北京オリンピックのマラソンコースにも使われた天壇にいくには、地下鉄でいくのが便利だ。ホテルにチェックインしたあとにまず行った場所がこの天壇で、1号線の永安里から乗って、途中の東単駅で5号線に乗り換えて「天壇東門」で降りれば良い。天壇東門の改札をでれば、歩いて1分のところに入り口が存在するため、そこから入ればいい。
天壇公園は、日比谷公園などの大きな公園とは異なり、入園するだけで入園料(10元)を取られる。これは新宿御苑の入園料の徴収の仕方と同じだ。入園料を徴収する割りには、園内では観光客とはどう考えても違うような、地元の人たちがたくさん園内に居て、わいわいやっていた。キリスト教なのか仏教なのかよくわからない宗教ソングを一緒に歌っている人はいるわ、中国将棋をしているひと、それを見ている人が集っているわ、もちろん若い子はスケボーやダンスの練習をしていたりしている。でも、10元も払って入っているとは驚愕だ。天壇の見所の多くを実際に見学するためには、さらに20元の追加費用を払わないといけない。これは最初の入園料と一緒に購入してもよいし、あとから特別料金を払ってもいい。どちらを選択しても損はしない。
東門から入っていくと、正面には天壇のなかの代表的な建物である「祈年殿」がある。写真で観る限りではすごい高い建物のように思えるが、それはその建物自体に風格があるだけであって、実際に見ると、それほど高い建物ではない。しかし、その土台から規模は、観るものを圧倒させるほどの実力を持っている。そもそも祈年殿自体が、皇帝が毎年五穀豊穣を祈願して正月に儀式が行われた場所。そんなに大きなものを祈願用に建てたこと自体に、暇と労力の度合いが見えるのだが、この建物の全てが中国古来の占いの集大成みたいなもので出来ている。まず、中国では奇数は幸運の数値として言われており、すべての建物に奇数に関する情報が埋め込まれている。三段式の土台になっているものもその意味だし、各段が9段になっているものもその理由だ。特に9の数字は最高の数字を意味している。建設自体は15世紀前半のものらしいが、何度も落雷や破壊があったために、そのたびに建て替えなおしており、いまの建物は1896年に建てたものをもとに、修復されている。
祈年殿は三層の円殿であり、天壇の中にある「圜丘」と対比して、ゆるやかな曲線を描く藍色の瑠璃瓦は、いかにも重厚である。頂きに鎏金の火珠を持っているかたちは、まるで満州族の官僚が被っている帽子に似ているではないか!高さ38メートル、直径30メートル、壇の高さは5.5メートル、最下段の直径は約91メートルもある。祈年殿から丹陛橋と呼ばれる圜丘との間を結ぶ橋を渡っていくと、目の前には、皇穹宇という円形の建物が見えてくる。この橋自体が、見事で、幅32メートル、長さ368メートルであるが、陰になるようなものが全く無いので、北京のような脳みそが解けそうな天候の場合は、かなり辛い場所だ。
皇穹宇は屋根の尖端に鎏金の火珠をいただき、ここには歴代の皇帝の位牌を安置している。これを囲むまるい塀は、一方の端で囁くともう一方で聞こえるらしい。しかし、観光客がたくさん同じことをしているので、全くこんなのは聞こえるわけじゃない。これは回音壁と言われている。最後に存在するのが圜丘だ。明の時代には二段の円壇であったが、清の時代になって三段になった。中心の円形の石板に立って、手を打つと、周りの石の欄干におとが当たって戻ってくるし、声もこだまするという。しかし、ここも人がわんさかいるわ、喧しいわという状態では、そんな幻想的な実験はできるわけがない。それにしてもこの天壇、めちゃくちゃ広い。半端じゃなく広い。それもそのはずで、総面積は82万坪以上もあり、紫禁城の約4倍もあるのだ。メインの建物のほかにもあるだろうと思ってちょっと横道に入ってみたら最後、もう戻ってくるのが嫌になるくらいの広さがわかるだろう。しかし、たくさんの木々がここには植わっているため、北京市内の樹木が全く無い道路とは異なり、こういう公園にいるとなんとなく落ち着く。
ちなみに「天壇」と言う名前からすると他にも似たようなものがあるのかなーと地図を眺めていると、やっぱりある。自然の4つの要素である、「天・地・日・月」の4つだ。紫禁城を中心に天壇は南、地壇は北、日壇は東、月壇は西に存在する。どれもそれぞれ意味があるものである。
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