2009/03/07
怪しきシンドバッド
いくら冒険好きでも限度というものはあるだろう。著者・高野秀行の破天荒というか無謀というか危険へ自ら入っていくというアグレッシブは姿勢は誰もできない。「あんた、そんなことした、ホントに死にまっせ」と言いたくなる冒険モノのオンパレードである。フィクションではなく、全部がホントの実話であり、体験であるからなおさら文章に面白みが増して読み応えがある。これが嘘の妄想の世界で作られたのであれば、全然迫力感が満ちてこない。
インドでは騙され、コロンビアでは殺されかけているのにも関わらず、それが快感に思えるのか、脳内麻薬ビュンビュンのアドレナリンが出まくりで、熟慮して行動しているとはとても思えないような出来事がたくさん出くわしている。見かたによっては、この人の自慢話に見えなくもないのだが、普通の人が体験したくてもその勇気がないために出来ないだけであるので、実現しちゃうこの著者のほうを賛成したくなる。文句を言う人が居るのであれば、自分でも同じことをやってみてから言ってくれと。言うだけ番長はたくさんいるが、そんな人は言う資格がない。
はっきり言えば、この人、絶対頭がおかしいと思う。
非日常的な冒険ばかりやっているし、普通の人間では体験できない素晴らしい体験を身を持って紹介しているからで、絶対何も考えないで行動しているんだろうなと思う。すべてが出たところ勝負。ダメだったらダメで、でもなんとかやってみようっと。あるときにはモノ攻撃でなんとか前進できる手段を作っていき、あるときには後先考えずとりあえずやってみて嵌ってしまうというようなめちゃくちゃぶりが面白い。
そう、読んでいるうちに痛快だと思えるところがたくさん出てくるのである。
文章を書く能力が高いということもあろうが、その内容がおもしろいので、文章化しなくても読者のほうで、体験もしたこともないのに想像を掻き立てるような内容になっているからである。
何かの壁にぶつかっている人がいたら、この本を読めば、人生なんて馬鹿やっていないとおもしろくないぞっというのが分かるから、もっと違う人生をみつけてしまうきっかけになるかもしれない。
それにしても題名の「シンドバッド」は全く本文章とは関係ない。でも、はちゃめちゃぶりだけは一緒か。
怪しいシンドバッド
高野 秀行 (著)
出版社: 集英社
発売日: 2004/11
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