2009/06/13

北京の地下鉄

北京はオリンピックを期に、交通渋滞緩和と利便性の確保のために地下鉄を建設しており、それは今でもまだ建設している最中だ。全部の地下鉄路線が開通したら、北京観光は本当に便利になる。遠くて不便だと思われていた頤和園にも地下鉄でいけるのだから、こんなに便利なことは無い。ところが、東京の地下鉄と異なり、1つの駅間がとても長いので、1駅分くらい歩いちゃえ~なんていうことを考えていたら、それこそ後ほど「自分はなんて馬鹿だったんだ」と思うに違いない。地下鉄の入り口には地下鉄を意味する「地鉄」の読み方「DiTie」から取られて「D」のマークがあるところである。日本やヨーロッパのように、地下鉄=Metroという認識で「M」のマークを探していたら、一生探しきれないだろう。更に言うと、北京の地下鉄は東京や大阪の地下鉄の入り口と異なり、できるだけ出口を少なくして、何かあったときに、出入り口を制御するためになっているから、地下鉄の入り口を探すのが本当に困る場合がある。東京や大阪の場合、4つ角の交差点の下に駅がある場合には、4つの入り口があるはずなのだが、北京の場合にはそれが無い。1個しかない。わざわざ地上で道路を渡ってから地下に潜るというなんとも面倒くさい作りになっている。これは利便性が悪いに決まっている。

一番のメイン路線は、やはり天安門前の道路の下を走っている1号線だろう。途中に王府井や各種遊びの場所があるために、ここを北京滞在中に利用する観光客は多いはずだ。それから山の手線のように環状路線になっている地下鉄が2号線。こちらも城内の各箇所を廻る際には便利な路線である。

車輌は古い車輌と新型車輌の2種類があるようだ。古い路線の場合は、昔の丸の内線ほどぼろくは無いが、見た目が本当にボロい。しかし、新型車輌の場合は、最新型のJRの車輌みたいな感じだと思う。

現在のところ北京の地下鉄はどこまで乗っても1人1回2元だ。ヨーロッパの公共機関のように、地下鉄とバスを90分以内であれば1枚のチケットでいけるというわけではない。この点は日本の地下鉄と同じである。自動販売機ももちろん存在するのだが、どこまで乗っても2元なのに、意味不明ながらも、どこまで乗るのかというのを画面から駅を選択しなくてはいけないところだ。あれはどういう意味があるのかわからない。将来、たくさんの路線が出来た場合、遠いところに行く場合には値段を変えていこうということを意識しているのだろうか?ちなみに、自動販売機で切符を購入する際、1元硬貨はもちろんつかえるが、紙幣の場合、5元と10元の紙幣しか使えない。1元硬貨は使えるのに1元紙幣が使えないのだ。だから、おかしなことが発生する。例えば、5元紙幣を使って自動販売機で切符を購入したとしよう。そうすると、もちろんお釣りが1元硬貨として戻ってくる。それなら普通なのだが、硬貨が戻ってきたという音を聞いた途端に駅員がババーっとやってきて、お釣りの1元硬貨と駅員が持っている1元紙幣を勝手に交換する。硬貨と紙幣だから、価値としては同じなのだが、1元紙幣は自動販売機で利用できないので、こんなのを貰っても全く嬉しくない。きっと駅員としては、硬貨だと重いので、紙幣に換えてあげますなんていうことを思っているかもしれないが、毎回毎回切符を買うときに1元硬貨がないと、窓口に行って切符を買うか、大きな紙幣を崩すしかなくなるので不便この上ない。紙幣は偽札が多いといわれている中国で、硬貨ならこんなの偽造する暇なヤツがいないだろうという意味で、硬貨を客から分捕って、偽札でも掴ませても政府の知ったこっちゃないと思わせるように紙幣を客に渡しているとしか思えない。これは特定の駅で行われたというのではなく、ほとんどすべての駅で体験した。

駅で体験したといえば、一番ショックだったのは、飛行機の搭乗前に手荷物検査を受けるのはハイジャック防止のためであるのは言うまでも無いが、これと同じことが北京の地下鉄では行われている。すべての地下鉄乗客は、改札口を通る前に手荷物検査を受けなければならない。それで何を調べているのか分からないが、子供が玩具の鉄砲でも持っている場合にはどうなってしまうのだろうか?または玩具の刀でも持っている場合にはどうなってしまうのかよくわからない。いちおう駅の看板に「薬品・毒・火気類の持込は禁止」と書いているのだが、タバコを吸うのが多い中国人にとってライターは必需品だとおもうが、そのライターはいったい手荷物検査としてどう扱われているのか疑問で、観ているとほとんど無視だ。だから、一体手荷物検査で何を調べているのかが全く不思議で、ほとんどテロ防止のパフォーマンスでしかないように思える。場所によっては、乗降時だけではなく、降車して地上に出てくる前に手荷物検査を受ける場所もある。それは天安門広場前だ。1989年の天安門事件を、政府としてはどうしても許せないらしく、その事件を二度と国民にやらせないためにあの手この手を使って武力的に制御しているのがよくわかるが、その一例として手荷物検査をいたるところで実施して、武力衝突を事前に防ごうと躍起になっているのが良く分かった。

中国の地下鉄はどの町においても、その乗降時のアナーキーさはとても有名で、以前上海では「噂どおりだ」と思ったので、今回の北京の地下鉄においても、ラッシュ時じゃない場合でも、きっと降りる客なんか無視して、我先に乗り込む客がたくさんいるのだろう・・・と、半分期待しつつ、嫌だなーと思いつつも、どうなるのかとおもっていたら、意外にも乗降時のめちゃくちゃは無かった。それもそのはずで、どの駅のホームも公安警察の人間が駅員ではなくたくさん存在していて、乗客の監視をしているからだ。北京オリンピックの開催前に、マナーの悪さでは世界一と言われていた中国人の気質をどうしても変えようとしていたのは有名で、子供から爺や婆まですべての北京在住の人たちはマナー教育を徹底されていたことは、各国のニュースでも報道されていた。そのマナー教育はどうやら功を奏したようで、降りる人をちゃんと待ってから乗り込むという、至って普通の後継が見られたことはある意味驚愕だった。あの「自分は小皇帝」と思っているようなやつらが、他人様のために行動を待つなんていうことができるなんていうのを目の当たりにしたので、違反したときの罰金や刑がめちゃくちゃ厳しいのだろうと勝手に想像した。

乗り降りの状況もそうなのだが、車内の中でもその大人しさは続く。すべての車輌には天井に監視カメラが付けられているので、ちょっとでも怪しい行動をしていた場合、次の駅で公安警察が乗り込んできて、怪しい人間を締め出すということをする。うそでしょ?と思う人もいると思うが、実際にこの眼でその光景を見てしまったのだ。つまり乗客は車内の中で政府批判のビラを配ったり、ギャ-ギャ-騒いだり、酔っ払って絡んだしていると、公安警察がやってきて捕まるというシナリオになっている。監視カメラ形式は、一見厳しいように見えるかもしれないが、車内犯罪が多くなっている日本でも導入したほうが良いのではないかと思うが、どうなのだろうか?

上海の地下鉄に乗っていたときに「文明人が守る7つの事項」という笑ってしまうようなテロップが「次は・・・」という文字案内の間に流れるのを見て笑ってしまったことがあるが、北京でも似たようなテロップは見えた。しかし、上海ほどの強烈な印象は無い。単に「老人や体の不自由な人に席を譲ることは文明人の常識」というテロップくらいだった。もともと目上の人に対して尊敬の念を持っている中国人の気質だからだろうか、親と一緒に地下鉄に乗っていると、若い人は普通に、本当に普通に席を譲ってくれる。それもわざわざ遠いところからやってきて、「あっちに座りなさい」と誘ってくる人もいるくらいだ。席が空いたからといって、どこかの国のババアみたいにダッシュでやってきて席を確保するなんて言う事はまず無い。こういうところは見習うべきところだと感心した。それでも、車内テロップで「老人に席を譲ろう」と言っていることは、彼らの常識で考えるよりもっと徹底して譲るべきだという考えがあるからなのだろうか。

もう1つ地下鉄に関して報告したいことがある。それは乗換駅のことである。東京や大阪の乗換駅の場合は、結構便利がよく乗り換えられる。しかしながら、北京の乗換駅の乗り換えはかなり面倒くさい。どう面倒くさいかというと、なにせたくさん歩かされるのである。最先端技術で地下鉄の土木工事をしているのだから、戦前に作られた日本の地下鉄駅よりももっと立派にそして乗換えが便利に作れるはずなのに、とても同じ駅とは思えないくらいの乗換えをさせられる。これは北京のどの乗換駅でもいえることだ。感覚的にいうと、東京の大手町駅で、東西線から半蔵門線に乗り換えをするようなもの。同じ駅とはとても思えないくらい歩かされるのだ。よく考えたら、この歩かされる方式は何も北京だけではないことに書いていて気付いた。シンガポールの地下鉄も同じで、なんでこんなに歩かなければいけないのだというくらい歩かされる。しかしながら、台北の地下鉄はそんなに歩かない。降りる場所によって乗り換えに歩く場合があるが、比ではない。構造上の問題なのか、それとも戦時のシェルターを意識して作っているのかよくわからないが、とにかく乗換えが不便なので、あまり乗り換えをしたくない行き方を滞在中は考えていた。



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