2007/11/10
シンガポール航空と中国東方航空
シンガポールはほとんどの会社が政府と関係しているのは超有名な話だ。一見すると個人企業のように見えるが、国自体が、リークワンユー家の王朝国家と見なされるので、すべてのシンガポールの政府関係会社およびシンガポールの一流企業は、全部リークワンユーとその家族に関係するものと思って良い。だから、シンガポールでは、リー・クワンユーの悪口は口が裂けても言える環境ではない。英語でそんなことを喋っていたら、どこで聞いているか分からない周りの人たちが密告して、即時処刑されるのがオチだからである。日本語で文句を言っている場合においては、何の問題もないのは当然である。
シンガポールだけでは投資にも限界があるので、もちろん海外へ投資をどんどんしていくことになる。それもリー・クワンユーの思いのとおりに進んでいるものと思うが、やはり自分たちの先祖が住んでいたところである中国大陸との関係はどうしても絆をつなぎたいと思っていることだろう。客家のリー・クワンユーにとっては、中国のどこの地域が故郷というのはないと思うのだが、中国と「金で繋がった関係」というのが一番中国を支配できる関係であることは言うまでもない。
シンガポール航空だって同じことで、シンガポール航空だけで運用しているのでは、ある程度の顧客は稼げても、基本的にはシンガポールを中心とした路線でしか稼げないため、渡航流動が多い路線にシンガポールとは関係ところで乗り込みたいというのは、基本的には無理である。となると、ドル箱路線のところを持っている航空会社を買収するか、資本提携することで、その支配を強固にすることが重要な手口だ。幸い、シンガポール航空とその親会社であるテマサク・ホールディングスは、金が余りに余っているほどの金持ち企業であるため、良さそうなところを全てに唾をつけたがっているに違いない。いま、そういう意味では、中国便が航空路線を盛り上がっているわけで、中国へ乗り込んでくる各国の意気込みは凄い。シンガポール航空も中国本土便はたくさんあるのだが、基本的にはシンガポールとその都市であるため、第三国へ行く顧客を囲い込めるかというと、これはかなり無理がある。直行便で第三国へ中国から行った方が断然時間のロスには繋がらないからだ。特にビジネスマンにとっては時間は貴重だ。
同じスターアライアンスへ加入を表明している中国東方航空とシンガポール航空が手を組んだことは、シンガポール航空からの熱いアプローチであることは目に見えて分かりそうなのだが、中国東方航空側にとっても、シンガポールの資金が入ってくることへの安定的資金繰りは魅力的だし、いちおうアジアの中では定評があるシンガポール航空のノウハウを盗めるということは、サービス無きサービス会社にとっては勉強できる良い先生になれるのだといえよう。
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シンガポール航空、中国東方航空と資本提携で合意
【シンガポール支局】シンガポール航空と親会社のシンガポール政府系投資会社、テマセク・ホールディングスは9日、上海を拠点とする中国東方航空と資本・業務提携することで最終合意した。シンガポール航空が約6億ドル(約680億円)、テマセクが約3億1500万ドルを出資し、合わせて東方航空の株式の24%を取得する。
3社は9月はじめに資本・業務提携することで合意したが、上海を狙う中国国際航空と香港のキャセイ・パシフィック航空による東方航空への対抗出資計画があり、行方に注目が集まっていた。
ソース:日本経済新聞社
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