけない。幸いにも、もともと3時間半くらいの時間、電車に乗ると言う情報を知っていたので、事前に買っていたのが幸いしていた。
伊勢を含めた紀伊半島東部の土地感覚は全くないため、駅に到着するたびに、その駅が目的地からあとどのくらい離れているのかというのが全く想像できなかった。ただし、伊勢辺りまでは比較的平坦な土地を通っていたのだが、途中からは海沿いではあるが、リアス式海岸のところを無理やり電車を通したような線路であるために、頻繁にトンネルに入ることが多く、トンネル、海、トンネル、海というのが車窓から見えるようだった。
新宮駅に近づいてきた。電車の中はもっと乗車客が少なくなるだろうと思っていたのだが、あんまり乗客が降りることはなかった。みんなどこまで乗るのだろう?とは思っていたのだが、あいにく特急南紀の終点は新宮なので、新宮から先に行く人もいるかもしれないし、新宮で降りて観光する人もいるんだろう。新宮がなぜ終点かというと、実は、JR東海とJR西日本の分界地だからである。もちろん、特急の中には新宮を通り越して、紀伊勝浦まで行く電車もある。
新宮駅にはちゃんとコインロッカーもそこそこ大きいのも含めて存在するので、大量の荷物を持ってきているひとでも収めることは出来るだろう。たた、ヨーロッパへ行くような大きなトランクを持ってきている人はたぶん無理。アジア小旅行をするくらいのキャリーバッグなら問題なく入る。自分たちも、荷物をここで一度預けて、最初の神社に歩いていくことにした。新宮駅には結構大き目の観光案内所が用意されているので、あんまり書籍として用意されていない新宮周りの地図については、地元の観光案内所に用意されているパンフレットを貰うことでクリアされることだろう。なお、熊野に関する全体的な情報についても事前にあんまり仕入れていなかったこともあったので、この観光案内所で必要な情報は結構仕入れることができたのは有益だったとおもう。
<東京から新宮までの行程>
東京発 07:40 のぞみ101号
↓
名古屋着 09:22
名古屋発 10:01 南紀3号
↓
新宮着 13:37
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