はじめて「ねこぢる」を知ったのは、友達が着ていたTシャツだった。学生時代の友達で地方出身の人がいたが、そのひとが実家に帰ったので、友達と皆で東京からその人の家に遊びに行ったときだったと思う。東京から一緒に出向いた友達の一人が、このねこぢるのキャラクターがあるTシャツを着ていて、現地に到着したら、地方に引っ越した友達は既に結婚して、その子どもがTシャツを見て、ぽかーんとしている。この世のものとは思わないものを見てしまったような顔をしている。確かに、いままで、世の中にあったほかのキャラクターよりもすごいインパクトのあるキャラクターだと思う。だいたい、名前が「ねこぢる」だし。そのネーミングにもイカれているなぁーとおもったし、だいたいキャラクターの猫がはっきり言って可愛くない。でも、なんだか惹かれる。
その次にねこぢるに会ったのは、それから随分後になってからだと思う。多分、本屋で立ち読みしたものだったとおもうが、そのときにはじめて「ねこぢる」が漫画のキャラクターであり、さらに漫画家の名前が「ねこぢる」なのだということを知った。キャラクター自体には、特に名前はついていないで、いくつか出版されている漫画のなかで搭乗するたびにその名前は変わる。あるときには「にゃー子」や「にゃん太」など。安直な名前だ。(汗)でも、本屋で立ち読みしたのはあの気持ち悪い猫のキャラクターではなく、漫画家自体がインドに旅行したときの様子を書いた「ぢるぢる旅行記インド編・総集編」だった。その作品自体は、インドを旅行したときの、インドらしい様子を克明にかいてあった、きっと日本じゃ体験できないことを全て書いているもので、今でも評価が高い漫画である。そして、内容を見たとき、「この漫画家、結構あたまが逝っちゃっているかもしれない」と思った。インドで、マリファナ吸ってラリっている人たちがごろごろ普通にいるのは、インドではあたりまえのことだし、中国人と違って、「金のためならなんでもする」というような世界とは全く逆に、「生きているだけで丸儲け」的な世界に浸っているインドでは、葉っぱや薬でラリっていることで快楽を追求している世界をそのまま忠実に再現しているのは面白い。また、本人が興味本位でインドで始めた葉っぱに病みつきになり、いろいろなドラッグに手を出して、その結果、自分が体験したものや「見えていた世界」を漫画化しているのは観ていて楽しい。ドラッグに手をだしていなくても、きっとこんな感じに見えるんだろうなーというのがよくわかる漫画だと思う。そのとき、漫画のなかで漫画家自体が自分自身を「ねこぢる」と呼んでいるように、猫のままの顔で登場しているところが笑える。一緒に旅行しているのが旦那なのだが、そちらは普通のみすぼらしいおっさんとして登場。インド人のみすぼらしさを、デフォルメに近いくらい忠実に書いているところも凄いと思う。
げげっ、すごい漫画家を見つけてしまったーっと思っていたら、なんとそのあと直ぐに「自殺」というニュースが入ってきた。「は?自殺?」と思ったのと同時に、どうせクスリをやりすぎて死んだんじゃないの?とも思った。いまでも自殺の原因が不明ということになっているが、その生活スタイルや考え方が奇抜なため、結構いろいろと意味不明な自殺原因が想像されているみたいで世間の見方というのが笑える。ただ、ドラッグをやりながらサイケかトランスの音楽を聴いていたら気持ちよく死ねるだろうなーというのはこのときの感想である。そのあと、友達が参加したイベントに強引に付いていったのがオランダのアムステルダムだったのだが、そこで、タバコも吸えないのに初めてガンチャを吸ったときに、とても気持ちになったことを覚えている。ガンチャを吸ったあとの症状としては、人によっていろいろ違うらしい。友達の1人は耳が異様に敏感になって、ねこぢると同様、聞こえる音全てが「イケる」ものに聴こえたらしい。持ってきていたMDにトランス系の音楽をガンガンにかけて横になって寝ていただけで、涎垂らしながらあっちの世界に行ってしまった人のようになったのは見ていて笑えた。その友達の顔を見て、「ねこぢるっぽい」と、ねこぢる自体をあまり知らないくせに口から発してしまったのが、ねこぢるとの次の接点である。
最近、古本屋でねこぢるが書いた本当の漫画のほうを手に入れた。有名な「ねこぢるどん」ではないのだが、手に入れたのは、「ねこぢる食堂」「ねこぢるまんじゅう」「ぢるぢる日記」である。それらの漫画を見て、さらに驚いた。なんでもっと早く知らなかったのだろうっと。内容が、かわいくない猫のキャラクタを使いつつ、雰囲気は可愛い様子をだしているのだが、実質は子供特有の狂気、残酷さ、そして懐かしさなどが主なテーマと取り上げていてとても面白い。「ぢるぢる日記」には、日頃出会う変な出来事をそのまま子どもの日記風に書いているのであるが、よくもまぁ、こんなにわけのわからん人たちに出会うものだと感心することが書かれている。通りを歩いていたら、いきなり目の前でパンツを脱いでうんこをしだしたとか、普通じゃそんなことねーだろーっというような出来事が本当に目の前で起こるらしく、それがおもしろくて書いていたようだ。ネット上では、「『ねこぢる』は新興宗教と在日朝鮮人が嫌いだったので、創価学会による頻繁の集スト(集団ストライキ)のターゲットにされていた」と書かれている。そういう集団にマークされていたから、まともな生活ができないように攻撃していた様子が、ねこぢるにとっては「面白い出来事」として見えていたようである。
今度もきっとどこかで「ねこぢる」に会えると思うが、いろいろなところの古本屋ではねこぢるの漫画を探してみたいと思う。
1 件のコメント:
その後、手に入れた「ねこぢる」の本は、こちらのほうで記載しました。各本の感想も書いています。
http://oltoceano.blogspot.com/2006/10/nekojiru2.html
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