2006/12/16

なんちゃって独立報道


 ベルギー公共テレビRTBFは13日夜、緊急特別番組と称して「ベルギー北部のフラマン地域が独立を宣言した」と放送、30分後に字幕で「フィクションです」と打ち消したが、視聴者の混乱を招いた。 午後8時20分からのルポルタージュ番組の開始直後、臨時ニュースのかたちで「国王が国を離れた」「ベルギーはもはや存在しない」などと放送された。突然できた「国境」に路面電車が阻まれたり、ブリュッセルにある北大西洋条約機構(NATO)本部が警戒態勢に入ったなどとする映像も流れた。 この特番では、首相府や王宮前からの生中継を挟んで「外出は控えてください」と呼び掛け、政治評論家は「ベルギーは消滅した」と真顔でコメントしていたりもした。

 国営ベルガ通信によると、近隣国の新聞社を含む約2600件の問い合わせが殺到し、電話が一時不通になった。テレビ局側は「連邦の在り方を考えるため、あえて放送した」と説明している。

Flandre indépendante, encore une fiction !
http://www.rtbf.be/info/societe/ARTICLE_057960

La fiction de la RTBF inquiète
http://www.rtbf.be/info/societe/ARTICLE_058137

しかし、この放送終了後、影響はかなり尾を引いているようで、上記のRTBF社のところにもあるように、その後のベルギー各地の反応をさらに報道しているくらい、ベルギー人には常に心底では根に持っていた問題を吹き返してしまったという感が否めない。

 ベルギーは南部のワロン地域(フランス語系)と北部のフラマン地域(オランダ語系)などの地域政府でつくる連邦王国で形成。フランス、オランダに相次ぎ支配された歴史や北部優位の経済情勢などから地域対立が根強い。ちなみに首都のブリュッセルは、地域的にはフラマン語圏に属しているが、比較的フランス語のほうを一般人は使っている気がした。

 ヨーロッパの中でも大好きな国なので、できるだけ混乱がある国になって欲しくないと個人的には思う。言語的にも違うがある南北のベルギー領土ではあるが、文化や風習も少し異なる。北部は質素倹約のオランダ・ドイツの風土をつぶさに感じることができる地域で、食べものにしても、あっさりした料理が多い。ところが南部はラテン系であるため、贅沢できるものは何でもしちゃえという気質がある。だから、個人的には南部のほうが好きなのだが、経済的にはアントワープやブリュッセル、そして風光明媚な観光地として有名であるブルージュなどの都市がある北部のほうが活気がある。個人的な趣味の問題なので、ベルギーは小さい国であるにも関わらず、いろいろな面を見られるので、是非ヨーロッパでブランド物を買うだけに行くのではなく、皆さんに、ヨーロッパの文化を凝縮しているベルギーに足を運んで貰いたいものである。
 ベルギーのように、実は国内が深層心理的に分裂しているという国はヨーロッパでは意外に多い。イタリアの南北経済格差の問題、東西ドイツの合併後の問題、スイスの連邦制国家の問題、ルーマニアのマジャール民族の独立問題などなど。これらについては、別途の機会に述べたいと思う。

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