2007/11/10

香港よりマカオの勝利

いま、マカオが本当に熱い。

香港とマカオはその境遇が似ているために、しばしば兄弟のように扱われてきたのだが、その発展性からは香港のほうが成熟度が高くなってしまったので、マカオのほうがどうやら香港に比べると田舎に見られてしまっていたのは仕方がない。その反面、香港はイギリス統治時代のものは、現代的になってしまったために何一つ残っておらず、土地がもともと狭いために、歴史的建造物がことごとく無くなってしまっているというのは、観光客にしては面白くないところだろう。香港は、ショッピングとグルメだけでしか、観光客を集める「ネタ」が無くなってしまっており、リピータは未だに多いのだが、明らかにそのうち飽きが来るのは目に見えている。

ところが、マカオの場合、旧宗国であるポルトガルの雰囲気がまだあちこちに残っており、アジアの中のヨーロッパを堪能できるところは、香港と違い、観光都市として力を入れるネタとしては豊富さがある。文化的知能度数が低い中国人たちにいわせると、そんな文化的遺産は別に興味が無いために、マカオは1日いけばつまらないところだという話は、どこの国出身の中国人に聞いても同じようなことを返答してくる。ところが、文化程度の高い人間から見てみると、こういう歴史的遺産が残っているところこそ、じっくり観光として廻る要素が多くて、1日ではとてもじゃないけど観光としては廻って歩けないくらいのものだ。何を持って1日で歩けると行っているのか、文化的な興味を全く持っていない人たちに聞いてみたいところである。

香港に比べるとそのアピール度がいまいちかけてきたマカオであるが、観光都市としていよいよ本格的になってきたといえよう。8月末に出来上がったアメリカ系の巨大カジノである「ベネチアン・マカオ」の完成以来、中国本土からの金に目を眩んでいる中国人が大量にギャンブルをするためにやってきている。金のためなら何でもやり、金のためならどこにでも行くという中国人伝統の行動であるため、これは納得だ。もともとマカオは、カジノの場所としても昔から有名であり、いまではラスベガスを抜いて、世界一のギャンブル地域としてその知名度は高い。シンガポールがマカオの真似をして、観光客誘致のためにカジノを造ろうとしているのだが、所詮、二番煎じであり、アクセスの便利さをアピールしたりしているのだが、シンガポールに行こうとする手間やカジノ以外として楽しめる娯楽が全くないシンガポールは、マカオの真似は出来ないのだろう。所詮、あそこは人工都市だからだ。

マカオの本格的な観光誘致の結果どうなったかというと、2007年9月にマカオを訪れた観光客の数が、前年同月に比べると29.6%も増加し、217万人にも達したらしい。それも香港を訪れる数よりも上回っているとのこと。香港は9月の観光客数が210万人。マカオへの航空路線というのは、まだまだ発展途上段階なので、だいたいの中国人以外の観光客は香港経由でマカオに入ると思われるが、そう考えると、やはり中国本土から香港を経由せず、陸路と海路を使って直接マカオにやってきている中国人が多いことを示している。

こういう結果が出てきた場合に、次に何が起こるかと言えば、今度は香港側の反撃だろう。香港への観光客の伸びがないとの危機感から、香港政府は外国人がとくに香港に金を落として欲しいわけなので、なんとしてもマカオへ行く客を香港に戻そうとするか、またはマカオと共存して、香港にさらに観光客がくるような施設を建設するようなことをし始めることだろう。いずれも、いまのところは、なんちゃって成金が多くなってきた本土にいる中国人を対象とするビジネスをどのようにうまく取り組めることかということだろう。
マカオは本島ではないタイパ島のほうがまだまだ発展できる土地が余っている。そこを活用することで、さらに観光客を呼ぶ込もうとしている。ポルトガルの文化と中華文化の素晴らしい融合を見せているマカオを、あのままの形で発展していってほしいし、間違ってもシンガポールみたいになんだか分からないモザイク人工都市にはならないでほしいものだ。

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