2013/10/17

神倉神社(熊野)

熊野速玉神社の摂宮として鎮座しているのが神倉神社なのだが、ここは絶対訪れたほうが良い神社だと思う。場所は変なところに存在しているのだが、熊野速玉神社から歩いても15分程度だと思うので、全く苦では無いだろう。神社を出た後すぐのところに看板が出てくるので、その看板に沿って、両側が民家の道をひたすら真っ直ぐ行けば良いだけ。その道が地方の民家の道を歩いている雰囲気をそのまま感じられるところなので、実はちょっとこの道を歩くのは風情があって良いと思った。
道を段々進んでいくと、左手に大きな小学校が見えてくる。土地があまりまくっている運動場は都会の子にとっては羨ましい限りなのだろうが、このあたりではたぶん普通の大きさ。それをすぐると、すぐに朱色の欄干が見えてくる。そこから先が神倉神社の敷地になる。
熊野速玉神社の場合は、最初から鳥居があって、いかにも神社という雰囲気がしてきたので、参拝客としても神社にお参りに来ているという気合というか神妙な気持ちになるのだが、ここ神倉神社の場合、欄干を渡る前から、実は妙な雰囲気に圧倒される。

まず、朱色の欄干を渡る手前から、ひんやりして、凛とした空気を感じるはずである。参拝をした日は比較的暖かいときだったので、上に着ていた薄手のコートは脱いでも大丈夫なくらいだったのだが、ここの神社に一歩で入った途端のあの空気に触れると、身震いがするくらいの寒気を感じる。なにかある、ここには絶対!と思えるのは、霊感だかなんだかわからないものがあってもなくても、ここの神社の異様な空気感は分かると思う

一瞬、狭い境内だなーと思ったらそれは大間違い。あくまでも境内は境内なのであり、本社の手前のプロローグでしかない。本社はこんなところにない。
 
少し境内の奥のほうに歩いていくと、いきなり目の前にド肝を抜くような石段と、参拝者を待ち構えるように建っている朱色の鳥居が立ちはだかる。その石段は普通の石段とは全く異なり、あまりにも急で、一段一段が高すぎるくらい高い階段になっている。これ、本当にこの階段を上らないといけないのか?というくらい、上るなと神社のほうから挑戦状を叩きつけられているような気がしてくる。
それでもチャレンジとして急な石段を上りはじめてみた。なにしろ、1段1段がちゃんとした石段になっておらず、適当に石を積んだだけのような階段なので、段が均一的に揃っているわけでもなんでもない。背の低い人にとっては、この階段を上るのは股が上がらないだろうとおもうし、なにしろ、両端になにか支えになる鎖や紐でもあるかと言うと、そんなものは何も無い。自らの力で上って来いというのを言われているようなものである。当然、うちの両親にとってはあまりにも急激すぎる階段がずっと続いていくことが分かったので、数段上っただけで断念した。上るのはまだいいのだが、下りるときも同じところを下りなければならないので、座りながらじゃないと下りてこれないくらい危険だ。足腰が弱いところにこんな危険なところで怪我でもされたら困るので、境内のところで待っていてもらうことにした。上のほうの状態はどうなっているのかは、自分が写真で収めてくるので、それを観て楽しんでくれということにしたわけである。
 
この石段は全部で538段もある。ほとんど多くは不揃いの石段なのだが、ここを上るのは結構大変なのはわかる。そういう人用に勝手に作られたのかどうかわからないのだが、通称「女坂」と呼ばれる、石段を使わず、整地されていない山道を通る道が小脇にある。とはいっても、トレッキングみたいな急遽作られたような道だから、まともな道ではない。しかし、真面目に石段を上がっていくよりはかなり楽に登れるのだが、ハイヒールで上れるような道ではないし、もちろん木の根がそのままむき出しになっているところはめちゃくちゃあるし、それでも上りたいというひとは上ったら良いだろう。しかし、雨が降ったあとは滑りやすくなっているので、そのときに上るのは絶対止めたほうが良い。たぶん転げ落ちて死ぬと思う。
 
途中に平坦なところに出てくる。ここから先は実はかなり整地された階段道が続くのである。最初のころに比べれば、雲泥の差で歩きやすい。なにしろ石段といっても、石段の高さが低いし、段自体は広くなっているので、今までのジャングル道や死にかけながら歩いてきた石段は一体なんだったんだろう?という思いが出てくる。
 
 
その整地されている石段を段々上っていくと、両側に朱色の欄干が見えてくる。そして、その先にまた鳥居が見えてくるではないか。ここが神倉神社の心臓部にあたるところだ。ただ、右側は崖になっていて、その崖の隙間に人間が歩くためのスペースを作っているようにしか思えない。
 
 
さらに上っていくと、お目当ての場所が見えてくる。ここが御神体の巨岩である「天磐盾(あまのいわたて)」というところである。そしてそれを祀っている拝殿が岩の上に建っているのが見えるだろう。ここまで来たら、この岩を登って、拝殿のところまで行くべきだと思う。ここは神武天皇が東征する際に、立ち寄った場所と言われているところ。つまりここでは岩が御神体なのである。
 
 
 
 
高台のところまでくるととても見晴らしがよく、新宮の街と海が一望できるのであるから、結構爽快だ。
そういえば、境内にいたときに地元のおっさんが話をしてくれたのを聞いたのだが、高校生だと、速い子はあの急な階段を往復で4分で上って下りてくるらしい。本当か?とマジでビビった。富士山登山駅伝みたいな強靭な足腰を持ったひとがその記録を作ったのかどうかしらないが、上るのも大変だが、あんな急な崖みたいなところを駆け足で下りてくるのは危険極まりないと思っていたからである。そして、もっとビックリしたのは、高校生が・・と話をしてくれたおっさんも、毎日この階段を上っているらしく、往復でその人がいくと15分くらいで行くよーと平然と行っていたことだ。おっさん、おっさん、それはかなり話を膨らませていないか?と思ったが、そんなもんだよーと言っていたのには驚いた。おそらくだれがここを訪れても、いつも境内にいるような人みたいだから、是非本当のところを聞いてみてほしい。

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