2011/10/09

国立オペラ劇場(ブダペスト)

地下鉄オペラ駅から地上へあがってくると、重々しいバロック形式のオペラ座が目の前に聳え立っているのが見えてくる。世界遺産になっている通り沿いに建っているだけあって、その貫禄に満ちた建物はブダペストの威厳を高めるものに十分価値を持っているものだと言えよう。

オペラ座はオペラ開催中にはもちろん金を払ってみることができるのだが、オペラには興味が無いが、オペラ座の建物としての価値はぜひ見てみたいと思う人にとっては、是非、昼15:00と16:00に行われる内覧見学ツアーには参加したほうが良い。一見の価値は絶対ある。

内覧には人数制限は特に設けられているわけではないのだが、入館するためには事前にチケットを購入する必要がある。早い時間に前もってチケット購入すれば特に混乱は無いのだが、結構ツアーギリギリに入ろうとした場合には、チケットオフィスが大混乱になってしまうことと、対応者がチケット売り専門のひとではなく、警備員が行うことになるので、精算処理能力が格段に落ちる。できれば、30分前までくらいにはチケットを買っておきたいところだ。ちなみに、内覧するための入館券のほかに、写真を撮る人は1人につき1台までの特別使用料を取られる。その場合には、誰がカメラを使用するかというのをわからせるために、手にテープのようなものを巻きつけられる。遠目でみても、そのテープを持っていない人以外は写真が撮れないように監視する目的でもあるようだ。さらに、ツアーの最後に、プロのオペラ歌手による簡単なオペラショーを見ることができる費用もオプションとして用意されている。オプションなので要らないという人であれば申し込む必要は無いだろう。オペラショーといっても、オペラ座のステージでオペラ歌手が歌を歌うというのではなく、オペラ座の中にある、営業中は喫茶エリアになる場所が簡易ショーの開催場所である。値段はめちゃくちゃ安いので、絶対これは参加したほうがいい。もちろん見るときには客も全員立ったまま見るという、とてもフランクなショーである。

チケットを買ったあとは、ツアー言語ごとに集合場所が決められているので、そちらの列にならぶ。説明者の言語ごとに並ぶのだが、英語、フランス語、イタリア語、スペイン語が用意されているので、好きな言語に並ぶのが良いだろう。ただし、ツアーガイドも誰が自分のツアーに属しているのか、ほとんどもう訳がわからない状態になっているので、途中でバックれてしまう人も中には出てきてもおかしくないと思う。当然迷子を含む。

まずは客席のほうに進んでオペラ座の建物全体の説明を受ける。このオペラ座は、第二次世界大戦のときでもほとんど破壊されずに残っていた貴重な建物の1つであり、ステージの一部がぶっ壊れた以外は無傷らしい。だから、ハプスブルグ帝国終焉近い時代に、頻繁にオペラ座に通っていたエリザベートが見ていた景色と全く同じである。普段のオペラ鑑賞を見ない限りにおいてはこんな席には座れないというところに座れるのも感動なのだが、ステージ真横まで近寄れるということもまた凄い経験ができるものだと本当に思った。1階の観客席のところは、日本の映画館みたいに単純に座りやすいやわらかい素材の椅子がずらっと並んでいるに過ぎない。2階の観客席は、その1階の観客席を見下ろすような形で周りを囲んでいる。どちらから見るのがいいかは観客によって主観が異なるだろうが、個人的には1階席から観るほうが絶対良いと思う。

オペラ座はフランツ=ヨーゼフおよびエリザベートが専用で入館できる入り口と階段が用意されており、一般観客とは別の通り方ができるようにしている。その階段はまた見事な装飾でできており、ここは宮殿の一部なのかというくらいのできばえだ。その階段を通って、エリザベートはお気に入りの2階席にいくことを常にしていた。それは、2階席左側の一番ステージに近い場所なのである。そこを彼女の常設閲覧場所にした理由は、ステージが良く見えるためではない。観客からエリザベートを良く見えるためなのである。つまり彼女は、オペラの演劇はどうでもよくて、その美貌を世の人間たちに見せたがっていただけなのである。ここまでのナルシストも凄いものだとおもうのだが、オペラより私を見てーということをアピールしたこともまたビックリである。そこまでしてちやほやされたかったのかというのが読み取れるが、そりゃぁ、旦那は執務第一と考えていたフランツ=ヨーゼフだし、一緒に遊んでくれないし,構ってもくれないという、超猫人間からみたらつまらない主人と思われるような人だったので、そんな人と結婚したのが災いして、エリザベートは常に自分を持ち上げてもらえる居場所を探し続けていたのではないかと思われる。

ガイドの説明はひと通りは説明してくれる。だいたいその説明をしている間に抜けて好き勝手に動き回る人も中に入る。そして、好き勝手に撮り放題の写真を撮っている人もいる。ちょっとはガイドの説明も聞いてあげたら良いのにとは思うのだが、本人、観覧に閲覧制限があること自体が気に食わないのか、好きなペースで観させてくれといわんばかりなので好き勝手なのだろう。ただ、そういう好き勝手な見学者が野放しになっても誰も注意をする人はいない。なぜなら、違う言語のツアーも同じ時間で動いており、そのツアーに参加している人数も多いから、ある言語のツアーと別の言語のツアーがいちおうは重ならないように配慮はされているとはいえ、ツアーグループが一緒になったり、交差したりすると、もうわからなくなってしまうのである。いちおう、15時からのグループが終わったあとに、引き続き16時のグループが始まることになるのだが、総入れ替え制にもちろんなっているので、一度訳のわからないところに逃げ込んでしまったひとも、全員追い出されることになる。全員が出された後に16時のグループが入ることになるので、絶対16時からのグループのほうが時間的に滞在時間が短くなる。なぜなら、オペラ公演はほとんど毎日開催されており、見学として利用できる時間帯は決まっているからだ。

それでも格安でオペラ座を見られるというのは良い体験だとおもうので、是非言ってみて中の雰囲気を感じてほしいとおもう。

Hungarian State Opera
Address : H-1061 Budapest, Andrassy Ave. 22.
Phone : +36 1 81 47 100
E-mail : info@opera.hu
URL : http://www.opera.hu
入館料 : 2900HUF/人
カメラ : 500HUf/台
オペラ : 500HUF/人

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