2015/07/31

海南鶏飯(神保町)

神保町界隈に勤務をしていたときには、周りにたくさんの食べ物屋があったので、あちこちの店に昼ごはんも夕ご飯もどちらも兼ねて食べに行ったものだ。その中には、シンガポール料理屋と掲げている店もあって、いまだと都内にたくさんの高いだけで、味はどこも変わらないというシンガポール料理屋ができているが、そのころにはあんまり都内にもシンガポール料理の店というものがなくて、珍しいなーと思いながら何度か通ったことがあった店がある。その名前も、シンガポールの料理としては、いろいろなホーカーズでも食べることができる料理名の「海南鶏飯」というものだ。当時としては、シンガポールに行かなくても店名にもなっている料理を食べられるというのは、本当に珍しいと思ったので、食べたくなったときには食べに行っていた。

店としては、神保町というよりも、どちらかというとJRの水道橋駅のほうが近い。水道橋駅から南に下って5分程度で到着できるという位置なので、ロケーションは本当に良い。周りにも競合になるような類似料理屋は無いが、ご飯屋さんは結構たくさんあるので、なにを食べたらいいのかなと迷ったら行ってみるということはよくしていた。そして、当時から今でもそうのようだが、シンガポールの観光旗艦店舗としての役割があるようで、店内にはシンガポールの宣伝パンフレットが結構たくさん置かれている。現在はシンガポールは、ある程度観光都市にはなったとは思う。清潔感と超高層ビルが立ち並び、超高層階に屋外プールがあるホテルが存在することで有名になってしまっている感はあるが、あの国はなんといっても観光客としてのリピータは極端に少ない。ビジネスとしてシンガポールは良い国であり場所だとは言えるが、観光としての魅力ははっきり言って少ないし、魅力内に等しい。それでもがんばって、マレーシアやインドネシアがオリジナルであるものも全部シンガポールのものとしてアピールしているのは涙が出てくる。

話はそれてしまったが、神保町界隈で勤務をしていたころから、すでに10年も過ぎてしまっており、久しぶりに神保町にやってきたこともあって、このシンガポール料理の店に入ってみようと思った。

夕方18時になるかならないかの時間だったし、シンガポール料理なんてそんなに知名度が高いわけじゃないから、店内はスカスカだろうとおもっていたところ、なんとほぼ満員状態であったのはびっくり。東京ドームでたまたまイベントがあったあとだからということもあったのだろうが、それでもこんな店まで客がいっぱい来ているとはおどろいたし、それほど有名になってしまったのかなという気持ちはあった。

久しくシンガポールでのローカルフードも食べていないこともあったので、シンガポールでは定番になっているバクテーとサテー、それと店名にもなっている海南鶏飯を頼んでみた。前に食べたときには、まさしくシンガポールのローカルフードがそのまま神保町にやってきたものとして感動したのを思い出した。料理が来るまでわくわくしていたし、店内は決してシンガポールの雰囲気があるということはなかったし、客層も普通の日本人ばっかりだったので、シンガポールの気分は味わえることは無かった。
 
さて、料理が運ばれてきたので早速食べてみることにしよう。見た目はシンガポールの料理と「似ている」ものだ。

が、食べてみてがっかりした。10年以上前に食べたときには確かにシンガポールのローカルフードのような味はしたと思ったのだが、今回食べてみて、味がなんだか足らないなと率直に思った。シンガポールの料理はどれもこれも味が濃い。あの濃い味付けは、熱帯の国の暑さにはマッチするものであり、決して上品ではないところがシンガポールらしさといえるところなのだが、ここまでジャパナイズされてしまって、少し気取ったような味付けになってしまうと、なんだかゲンナリする。日本人の舌にはローカルフードをそのまま持ってきたのでは合わなかったのだろうか?いや、そんなことは無いと思う。おそらくフードコーディネーターみたいなのが入って、客がたくさん入るためにはどうしたらいいのかなんていうことを相談したのかもしれない。日本人の薄い味付けがいいというのはわkらなくもないのだが、そうだったらわざわざこんな店に来るのではなく、ふつうの日本料理を食べたほうがいいんじゃないのだろうか?

正直、この店のシンガポール料理全般は、昔ほどわくわく感が無くなった。シンガポール人がこの店にやってきた場合の感想を聞いてみたい。絶対に「シンガポールと同じだ!」なんていうコメントは出てこないと思う。「なんか足らない」「まずい」と思うに違いない。そういうコメントをもっと聞き入れたほうがいいだろうし、店員やオーナーとしても本当のシンガポールの料理を提供したいのに、変わったシンガポール料理を提供することに満足しているのだろうか?まるで、聞いたことも無いような寿司のメニュが外国に存在していて、それを当地の客が満足して食べているのを、ニヤニヤしながら提供しているつまんない寿司屋と同じなんじゃないのだろうかと思った。

もうこの店には二度と行かないと思う。それなら多少金はかかるが本場シンガポールに行ったほうがよっぽど良い。それも小奇麗な場所ではなく、ホーカーズで十分だ。ただ、いまシンガポールドルは日本人にとってあまりにも高すぎる金額になってしまった。1シンガポールドルが90円なんて、昔では考えられない。わざわざご飯を食べるためにシンガポールに行くという気には正直なれない。シンガポールはあくまでもビジネスの場所であり、やっぱり観光の場所ではない。そして、シンガポールは他の場所にいくための中継地点であるというのは、いまの普通の日本人観光客にとってのシンガポールの位置づけなんだろうと思われる。

海南鶏飯(はいなんちーふぁん)
URL:http://www.hainanchifan.com/
住所:東京都千代田区三崎町2-1-1 美幸ビル2F
電話:03-3264-7218
営業時間:月~金 11:30~14:30, 17:00~23:00
          土・日・祝 12:00~23:00

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