2012/06/09

ワット・ベーンチャマボピット(Bangkok)

アナンタ・サマーコム宮殿はヨーロッパ文化をたくさん吸収してそれをタイ国内に持ち込んだものであり、世界の波に追いつこうとするラーマ5世の意欲も感じる建物だった。しかし、タイ国王としてラーマ5世は西洋かぶれになるのを嫌がり、タイの本来の文化も大切に継承していかねばならないという考えも持っていた。ドゥシット地区の敷地からスリ・アユタヤ通りを介して、向こう側の土地に、ナンタ・サマーコム宮殿と同じイタリアから持ってきた大理石で作った大寺院を建立して、タイ文化と西洋文化の絶妙な混在を残すことにした。その寺が、ワット・ベーンチャマボピット(Wat Benchamabophit Dusitvanaram)である。

別名「大理石寺」と言われるのだが、それだけこの寺院はどこもかしこもイタリア製の大理石でできているかなり贅沢なつくりの寺である。タイの現代寺院建築の最高峰と言われるほどに美しい建築物であるのは言うまでも無い。しかし、ワット・プラケオやワット・ポーみたいな有名寺院と実は同じくらい重要な寺院ではあるが、ちょっと離れた場所にあるために、ほとんど観光客らしいひとはここには来ていない。時間と暇が有り余っているような外国人観光客くらいしか来ないらしい。地元の人もほとんど来ていないようだったが、こんな立派な寺があるのにーとおもうのは所詮外国人。地元の人にとって、行きにくい場所にある寺院にいくほど面倒くさいものは無いだろう。なにしろ、傍には国会議事堂や国王の住居があるような場所だから、バイクや違法駐車なんかしてしまったら、警備員にすぐにしょっ引かれてしまう可能性があるから、なおさら近寄らないようにするのかもしれない。

内装でまずは述べておかないのは、正面祭壇にある金色の仏像と、それを強調するように映えている青色の背景だろうと思う。この美しい仏像はチナラート仏というもの。元々は、ピサヌローク県にあるワット・マハタートというところにあったものをモデルにして同じようなものをここに作ったというのが始まり。特にこの背景に金色の仏像が映えている姿はなんとも幻想的にみえてしまうから不思議だし、いつまで見ていても口をぽかーんとして見てしまいたくなる。

でも、この寺はこの仏像だけじゃなく、壁や窓もみてもらいたい。窓はタイの寺院には珍しくステンドグラスになっているのだが、これがイスラムのモスクにあるようなステンドグラスになっているのが不思議。もちろん、真ん中に仏陀の顔があるという点では、偶像崇拝を禁止しているイスラム教とは異なるところではある。
建物の外に言っていると、狛犬の代わりになるような巨大な守り神が入口に立っているのはわかる。しかし、よく見ると、狛犬もどきは1種類だけではなくいろいろな種類があることがわかる。なにしろ、日本の狛犬と同じようなものもいるからなのだ。目線を換えてみると、エジプトの神殿前に立っている像のようにもみえてしまうから、ここの寺院は純粋なタイ式の寺ではなく、世界の中心にタイが存在するかのように、いろいろな世界からいろいろな要素を取り入れているように見えて仕方ない。
ワット・ベーンチャマボピット
Wat Benchamabophit Dusitvanaram
Address : 69 Rama 5 Rd.
Open : 8:00 - 17:00
Fare : 20THB
Holiday : なし

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