2009/10/26

一畑口駅(松江)

もともと、一畑電鉄自体が、この一畑薬師への参拝用の電車として作られたため、一見この駅が終点のような線路のつくりになっている。まるでヨー ロッパのどこかのテルミニ駅のようなものだ。一畑口からさらに大社方面に行く場合には、進行方向が全く逆側にこの駅で変わる。山間部を走っているわけでは ないのに、スイッチバックして走る鉄道も珍しいと思う。たぶん、松江から一畑口というのと、一畑口から出雲大社という2系統の路線を、この一畑口で合併し たのだろう。この電車自体がそんなに本数多く走っているわけではないので、互いの線路を踏み越えて走っていく様は面白い。ただ、現在では自動車文化になっ てしまったので、こんな電車を使って一畑薬師にいくような人はいないのだろうか。バスもほとんど人が乗っておらず、いったい誰がバスに乗るのだろうと疑問に思ってしまったのである。ちなみに、一畑口の駅は無人駅であるため、乗客がいないと本当にさびしい。駅自体も田んぼの真ん中に建てられたようなものなので、人気がないに等しいからさびしい。駅のホームには、陶器で作った食器で作られた人形「一式飾り」というのが飾られていた。遠目で見ると、鎧の人形なのだが、よくみると、それぞれがどんぶりだったり、茶碗だったりするからちょっとおもしろい。これは生活用品のうち自転車器具、陶器、茶器、仏具などの一式を自由に使いわけて、歌舞伎やテレビ上の出演者、動物や船など奇抜な構想と技巧を凝らして飾る郷土芸術だ。もともとが、寛永五年に天満宮に祭るために作ったものなのだそうだが、いまでも毎年夏祭りのときにあわせて作られるようになって現在にもその伝統が繋がっているようである。なかなかおもしろいものが、こんな無人駅に置いてあるのが面白い。また、一畑鉄道が何度も何度も廃止される運命になっているようで、それでも利用する人はいるから「残そう」という運動が看板として掲げられているのもなんだか痛々しかった。

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