2009/06/20

瑠璃廠(北京)


中国は「文字の国」とも言われるくらい文章として歴史に残したり、漢字という単なる文字を芸術の分野にまで引き上げた変わった文化を持つ場所では有る。文字に対して、なぜか権力者も人民もとても重要に思っていたためか、特に筆記用具に関しても、芸術の域を越えたものがたくさんある。ヨーロッパでも文章は大切ではあるが、どちらかというと、文学としての芸術はあっても、それ以上の領域からなんとなく抜けることもなく、筆記道具もその文字を記すための単なる脇役でしかない。しかし、中国における筆記用具は、品質としてもピンからキリまで各種あるため、その種類を掲げるだけでも、故宮博物院での1テーマが出来るくらいのものなのだ。

北京は中国王朝において、特に中国の歴史では後期にあたる各王朝の首都として君臨していたため、宦官を始め、高級官僚も北京を勤務地の中心として過ごしていたところであるため、文字文化の中心地でもあった場所である。その名残として、紫禁城に比較的近い胡同に瑠璃廠というところがあり、その胡同は、筆記用具に関する店がずらーーーーっと並んでいる。書道をやっている人、または書道にかかわる筆記用具のオタクの人にとっては、ここはもう1日でも見て過ごせる場所であろう。また、筆記用具だけではなく、書道に関する書物やもちろん中国の歴史書に関わる専門店もたくさんあるので、道具に興味が無くても中国の歴史に興味があるひとは、掘り出し物を見つけることができるかもしれない。しかし、その広さは半端じゃないので、探すことができたらラッキーで、探せなかったら数日掛けて見つけちゃおうという気合が無いとダメだろう。

胡同にある店のいくつかは、日本人観光客を相手に商売をしているところもあるので、たまに日本語が通じる店がある。日本語なんて通じないだろうと、ほとんど気合を抜けてこの通りの店に入って買う・買わないを別にして、品物を眺めていたら、「なにかいいものを見つけましたか?」と、店の人から流暢な日本語で話し掛けられて、腰を抜かしそうになった。なぜそんなに流暢な日本語ができるのか不思議に思って聞いてみると、日本の大学に留学していた経験があるのだという。とても若い人なのに、とても優秀な人なのだということがこのときに分かった。でも、その店の名前を残念ながら忘れてしまった。が、胡同に入って、比較的入口に近く、他の店よりも規模が大きな書道具の店だった。店の名前と店員の名前を覚えておけばよかったーっと、残念。たぶん、「北京文房四宝堂」だとおもうが、記憶が曖昧だ。

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