2011/10/09

上杉隆の40字で答えなさい

コラムリスト上杉隆氏はもはや誰もが知っている有名人であるが、あまりテレビには出てこない。それもそのはずで、放送・報道機関から疎まわれている代表者だからである。記者クラブの存在自体が悪であると主張しているのは上杉氏だけが言っているように主張しているのがいまのマスコミ。しかし実態は、世界中が日本の記者クラブが KISHA CLUBという言葉ができるくらい悪の組織であるということは常識なのだ。それを一般ユーザに知らせてくれた彼の功績は非常に大きいと思う。

記者クラブによって歪曲された記事のみを読まされてきた自分たちにとって、上杉氏の内容はとてもわかりやすく納得がいき、それに説得力がある。そして、いかに記者クラブを通して発表されてきた報道が、どこの新聞を読んでも同じようなものに見えてしまっていることに気づくことだろう。でも、真相は全然違うということもわからせてしまった。

上杉隆氏がいろいろなメディアで発言していることは、すべてにブレがなく真相を述べているので、隠すべき事実ではない。したがって、どこで書かれていることに対しても本当のことしか書かれていないので、内容に矛盾が全く生じないのが事実だ。ところが報道機関を通して発表された記事の場合、嘘で塗り固めてしまった記事は最後まで嘘で塗り固める必要があり、汚い顔のおばさんが、厚化粧の上に厚化粧を塗って美人に見せようとしているのと似ているのだ。

政治と社会問題に関するニュースはとにかく関係者にとっては隠したがる内容であることは変わらない。そこを簡潔な言葉で本当の事実を書いて説明をするような内容に仕上げたのが本書「上杉隆の40字で答えなさい」である。

ツイッターは140文字までコメントが書ける発言手段になっており、これはとても有益なツールになっているのは事実だろう。なので、最初、この本のタイトルを観た時に、てっきり「上杉隆の140字で答えなさい」という題名なのかと思っていた。なぜなら上杉隆氏はツイッター上でも、たくさんの発言をしており、いつこの人は寝ているんだろう?というくらいどの時間でも発言が見えて取れるからだ。ところが実際には40字。140字に慣れている今の日本人ツイッターユーザにとっては、40字で重要事項をまとめるということが本当にできるのかどうかというのは疑問だ。ところがこの難問に、いとも簡単に上杉隆氏はやってのけて、それもわかりやすい。

さらにこの本が面白いのは、一般ユーザに同じような問題に対して、40字でなんと答えるかということを回答させて、それを紹介していること。それを観ると、あまりにも上杉隆氏が書いた40字の方が秀逸に見えて、一般ユーザの作品が愚作に見える。どちらも同じような主張を書いているのだが、文章を書くことに慣れている人となれていない人の違いを露呈してしまっているというところが面白い。

面白いなとおもった題材は「国会議員の仕事とは?」というお題。これに対して上杉隆氏は「1年生議員の仕事は2年生議員になること。2年生議員の仕事は3年生議員になること」であり、有権者の声に直接耳を傾けることが一番重要であるということの、田中派の教えをそのまま書いているところだ。それと「官房機密費の問題点はなにか?」という答えは「メディアの人間がてにしたことで税金の使い道について厳しく言及できなくなってしまったこと」と率直に述べていることだ。メディアの重要人物に金を廻して、余計なことを言わないように言論統制しているということに機密費は使われているので、貰っている本人たちが「機密費はわれわれを黙らせるために配っている」とは口が裂けても追求しないようになっているところだろう。大変わかりやすい。

「サミット」についても「世界のリーダが集まって何も決めず、ただ褒めあっているだけの会議。夏の風物詩」と手厳しい。まさにその通りだ。いまの世界経済をどうするかという重要会議にロシアも中国も参加していないような無意味な会議になにか意味があるのだろうか?ましてや債務不履行のレッテルを貼られそうなイタリアが入っていること自体もおかしい。

このように一般市民がなんだろうなーという難しいお題に対してツイート風に簡潔に述べているので、あっさり読むことができるだろう。関係者にとってはこんなに歯がゆいものはないだろう。なにしろ本当のことを全部書いてしまっているんだから。嘘はない。嘘があるんだったら、彼はもっと責められるはずだが、本当のことなので事を荒立てると事実がさらに露呈するからと、関係者は黙って彼の存在が無かったかのように今振舞っているのが現実である。

是非気軽な気持ちでこの本を手にとって欲しいものだ。

上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」
著者:上杉 隆
新書: 256ページ
出版社: 大和書房 (2010/9/18)

2 件のコメント:

isoyama さんのコメント...

こんにちは。
書いてあること、至極ご尤もです。
内容の一部を省略させてリツィートさせていただきました。
m(__)m

おきらくごくらく さんのコメント...

コメントいただき有難うございます。