2006/12/11

英連邦

 英国の旧植民地を中心に構成する英連邦(53カ国)は8日、ロンドンで閣僚行動グループ会合を開き、軍がクーデターで政権を握った南太平洋のフィジー諸島の加盟資格停止を決めた。英連邦からの技術支援なども停止した。英国などはすでに軍事支援を止めている。
 フィジーは1987年のクーデター直後も英連邦の資格を停止され、97年にエリザベス女王に謝罪して復帰した。2000年にも議会占拠、戒厳令で01年12月まで資格停止になった。

 この9月に夏休みで行ったばかりのフィジーで、このようなクーデターが行われるとは想像していなかった。あの穏和な楽園のようなところでクーデターが起こるとは、旅行者にとっては思いも寄らないことだろう。しかし、フィジーの民族紛争は実は根深い。これは前にもブログで記載したので、そちらを参考にしていただこう。

 そもそも英連邦というのは、帝国時代のイギリスが支配していた地域を中心にその独立主権国家からなる緩やかな連合体のことを指し、特定の国家組織を指すものではない。英語では、昔は British Commonwealth と言っていたのだが、いまはもっと大きな言葉として The commonwealth of Nations と名乗っている。この英連邦の国家はほとんど英語が公用語または準公用語として使われているところだ。そして、貨幣で使われる場合も、特にコインについて、イギリス女王陛下の顔写真を使われている場合が多い。現在この連合体には52カ国(フィジーが脱退したので)が加盟しており、常に一定の国家が加盟しているとは限らない。今回のように、国家として不安定な国は「破門」されたりするし、国家としての行いがよければまた復帰するというようなことをこれまでも繰り返してきた。

全身がイギリス帝国の植民地だったことを考えると本来なら英連邦に属してもいいはずなのに、現在はそうじゃない国もたくさんある。例えば、香港。ここは1997年の中国への返還時に脱退した。かつてほとんどイギリスの領土として納めていた現在の中東地域も、ほとんどが英連邦には属していない。おそらくアラブ諸国はイギリス人を元来好きではなかったからかもしれない。他に、アメリカとイギリスが強制的に作ったユダヤの国・イスラエルも実は英連邦に属していない。それから、1776年の独立以来、その国力をかなりつけて、いまでは世界の警察になっているアメリカも、本来ならイギリス帝国の1つの独立国として仲間入りしてもいいはずなのだが、独立して250年も経っていることもあり、アメリカがいまでも他国の支配でいることに我慢ならないためか、最初から英連邦に属していない。

The Commonwealth of Nations website
http://www.commonwealth-of-nations.org/article.php

The Commonwealth Secretariat
http://www.thecommonwealth.org/

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