2006/08/29

24時間テレビ


 夏になると日本では「24時間テレビ」と称するくだらないテレビ番組が恒例のように放映される。1つは元祖になっている日本テレビ系列の「24時間テレビ」である。もうひとつは、それに対抗して作られたフジテレビ系列の「27時間テレビ」である。日本テレビ系列のほうは、身体障害者や体の不自由な人に対するサポートをしていこうという主旨がメインで、福祉的な面を表向きに出し、視聴者から募金を募っているという番組である。実際に、この番組で集まる募金額は毎年とんでもない金額のようで、それで身体障害者運搬用の自動車を福祉施設に寄付したり、公共施設における車椅子社会に配慮した改造へ寄付したりしていて、社会的な貢献は大きい番組になっている。一方、フジテレビ系列はそのテレビ局のスローガンにあるように「面白くなければテレビじゃない」の号令の元、日本テレビ系列とは違って、福祉的な面は一切無い。単にお笑いの芸人が27時間、昼夜巻く無しに騒いでいるだけの番組である。
 24時間テレビも27時間テレビもどちらも、名前の通り、1日中1つの番組として放映するものであるが、その番組構成と生放送そして出演者のモラルの問題で、視聴者から見ると「締まりが無い」ように見える。う○こを垂れ流しているケツの穴のようなものだとおもう。普通の番組は、限られた時間枠の中に、質の高い内容の放送をしようと努力をしているのに対し、24時間手テレビの場合、時間はたっぷりあるから、多少流れが押しても後で如何様にでもプログラムを変更すればいいと、番組監督者の甘い考えが見え見えになっているので、見ていて飽きる。そして、出演者にもしまりがないのは言うまでも無いが、番組の途中で、素人をいっぱい引っ張り出してきているから、さらにおもしろさに欠ける。素人の場合、生放送だと、何を言い出すのかわからないハプニング性が受ける場合もあるが、多くの場合、素人のほうが「あがって」しまって、プロデューサーの思惑とは異なった内容になってしまう場合が多い。プロの出演者であれば、流れの「空気」を読んだり、自分の番組での役割というのを頭を使って演じることは出来るが、素人にそれと同じようなものを追求するのはもともとできるわけがないものである。芸人だけを、時間という枠に押し込めて、そこで好き勝手に騒いでいれば、なんとなく番組が作られているという作り方も気に食わないのだが、それに載せられている芸人達も「ワンパターン」化している騒ぎ型をしているので、視聴者もそろそろ飽きてきたのではないだろうか?
 ここ数年、芸能人が無謀にも100kmマラソンをするというようなことを放映して、その走っている努力に対してなんとなく涙を誘うという演出が多い。これって、番組をやっている人間や、実際に走っている人たちは「ご苦労様」と思うのだろうが、見ている人たちにとっては、「なんで走っているの?」から始まり、「なにか意味があるわけ?」と思ったり、「感動しているのはおまえだけだろう?」と冷静にならざるを得ない作り方が多い。日本人は基本的に「お涙頂戴」的な演出には弱い民族である。しかし、吟味に吟味を重ねて演出された芝居に対してや、実際の現実感動巨編というのであれば、感動は大きいと思う。仕掛けている人間達だけが「感動」していて、それを見ている他人達に「我々が感動しているのを見て感動してください」という押し付けに等しい演出をしているテレビ番組は、改めて愕然とする。
 24時間テレビのほうでいえば、募金活動をテレビで訴えている出演者(だいたいは、その年に有名になった人や話題性が有る人がメインキャスタになる)が何度もテレビの前で「お願いしマーす」と言っているのは聞くが、「私もこの番組に参加するにあたり、これだけ寄付をしました」というようなものを映像化しているのを観た事が無い。もう30年くらい24時間テレビを放映しているはずなのに、それを観たことが無い。当然、出演者が「無料」または「ボランティア」で24時間も大変な番組に出演するわけが無い。ギャラが発生しているはずである。それも「24時間生放送」という仕事としてはかなり過酷な条件を飲んで出演しているわけだから、それなりのギャラを貰っているはずである。「ギャラは無しで出演しています」くらいの「嘘でも分かる」ようなことでも言ってくれれば良いのに、それよりも、先ほど述べたことに重複するかもしれないが「僕は24時間生放送でみなさんに放送を行っているわけで、こんなに辛い仕事をしています。僕は凄いですよねー」といわんばかりの言葉遣いや態度を随所に出している出演者が多すぎる。そして、意味不明にも、番組が終わりそうに成ったときに「泣き」を見せている奴ら。「はぁ、やっとこんな辛い仕事が終わった」と見せているだけ。決して「こんなにみなさんから募金を戴いて、心から感謝の意を、演出者および出演者を代表して視聴者の皆さんに述べたいと思います」なんていう言葉を1度たりとも聞いたことが無い。テレビ局から観れば、24時間テレビという看板を出すことで、いろいろな会社からCM枠を売り、その大金をテレビ局が受け取れるので「嬉しい企画」になっている。昔はそういう24時間テレビを見て、「大変だな」としか思わなかったのだが、最近は、「大変だと思っているのは、演じている奴らだけ」というのがだんだん分かってきて、それが腹立たしく思ってきた。
 また、24時間テレビおよび27時間テレビは来年も放映されるだろう。だいたい土曜日から日曜日にかけての2日間が放映される。27時間テレビのほうが最近は7月末に、24時間テレビのほうが8月後半に行われるよう、スケジュールが組まれるようになった。今年はほとんど番組を見なかったが、来年も見ないと思う。くだらなさ過ぎて、演出者つまりプロデューサの智恵および発想力の欠乏さをみているような感覚になり、とても面白くない。幼稚園のお遊戯会の延長みたいなのを24時間も見せられるのはたまったもんじゃない。あんなものをやるなら、放送しないほうがいい。むしろ、テレビ朝日系列のように、「ドラえもん募金」みたいな、3分電話をかければ、それで募金が出来ますという方法が、よっぽど堅実的だし、淡白だとおもう。

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