この建物は、カスティーリャ王国のブルゴーニュ王朝のペドロ1世によって、レコンキスタあと、残留イスラム教徒の建築様式とキリスト教建築様式が融合したスタイルであるムデハル様式で建てられたもので、建物の壁面に幾何学文様の装飾を施しているものだ。決して旧支配者のイスラム教国の人たちが残した建物を利用して建てたというわけじゃない。
ペドロ1世といえば「残酷王」というあだ名がついているのは実は有名。だけど、もう1つあだ名がある。それは「公正王」だ。ん?なんだ、この矛盾する2つのあだ名は?と思って調べてみた。ペドロ1世は、自分を取り巻く貴族たちには厳しくあたったことから、貴族たちからは「残酷王」と呼ばれることになったし、民衆からは貴族を引き締めたことから「公正王」と呼ばれるようになったわけである。
さて、アルカサルの入口のほうに行ってみると、入場するまでに長蛇の列が出来ていて、全然その列が進まないので、長い時間並ばされた。まるでディズニーランドのアトラクションの入場待ちに匹敵する。アルカサルの入口が良くわかんないという状態であっても、列の最後尾を探して、そこに並んでいれば良いだけだ。そして、その列を終えたら、広大な敷地が広がっているところを楽しむことが出来るだろう。
じゃ、なんでこんなに人が並んでいるのかというと、要はチケット売り場の処理の遅さだというのが後で分かる。敷地内に人がたくさん入って、内部が混雑しないように別に入場制限を行っているというわけじゃないのだ。もっと正確に言うと、売り場の人たちが事務処理が遅いというよりも、窓口の前でチケットを買おうとしている観光客が遅いのである。多くの観光客が文字が読めないという文盲なら分かるのだが、多くの人はそうではないはずだ。販売窓口の前に来る前に、1人あたりの入場料というのが書かれている看板があるんだから、それに人数分をかけあわせれば料金が事前に出てくるはずである。ところが窓口の人がいくらですと話をしてから、サイフから金を出すようなことをしているので、それが遅いのである。中には、窓口の人が値段を言ってからやっと自分のサイフをかばんから出し始める馬鹿も結構いるので、積み重なってなかなか先に進まないわけである。
切符を買ったあとに、すぐに音声ガイドを配布している場所が出てくるのだが、残念ながら日本語の解説をする音声ガイドは存在しないので、英語をあまり解さないひとにとっては、単なる雑音にしかならないだろう。だったら借りなくて良い。
アルカサス自体、結構広い。最初から気合を入れて写真を撮る事や、全体を廻ってやろうと思っていた場合、おそらく途中で脱落すると思う。しかし、アルカサスの内部にはカフェも併設されているので、疲れたらそこで休憩をするということはしたらいい。また、アルカサス内に入る前には、必ずペットボトルで良いので水分が取れる容器と十分な水を持っていったほうが良い。ウォータークーラーなんか設置しているわけがないので、水に関することは自ら補給する努力と準備はしておかないといけないと思う。
それにしてもイスラム建築の名残がわかるモザイクと、イスラムコーランから引用された文字列を装飾化した文字群をみると、改めで頭が探す気がしてきた。しかしイスラムの世界では、モザイクの意味はとても重要であり、これは「神は永遠である」ということを意味する。キリスト教にとっては、モザイクは全く意味を持たない。後から支配した人たちはキリスト教徒であったため、モザイクは単純にデザインとして考えられたから、いかなる場所でも受け入れられることができたわけだ。
アルカサスには庭園もあるが、それはヴェルサイユやシェーンブルン宮殿のような庭園とは違う美しさがある。それはこれらの後年できた庭園が真似をすることにもなるが、幾何学模様でつくられた低い樹木で作る迷路型の庭園である。一時期、郊外地域にできた巨大迷路が出来ていたが、あれにも通じるものだと思う。これを1000年も前の人が考えて取り入れていたという発想がすごいなあと関心する。
なお、アルカサスは敷地内にトイレが少ない。おそらく汗で出るものも出なくなるかもしれないが、それでもトイレが近い人は、トイレの位置は事前に確認しておくべきである。
そして、音声ガイドで日本語版が無いということは、それに代わるガイドブックがあったほうが実はアルカサスは楽しめると思う。なにしろ敷地内の建物とその構成されている部屋は似たようなところばかりだし、装飾に付いても細かいものが結構あったりする。なにも予備知識がない場合には、ガイドがあったほうが絶対便利だと思うからである。
自分の家はマンションだが、一軒家を建てるのであれば、アルカサルで使われているモザイクの壁を使ってみたいと思う。
アルカサス - Real Alcázar de Sevilla
URL : http://www.alcazarsevilla.org/
Open : 09:30 - 17:00 (Summer) / 19:00 (Winter)
Ticket : 9.50ユーロ
0 件のコメント:
コメントを投稿