2006/09/01

イスラム金融の税優遇

 ニュースを見ていたら、こんな記事があった。華僑の人間は香港の香港上海銀行やチャタード銀行をメインバンクと使っているため、全世界の華僑の人は、香港の銀行を「金融都市」として使っている。香港政府も金融都市を目指していることもあり、金持ち優遇政策や華僑企業に対する税優遇化をしているのは有名だ。昨今では、シンガポールが同じような政策を目指そうとしているが、香港のように歴史と胡散臭さがまだ足らないシンガポールには、香港のような真似は難しい。マレーシアの場合、周りに華僑に囲まれて、さらに国内も華僑の企業が大手を振っている現状、実際にはイスラム国家であるという政治と経済のギャップがある。ところが、マレーシアは天然資源を中心とした金持ちな国のひとつで、イスラム=アラブ地域と一般的には思われがちだが、実際にはイスラム国家の中心的役割になっているのは隠れた有名な話である。アラブ圏だと、イスラムの原理主義者たちも、欧米諸国に睨まれているからなかなか表を歩けない。それを一度マレーシアというアジアの匂いを被せることで、そのアラブ的においを消しているという役割を持っている。

 話は変わるが、先日も、戦略的兵器に化けることができる製品をマレーシア経由+アラブ経由で北朝鮮へ輸出していた日本企業が摘発を受けた。北朝鮮はアラブに対して武器の輸出を行っている。外貨獲得のための手段である。そのアラブは直接はなかなか武器に関する部品類を調達するのは、傍にイスラエルがあるため、なかなか表立った活動ができない。そこでマレーシアをかませることでその匂いを消した。日本とマレーシアの間は、FTAによる関税が無い。その点、日本からの輸出の時には特定の要注意国家でもないため、普通の製品として輸出できるとメリットがある。北朝鮮+アラブの思惑と、日本企業の思惑が合致できたのはこのマレーシアのカンフル剤が有用な役割をしている。

 そう言った意味で、イスラム系の企業を中心とした香港と同じようなことを目指しているマレーシアの政策は、注目に値する。特に現在、アラブ首長国連邦やブルネイなどのような金持ち国家が世界では結構多い。それも大体が石油資源を元本として儲けた金を持っている国々で、だいたいがイスラム国家だ。そのイスラム国家たちの金融中心国家になることを目指すのは着目点としていいとおもう。今後の動きに注目したいところだ。

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 【クアラルンプール=伊東義章】マレーシア政府は1日、2007年度(1―12月)予算案を国会に提出した。イスラム金融機関の法人所得税を10年間免除するなど、同金融の国際センターを目指すための優遇措置を新たに盛り込んだ。 法人税の免除は外貨建ての取引を行うすべてのイスラム銀行・保険会社を対象にする。マレーシア市場はイスラム法に基づく債券の発行額が世界最大。新施策の導入で同分野の国際競争力を高める。外国人投資家の資金を運用するイスラム投資ファンドに対しても、運用手数料にかかる法人所得税を10年間免除する。 07年度予算案の歳出額は今年度当初予算と比べ17%増の1594億リンギ(約4兆9400億円)に拡大するが、10年連続の赤字となる。財政赤字の国内総生産(GDP)に対する比率は3.4%で、今年度見通しより0.1ポイント低下する。

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