2009/06/13

北京のタクシー事情

北京市内は結構頻繁に流しのタクシーを見つけることができる。日本と同じように、タクシー会社も複数あり、会社ごとに車体の色が異なるため、アメリカや台湾のように「タクシーは黄色」ということではない。もちろん、乗り方は日本と同じように手を挙げて、運転手に行き先を告げて乗る。

一番捕まえやすいのは、ホテルであるのはどこの国でも同じこと。北京においても同じである。あと感想としてはホテルに乗り入れているタクシーのほうが、上客を乗せていることもあるので、信頼性が高い場合が多い。これは経験則なのだが、タクシーの品格(?)によって出入り許可・不許可をホテル側が勝手に決めている場合を見かけたことがある。北京のホテルはまだまだサービス発展途中なので、そこまでの見極めはしていないのだが、それでも流しのタクシーよりはマシだとおもう。

さて、行き先をつける場合、中国語で述べるのが一番良い。そりゃぁ、北京は中国語の中心地であるためであることも理由だが、噂で聞いていたよりタクシーの運転手は英語が理解できない。オリンピックを期にタクシーの運転手も外国人観光客を乗せることが多くなるから、英語の練習をしているという報道を見たことがあった。それを信じきっていたところ、全く通じない。そこで中国語になるのだが、北京の場合、田舎モノの中国人が北京に集まっていることもあり、多少発音が悪くても実は結構通じることが分かった。

日本人は漢字文化圏だから漢字を書けば良いじゃないかと言われるだろうが、これも実は経験上あまり通じないこともわかった。中国の漢字は簡体字を採用していて、日本の漢字と少し異なる形式を採用している。台湾や香港では繁体字を採用しているため、日本人でも漢字を見れば何の漢字か、特に書道をやっている人は旧字体の漢字を書けるし読めるだろう。しかし大陸の簡体字は、行書や省略体を頻繁に書いている人は読める場合が多いが、ほとんど読めない漢字が多い。逆にいうと、大陸の人たちは毛沢東政権以後、簡体字で育っているために繁体字やまだ繁体字を少し残している日本の漢字を読めないのである。だから、同じ漢字文化圏だからといって、「書けば何とかなる」と思ったら実はダメだ。しかし、教養のあるタクシーの運転手に乗ったら儲けもの。繁体字も読めれば字での会話はOKだ。

観光地で客待ちをしているタクシーの運転手は、だいたいろくなやつらが居ない。ホテルに出入りしているタクシーとは違って、観光地から客は「必ず」移動する必要があるわけで、その客を乗せる・乗せないをタクシー側が勝手に判断しているからである。頤和園から円明園に移動する際に、バス乗り場がわからなかったので、目の前に屯しているたくしーの運転手たちに「円明園まで行きたい」といったら、「あぁ、だめだめ」と軽くあしらわれた。頭にきたので「なんでー?」と聞くと「近すぎるから」だそうだ。タクシーの運転手から見れば、長い時間客待ちをしていて近場の客を乗せていたら、商売上がったりということなのだろうが、客としては運転手が何時間客待ちをしているのかは知ったことではない。客商売をしたことがある国で育った人間から見ると、客商売をしたことがない国の人間のサービスには唖然とすることが特に多く見受けられる。

その様子を傍から見ているのが白タクの運転手だ。白タクは、正規のタクシー運転手が客を乗せないオコボレを得ているのだから、この行動は納得だ。しかし、白タクがきた場合には値段交渉が必要となる。値段交渉はもちろん中国語がよし。中国語が話せないということがわかると、相手は外国人価格で交渉してくる。少しでも中国語が話せればその価格は下がってくるので不思議ではあるが。そして、前項で記載した「現地人価格」を頭の中で計算して交渉することが望まれる。距離と時間を計算した上で、妥当だと思ったら、相手の値段の半分から交渉開始だ。大体の場合が3倍を吹っかけて計算してくるので、その場合は1/3の価格を鵜呑みしたほうがいい。だいたい1回目は交渉決裂になるのが当然である。「もういい!他に行く」とそっぽを向いて別のところにいこうとすると、今度は向こうのほうから近づいてきて、さっきは「値段を下げない」と言っていたくせに、勝手に値段をさげて第2回目の価格交渉が開始される。そうなったらこっちのペースに持って来ればいい。頤和園でも、正規運転手に交渉して交渉決裂の上に「Fuck!」と捨て台詞をしていた外国人観光客を何組も見た。出来るだけ白タクを選ばないのが賢明だが、正規の運転手だからといってまともに乗せてくれるとは限らないので、そこの見極めが難しい。

北京のタクシーはメーター制を採用しているので、上記のように白タクを選ばなければ、普通は金のことを心配しないでタクシーに乗ることが可能だ。タクシーの運転手が回り道をしなければ、それほど値段に心配する必要は無い。どんなに遠くに行ってもだいたい100元以内で収まるからである。日本円に直すと1500円程度なので、そんなものでガタガタ言うのも人間が小さい。ただ、こちらが北京市内の地理に多少なりとも詳しいと、タクシーの運転手もインチキができないとわかるようで、不安な人は地図を見ながらとか、または周りの景色を指差して「あれが〇〇だよねー」みたいなことを言うと、だいたい運転手は車がどこの場所を移動しているのかが客も分かっちゃっていることを見抜いて、遠回りすることは無いようだ。ただし、北京の道は幹線道路は幅が広く、目的地が進行方向と逆側に建物が存在する場合は、むやみやたらに逆側路線にいけない為、多少遠回りになってしまうこともよくある。

北京のタクシーの運転手は概してプロ意識の高いひとが多いという印象はあった。流しのタクシーでも運転は荒くなく、何を言っているのかわからないが「この道はいつも混んでいて嫌なんだよねー」みたいなことを言っていたりするし、北京の暑さに参っていたら、冷房をガンガンに効かせてくれるし。だから臆せず北京のタクシーに乗ったら良いと思う。それでも変なタクシーの運転手に乗ってしまったら、そんなに乗らずにすぐに降りるべきである。そして、助手席に掲げているタクシー運転手の証明書の名前と車体番号をメモることをお勧めする。メモをしたら運転手の態度は180度変わるからお試しあれ。彼らも雇用関係でタクシー会社と契約しているので、解雇されたら、明日から御まんまの食い上げがなくなるからである。

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