2009/05/09

ペーター教会(ウィーン)

グラーベン街通り沿いには無いのだが、ちょっと奥にファザードが「こんにちはー」と見せてくれるのがペーター教会(Peterskirche)である。青銅色の天蓋がバロック形式の建物に載せられているので格好としてはこじんまりながら風格がある。見ようによってはイスラムの建築に似てなくも無い。しかしこの教会の原形はイスラムの影響が入るよりもずっと古い教会で、カロリング朝フランク王国のカール大帝(Karl der Grosse)が異教徒のローマ人やケルト人が作っていた神殿跡に792年に建てた(正確には「目障りだから破壊して建てさせた」だろう)ものだ。実はいまの教会の南東部分に、カール大帝を称えるレリーフが飾っているのだが、その写真を撮るのをすっかり忘れてしまった。

その原形をバロック風に立て直したのが、これまたバロック建築の巨匠と言われ、ヴェルヴェデーレ宮殿を設計したヒンデブラント(Johann Lukas von Hindebrandt)である。

内部に入ってみると、主祭壇がとても見事だ。祭壇上部には、ハプスブルク家の双頭の鷲と紋章がある。主祭壇から目を上に向けてみると、実際には平面なのだが、天井画がドームになっていることを擬似的に表現したところを見ることができる。こういう眼の錯覚を使っての技法は、結構ヨーロッパの教会にはあるが、決して真下からは見れない位置に描かれているというのが特徴だろう。本当の真下、つまり、教会の内部で椅子が並んでいる位置から天井を見てみると、ロットマイヤー(Johann Michael Rottmayer)が描かれた聖母マリアの昇天の様子が描かれている。これは必見の価値あり。マリアが神とキリストに導かれて昇天する場面だ。隅のほうに「INRI」と描かれたお決まりの十字架があるのを見つけることができる。

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