宜蘭の見所のひとつである「宜蘭設治記念館」がきれいな形で残っている。台湾での呼び方としては、「旧宜蘭庁長官舎」と呼ばれている。1906年に建てられたので、このときの宜蘭は宜蘭庁と呼ばれていたために、そこの一番偉い人だから宜蘭庁長なのである。この建物は、見た目としては八ヶ岳の別荘みたいに見えるし、樹木を入れると、南国のバンガローみたいに見えるし、なかなか視点を変えただけでいろいろな見え方見える建物だなという気がした。
入り口のコンクリートの入り口だけは、つまらないものと感じられるのだが、それを潜って左手にある小屋で入場券を購入すれば、あとは好き勝手に庭園を含めて楽しめば良いだろう。しかし、なんといっても、正面に見える樹齢100年以上もあるクスノキだろう。庭園の真ん中に立っている為、その大きさには、真上を見なければ全体を見渡すことができないくらい大きい。南国だから、桜があるということはないのだろうが、ここに桜を植えたらきれいだっただろうなというのは想像した。でも、やっぱり、クスノキの裏にある記念館の本館とこの緑豊富な樹木の組み合わせというのは、やはり日本人的に一番落ち着く空間だと思う。特に雑木林というのではなく、手の入った樹木が立ち並んでいる中で、木造つくりの建物があるというのは、日本の寺と同じような環境であるために、一番落ち着くと感じるのだろう。庭園の中には、日本ではあまり無いような樹木が日本庭園風に植えられているというのもおもしろい。特に、背の高い椰子の木は見事だ。これは亞力山大椰子と呼ばれる椰子の木らしく、台湾には結構普通に生えている椰子の木みたいだ。確か、台東に遊びにいったときに、似たような背の高い椰子の木があって、やっぱり台湾は南国なんだなーということを感じた記憶がある。健康歩道とはちょっと趣向が異なるが、庭園内は砂利道が整っており、緑の芝生もどきの植え込みの中に、白い砂利がとても目にまぶしい。そして、台湾に日本庭園を求めるのは酷なことだと思うが、それでも、これだけ見事に手入れが入った庭園が残っているのは素晴らしいと思う。これといった特徴は無いと思うのだが、全体的に雰囲気がいい。記念館の建物の中に入ってみることにする。この建物は日本式であるために、入り口で靴を脱ぐところから始まる。日本式ではあるのだが、脱ぐ場所がちょっと日本式とは異なり、入り口の扉の手前で靴を脱ぐことになる。つまり、玄関の外で靴を脱ぎ、玄関を通って部屋に入るということにある。中に入ると、各部屋には宜蘭に関する各種展示物が飾られている。宜蘭に関する歴史といったほうがいいだろう。あまり資料が残っていない清朝時代のものから、日本統治時代の宜蘭の様子と、民国時代に入ってからの宜蘭と盛りだくさんである。統治者の歴史だけでなく、宜蘭には原住民も多く住んでいたため、原住民の風習や写真などもたくさん飾っていた。しかし、内部はまさしく純日本式。部屋のつくりや、柱や梁の作り方は日本そのものである。それも全部木造。田舎の一軒屋をそのまま宜蘭に持ってきた感じだ。びっくりしたのは、昔の家の玄関には必ず付いていた、円電球の照明が今なお現役というところがすばらしい。
宜蘭設治記念館
住所:宜蘭市舊城南路力行3巷3号
電話:03-932-6664
E-mail:history@ilccb.gov.tw
HP:http://memorial.ilccb.gov.tw/
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